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第一章 事の起こり

マスター・パラグラフとは、小説の前の文章です。

咲夜は、物思いにふけっていた。

彼女が思う、ある人物についでだ。

銀髪で編んだお下げを彼女は顔の両端から下げていた。

そして、給仕用のカチューシャを頭に付けて、白と青のメイド服を着ていた。

肌は白く、丁度10代後半くらいの少女であった。


あの人は、シンシと云う名前だったか。


物思いにふけっていた彼女の所へレミリアが散歩がてら紅魔館内を歩いてきたので、しかも、今は5月のまだ明るい4時頃である。

レミリアは、咲夜の主である吸血鬼であり、白い柔らかい帽子を被った、白と少し赤のドレスを着て、帽子周りに赤のリボンを付けていた。

水色の髪の可愛らしい幼女で7歳ぐらいの容姿であった。

さっそくだが、咲夜はレミリアにお暇を貰う為に頼み込んだ。


「お願いです。レミリアお嬢様。私に暇を下さい。有意義に使って参ります」


「いいわ」


びっくりする事に、2つ返事で了承が出た。

ならば、もうここに用はない。と変な想いをして、彼女はせっかちにも時を止めて出ていった。


「いや、急ぎ過ぎでしょ」




彼女が紅魔館から出ると、向こうから暗闇がやってきた。


ルーミアだろう。


暗闇の中に咲夜が入る。物怖じもせずに。

当然ながら、ルーミアがいた。咲夜はライトを付けているのだ。

恐らく、頭が悪そうな妙な顔をしているだろう。

しかし、予想とは裏腹に、知的そうな表情に黒く輝く瞳は、咲夜の知っているルーミアではなかった。

そのルーミアは格好こそ、黒のワンピース・白のアンダー・そして短い金髪に・赤いリボンであったが、もうちょっとルーミアは、瞳が暗く、無知そうな表情であったはず・・・。


そのルーミアではなかったのである。


「ご機嫌よう、咲夜」


「覚えているのね。ルーミアはもうちょっと頭が悪い感じだったけど。・・・・・あなたではないルーミアの事ね」


「まあ、あなたのルーミアではないわ。つまり、こちら側の世界の住民ではないと云う事」


「“あちら側のルーミア”と云う事ね。さっそくだけど、倒れて貰うわ」


どこかからナイフを取り出そうとする咲夜。

しかし、それを人差し指をで制して、ルーミアは続ける。


「あなたはもうすぐ出会いを経験する事になる。それが良いか悪いかは、あなたの見方が決める事だけど。まあ、幸運を」


「それはご忠告ありがとう。でも、なんでそんなキャラクターなのかしら?」


「まあ、そう云うものよ。忠告をするキャラクターはファンタジーでは王道よ」


「それじゃ」


「また、会いましょう」




咲夜が人里にいく。

人里は、人妖共に数多くいき交っており、その多くが人型であった。つまり、言ってみれば、人間と妖怪が見分けがつかなかったのである。

だから、道には、人間ばかりが通っている様に見える。


「こんにちは」


その中の1人である、八雲紫が咲夜に話し掛けてきた。

紫は、紫色の服を着て、白く柔らかそうな帽子に無限印の赤いリボンを付けている。

上品な傘を持った少女であった。

年齢は千歳を超えるらしいが、まあ、見た目は少女であった。


「紅魔館のメイド長。初めましてかしら?八雲紫と言うわ。どうぞよろしく」


「紫?話には聞いているけど、余り慣れたくない人柄ね」


紫は、傘を差して歩き出す。咲夜も追随する。


「さっそくだけど、情報をあげるわ。前メイド長の話、シンシと云う人物よ。あなたが考えていると聞いてやってきたわ」


考えているとは、どこで聞くのだろうか?


「確かに、私はまあ、その人の事を考えていたけど、なぜ、知っているの?」


「まあ、勘よ。巫女の勘じゃないけど」


実は、シンシは、胸が大きい以外は上品な人だった。

白く短い髪に黒のメイド服、そして切れ目に赤い唇、くっきり通った鼻にふっくらした頬。

給仕用の帽子、優しそうな目、そして、白く長い指。

どれを取っても、“すごい”雰囲気の人だった。

すなわち、“すごい”とは、昔の咲夜にとっての“すごい”なのであった。

しかし、9年前、メイド長を辞めて、雲隠れしてしまった。




・・・いきなりだが、パチュリーは対峙していた。

それは、怪物と云う名前が付く“フランドール”と云う生物。

明らかに、蜘蛛の化け物である巨大なそれは、あからさまに正気を悪意的にけずっていっている事がパチュリーには良く分かる。

しかし、スペルカードを発動させると、意外と云う感想があるくらい、俊敏に、下から上に攻撃するそれを見切ったのか、上に大きく飛び跳ねて、一瞬で蜘蛛の巣を図書室の上部に張り巡らせた。


「いや、これは攻略したね」


“フランドール”が喋った。どう云う意味だろうか?


サイレントセレナは、蜘蛛の巣によって、勢いを殺され、網目に分断されて露と消える。

さっきの“フランドール”の台詞は、文字通り攻略を確信した言葉だったのだろう。


「くっ!」


その間にパチュリーは、いつの間にか、蜘蛛の巣に捕まっていた。

蜘蛛の糸は、蜘蛛特有の短い触手から放射出来る様で、一瞬で蜘蛛の巣を生成され、そして、その中心に捕まってしまったのだ。

十字架の様に貼り付けられ、パチュリーはもがくが、当然の如く、さらに糸が絡まって身動きが取れなくなるのだった。




その同時刻、レミリアが魔法を使った。


「魔法「チェーン」」


スペルカードであるが、それは、咲夜が“フランドール”と出会うのを悟って、レミリアは、それを使ったのだ。

幻想の鎖が遠く、恐らく咲夜の方角、まで曲がる事なく、真っ直ぐに伸びている事が傍目からも分かる。

レミリアは翼をパタパタしてうずうずしていた。


この異変はどんなものだろうか?


ワクワクしていたのである。




咲夜はと言うと、時を止めて、紅魔館へと、飛んで向かっていた。

しかし、途中で、怪物が見えた。

ドラゴンである。

冷静に見ればかっこいいと思えるかもしれないそれは、しかし、正気を削る様なそう云う悪意があった。

つまり、それも“フランドール”だったのである。

しかし、咲夜はそれを気にもせず、一瞬見ただけで、飛び去ったのである。

これは、レミリアの魔法のお陰である。

(無論、動く訳もない。)




それはなぜか?

咲夜は予感がしていた。

パチュリーに身の危険が付いている。

つまり、パチュリーが危険だったのだ。と咲夜は予感していたのである。




紅魔館に着き、図書室に急いで入る。

そこで、咲夜は、見た。

図書室は、大きな蜘蛛の巣だらけであり、上も下もその様な光景ばかりだった。

その中で、パチュリーは体中雁字搦めに蜘蛛の糸に縛られている。


「パチュリー様!!」


呼んでも答えがないので、飛んでナイフで糸を切りながらパチュリーを救出する。

パチュリーを縛っていた糸が全部切れて、落ちてくる彼女を咲夜がしっかりと抱き止める。


「パチュリー様、大丈夫ですか?!」


返事はない。しかし、抱き止めた事から生きている事が分かる。

体温があるからだ。




さっそく急いで、パチュリーを紅魔館内の病室に運ぶのだった。


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