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呪遣い(カーステイカー)  作者: リンゴの木
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2話 転移は突然

2話 転移は突然


「…ごめん、もう一回言ってもらえます?」


「・残念ながら、貴方は死んでしまいました。

・死んだ貴方の魂を女神の私が拾いました。

・貴方の力で私の世界を救って欲しいのです。」


「…そんな箇条書きに言わんでも…」


「理解できていないようでしたので、簡単にまとめさせてもらいました。」


「そうね…説明するときはなるべく簡単な言葉にしたほうが良いしね…」


「一応、紙に書いたものを渡しておきますね。」


 女神は、そういうと一枚の紙を出して少年に手渡した。


「そうそう、契約をする時にはこういう書面を用意するのが大事だよねって…」


「ちがーう!!!そういうことじゃないのよ!何、ご丁寧に書類まで出してるの!馬鹿なの?!」


「馬鹿ではありませんよ。貴方の記憶と心を見て、出来る限りの丁寧な対応をしていたつもりです。」


「そうだよね!うん!分かってる、君は丁寧に対応していただけだもんね!うんうん!」


「そうです。」


「っていうか、心読めるなら、もう少し僕の心情察せない?」


「察した上での対応です。」


「はぁーー…、それ、分かってるようで分かってないよ…」


「そうなのですか?」


 女神は本当に分からないといった風に首を傾げる。


(こいつ天然か、それとも生真面目な馬鹿かどっちかだな)


 少年は、諦めたように大の字に寝転がる。


「…分かった。『俺は死んで、魂を女神のあんたに拾われた。そして、俺にあんたの世界を救って欲しい。』ってことで良いんだな?」


「はい。その通りです。」


「…ふぅ。状況は、理解しているつもりだ。だけどよ、納得できないし、気持ちがついてこないのよ。さっきまで、山の頂上にいたはずなのに、目が覚めると変なところにいて、女神とか名乗る輩が、世界を救ってくださいなんの言ってる、そりゃ驚くわ。」


「…確かに。」


 女神は、ハッとしたような顔をしてこちらも見る。


「はぁ…分かってもらえたようで何よりだよ。そんで、俺は気持ちを整理するから、少し待っててもらえるか?」


「はい、大丈夫です。驚かせてしまってすみません…」


(確かに、唐突すぎたのかもしれません。時間がないからと私も焦っていましたね。今まで送り出した人たちは、すんなりと受け入れて、むしろこちらの話を聞かないくらいだったのでそれがあちらの人たちの"普通"なのかと思っていましたが、勘違いだったみたいですね。これは、反省しなくてはなりませんね…」


 女神が一人で反省し始めて、30秒くらい経った時、バン!と、良い音が響いた。女神が驚いて音がした方を見ると、少年が両手で自分の頬を叩いていたのだった。


「よし、覚悟は決まった。詳しい話をしてもらえるか?女神様。」


「気持ちの整理が早くないですか?」


「ん?こんなもんじゃないか?覚悟を決めるのに、そんな時間はいらないだろ。」


「ですが、貴方はさっきまであんなに取り乱していたではないですか。それに…」


「『わけが分からない時は、そういうもんだと受け入れろ。考えるのはそれからにしろ。』だよ。」


「え?」


「死んじまった俺の姉さんの言葉だよ。ごちゃごちゃ考えずに、進んでみろってことだな。無鉄砲だった姉さんにお似合いの言葉だったな…」


「……」


「まあ、そういうことだから、俺は大丈夫だ。それより、さっきは変に取り乱しちまってすまなかったな。」


「いえ、こちらも、貴方のことを何も考えずに色々言ってしまいました。」


「おあいこってどこだな。」


「はい。立ったままでは、あれですし、そこの椅子に座ってください。これからのことをお話しします。」


 女神が指さした方を見ると、そこには1つの机と二脚の椅子があった。机の上には、淹れたばかりの紅茶があるようだった。良い匂いがこちらまで漂ってきていた。


「ではまず、私の世界の事と、その世界に潜む魔物という存在について話しましょう。」


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