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History Origin ~なんちゃって歴史物語~  作者: 283
第一章:弥生時代
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第一章:弥生時代 『朝食はハンバーガー』

今日(こんにち)で使われているパンとは、ポルトガル語の pãoからきています。

この時代にポルトガルなんてないだろ!というツッコミは心の中に閉まっておいていただけると幸いです。


ご理解の程、よろしくお願いします。


追記:242年頃の中国の国名は()です。大変申し訳ございませんでした。

「──て。─きて。起きてってば!」


初めはゆさゆさ程度だった揺れが、最後には圧力に変わった。まだ七割ほど寝ている頭で状況を確認する。俺の上に乗っているのは女の子。そういえば、ここはゲームの中──。

そのことに気づくと、一気に覚醒した。


「ああ、おはよう卑弥呼(ひみこ)。」


「目は覚めた?もう少ししたら朝ごはんだから、私の部屋に来てね。」


それだけ言い残すと、さっさと部屋を出ていった。


敷き布と掛け布を畳むと、身体中を鳴らしながら軽くストレッチを行う。最後に両手で頬に喝を入れると、卑弥呼(ひみこ)の部屋へ向かうべく自分の部屋を後にした。


--------------------


廊下では、卑弥呼(ひみこ)の従者である女性たちが、慌ただしく走り回っていた。

その中で他の従者に比べて、頭一つ小さい娘が指揮をとっている。小さいのに立派だな、と見ていたら向こうも視線に気づいたのだろう。こちらへ近づいてきた。


「どうも、章史(あきひと)さん。卑弥呼(ひみこ)様よりお伺いしております。朝食の支度が出来ているので、卑弥呼(ひみこ)様のお部屋まで急ぎ、よろしくお願いします。」


「ああ、ご丁寧にどうも。」


やはり大人たちの上に立って働いていると、大人びるんだなぁ。変に感心しつつ、言われた通りに卑弥呼(ひみこ)の部屋へと向かった。


--------------------


「おっ、やっと来たか。待ちくたびれたぜ。」


部屋に着くなり、五卆芹(いおり)に声をかけられる。


「ごめんごめん。さっき廊下で小さな女の子に会って、少し話してたんだ。」


「小さな女の子...。あぁ、なるほどな。きっと正体知ったら、びっくりするぞ。」


にやにやと不敵な笑みを浮かべながら、俺の席を手で指してくれた。


「ところで、卑弥呼(ひみこ)は?」


席につきながら、五卆芹(いおり)に聞く。今この場所には、俺と五卆芹(いおり)の二人しかいない。呼びたてに来た部屋の主はどこに行ったのか。


「姉さんなら──」


「あっ、もうついてたんだ。配膳の手伝いしてたら遅くなっちゃった。」


卑弥呼と一緒に朝食が運ばれてくる。続いて従者たちの入室。みるみるうちに四人分(・・・)の食事の用意がされていく。


「あれ?一人分多くないか?俺、卑弥呼(ひみこ)五卆芹(いおり)で、三人分で十分だろ?」


それに答えたのは二人ではなかった。


「私もご一緒させていただくからですよ。」


部屋の入口から声。見ると、先程話した小さな女の子が立っていた。

すたすたと空いている席に歩いていき、行儀よく座る。


「君はさっきの。まだ小さいのに立派だね。」


何の気なしにそう声をかける。場の空気が凍った気がした。


「すみません、誰が小さいのか教えていただけませんでしょうか、章史(あきひと)さん?」


斜向かいに座っていたはずの女の子の姿はなくなっており、代わりに頭上から声が降ってくる。


え?瞬き程度の時間で後ろに回り込んだの?え?

