第5話 いつでもお応え致します
ちょこっとお色気回です。
苦手な方は読まなくても本編の進行に影響はありません。
「セルシア、話って……?」
「その前に結界をお願い致します」
「あ、うん……」
セルシアに言われた通り、早九字を切って部屋を結界した。そしてすぐに差し出されたおにぎりを頬張って腹を満たし、改めて彼女を向き直る。
「それで話は?」
「旦那様、また危険なことをされたのですね」
「あ、いや、実は……」
「言い訳は旦那様らしくありません」
言葉は強いが、彼女の目には涙が溢れそうになっている。
「私ももちろんですが、旦那様に万一のことがあったら、皆生きていけなくなるんですよ」
「俺なら大丈夫だから」
「そんなことは分かっています! ただ……」
「ただ?」
「分かっていても、心配で心配で仕方がないんです」
言うとセルシアは、勢いよく俺の胸に飛び込んできた。お陰でベッドに押し倒されるような状態になったが、そんな彼女を抱きしめて優しく髪を撫でる。すると顔が正面に向かい合う位置まで上ってきて、彼女は俺の頬に自分の頬を当てた。気持ちいい。
「旦那様?」
「うん?」
「今夜は……」
「うん」
一緒にいたいってことだよね。俺ももう帰すつもりはないよ。ところが、彼女の口から思わぬ言葉が飛び出した。
「私が旦那様をお仕置きさせて頂きます」
「へ?」
「やめろという命令はなさらないで下さいね。それからお仕置きが終わるまで、私の耳を触るのもナシでお願い致します」
「あ、あのさ……!」
唇を彼女の唇で塞がれ、俺は言葉を遮られてしまった。これまでにない大胆で積極的な行動だが、彼女の顔も真っ赤になっているから恥ずかしいのだろう。しかし、セルシアはさらに驚くべき動きを見せる。何とそのまま半身を起こし、俺のパジャマのボタンを外し始めたのだ。
「せ、セルシア?」
「お仕置きです!」
「あの、何をはほへほ……」
突然、彼女のしなやかな指先が俺の胸をくすぐるように這ったので、思わず変な声を出してしまった。
「セルシア、やめひふっ!」
「うふふ、旦那様、可愛い」
言うと彼女はさらにパジャマのボタンを外し、とうとう俺の上半身が丸出しなる。これ、けっこう恥ずかしいぞ。だが、お仕置きはどんどんエスカレートする。まさか、まさかそんなこと!
「せ、セルひぁっ!」
彼女の柔らかな唇が、俺の乳首を包み込んだのである。その瞬間、今まで味わったことのないくすぐったさと快感が全身を駆け巡った。
「セルっ! セルシっ! ふぁひっ!」
俺の乳首は完全に彼女の支配下に置かれていた。吸ったり舐めたり、やりたい放題されている。これが彼女のお仕置きとは、全く予想もしてなかったよ。
それからどのくらい時間が経っただろうか。ようやくセルシアが俺の腕枕で横になった頃、息が上がってクタクタになっていた。
「旦那様?」
「うん?」
「旦那様も、あんな声を出されるんですね」
「セルシア……」
「くすぐったがられるだけかと思ってました」
個人差はあるだろうが、どうやら俺は乳首が敏感らしい。危うく昇天させられるところだった。
「旦那様の弱点、発見です!」
「こら、調子に乗るな」
「えへへ、命令……」
「命令?」
「止めろって命令されなかったのが嬉しいです」
「あはは、お仕置きだったからね」
そう言うと彼女は、腕枕している俺の手を両手で握ってきた。
「旦那様?」
「うん?」
「旦那様は私のこと……」
「セルシアのこと?」
「……」
「セルシア?」
「や、やっぱり何でもありません」
どう思ってるのかって聞きたかったのかな。聞かれたら、ちゃんと素直に答えられただろうか。これだけ距離が近くて、かなり際どいこともやっているのに、いざ真剣に聞かれたらと思うと気恥ずかしさがハンパない。それに、答えてしまったらギリギリ抑えている理性が吹っ飛びそうだ。
「セルシア、ごめんな」
「……旦那様?」
「いつも心配かけて済まないと思ってる」
「そんな……! 旦那様は誰よりもお強いので、心配しなくても大丈夫なのは分かってるんですけど……」
俺の手を握る彼女の手を、さらにもう片方の手で覆った。
「今が幸せ過ぎるから、少しでも何かあると不安になってしまうんです」
「俺はセルシアのことも皆のことも、ずっと護っていくつもりだよ」
「はい、でも……」
セルシアの目から涙がこぼれる。
「泣かなくていいから」
「危ないことはしないで下さいと言っても、旦那様は誰かのためなら黙っていられませんよね」
「う……まあ、それは……」
「もう分かってますから」
泣きながら微笑む彼女の瞳が、星明かりを映して美しく見える。
「ですから、今度からはちゃんと何をされるのか教えて下さい」
「あ、うん。それは約束するよ」
「きっとですよ。お守り頂けなかった時は……」
「守らない時は?」
「お仕置きに、伽をさせて頂きます!」
「伽ね、分かっ……と、伽!?」
確か前にもそんな話をしたことがあった。俺が望むならいつでもいいと。しかし、今度はお仕置きときたよ。されてみたい、というのは置いといて、だ。
「いや、あの……」
「旦那様がお嫌だと言われても、お仕置きですから」
「セルシア……」
「でも……」
「でも?」
「望んで下されば、いつでもお応え致しますからね」
「ぐはっ!」
その後、小さな寝息を立てる彼女の隣で、悶々とした一夜を過ごす羽目になったのは言うまでもないだろう。
これでストック切れです。
明日は更新出来ないかも知れません。
でも頑張ります!