理解が追いつかない。すると、五卆芹(いおり)が堪えられないといったように笑いだした。


「あはははっ!壱与(いよ)さんのこと小さいなんてっ!!ふはっ、あははっ!!」


事情が飲み込めず目を白黒させる俺に対して、卑弥呼(ひみこ)が説明してくれる。


「あのね、今あなたの後ろに立ってるのは壱与(いよ)って言って、この屋敷の全てを管理してるとても偉い娘なのよ?それと、体術ならこの屋敷で一番強いの。村で暴れた熊を素手で倒したこともあるくらいにね。」


「そう。そんで、そのつよーい壱与(いよ)さんが一番嫌いな言葉が小さいなんだよ!あははっ!」


「すみませんでしたぁッ!!!」


全力の土下座を敢行。


「あはははっっ!!!ひーっひはははは!!」


床に転げ回る五卆芹(いおり)。この野郎、痛い目見やがれ。土下座を崩さずに横目で見ながらそんなことを思う。その思いが通じたのか──。


「はぁ。まあ私のことをよく知らなかったとして今回は許しましょう。ただし、五卆芹(いおり)くん?あなたは私についてよーく知っていますよね?」


その言葉を聞くや否や、五卆芹(いおり)は一瞬で部屋から逃走する。


「逃がしません!!」


それを追って、壱与(いよ)も飛び出して行った。


二人で顔を見合わせる。


「はぁ、あの二人は放っておいて先に私たちは朝食にしましょうか。冷めちゃっても悪いしね。」


呆れた様子で卑弥呼(ひみこ)がそう言う。腹も空いているし、あの調子ではしばらく帰ってこないだろう。断る理由もないので、素直に従うことにした。


--------------------


朝食のメニューは、現実で言うところのハンバーガーのようなものだった。

パンの間に魚を焼いたものと、野菜が少し挟まっている。魚が香草焼きのような風味を醸し出していて、パリパリとした食感のパンと相性がいい。夢中で半分ほど食べたところで、壱与(いよ)に連れられて、五卆芹(いおり)が戻ってきた。

ぐったりしている五卆芹(いおり)を俺の隣に放ると、壱与(いよ)卑弥呼(ひみこ)の隣に腰を下ろした。


「全く...手間をかけさせられました。もうお食事になっているので分かっているかもしれませんが、本日の朝食は“鮭の香草焼きはさみどんぐりパン”です。卑弥呼(ひみこ)様が以前から食べたいと仰られていたので、魏の方たちに作り方を聞いてきました。」


「ありがとう、壱与(いよ)。とっても美味しい!」


「いえ...そう言っていただけるのなら、作ったかいがあったというものです。」


ほんのり顔を赤くして、俯く壱与(いよ)。女の子が仲良さそうにしているのを見るのはいいな、と破顔する。二人とも幼く見えるので、中学生ではないかと錯覚を起こしてしまう──。

そこまで考えて、壱与(いよ)の年齢を聞いていなかったことを思い出した。しかし、直接聞く勇気は出なかったため、隣でニセハンバーガーを両手に掴んで食べている五卆芹(いおり)にこっそり耳打ちする。


「なぁ、壱与(いよ)って何歳なんだ?」


「ん?18歳。」


さも当然のことのように言われる。そういえば、五卆芹(いおり)壱与(いよ)を呼ぶ時はさんをつけていたな...。

あの見た目で年上だったとは...。卑弥呼(ひみこ)といい、年齢不詳の人物が多すぎる。


「どうかしましたか、章史(あきひと)さん。私になにか?」


知らぬ間に、壱与(いよ)さん(・・)の顔を凝視してしまっていたようだ。ぶんぶんと首を振り、何も無いことを示す。それを見て、壱与(いよ)さんが食事に戻った。ふう、危ない危ない...。

視線を感じたので、顔を上げると卑弥呼(ひみこ)と目が合う。その顔は、全てわかっているとでも言いたげな笑顔を浮かべていた。

ついに10話目です。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク等よろしくお願いします。泣いて喜びます。


ほのぼの回でした。食べていたものが少し重要になるかも?


それでは次回も、よろしゅう!!

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