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タヌキの演奏に聴き入って…。ーオヤジ視点ー


ーオヤジ視点ー


これほど、歓喜に沸く街を見たのはあれ以来だろうか?

まだ、俺が勇者一行であった頃。


この街を守れたあの日。

街は、半壊されながらも人々の歓喜の声が響いていた。


だが、今回は少し違う。

人々の顔の中に非常に強く未来への希望を感じる。そんな街中をタヌキと歩くが、俺に気づく者もいない。


落ち着かぬタヌキの(マナコ)は、ただひたすら食べ物に釘付けだ。

どうも、パリゼヌにヨダレを垂らしているようだ。


あんな甘そうなモノが良いのか?

一串買ってやれば、夢中に食い付くタヌキに周りの人々が惹きつけられる。

あっという間に、パリゼヌは人だかりに…。


タヌキ…。


マスコットタヌキとして、最高得点だろう。


そんなタヌキに毎度の事ながら感心していたのが悪かったのだ。


隙が生まれた…。


俺の手を振り切って駆け出すタヌキ!!

必死に探すも目と鼻の先で、タヌキの姿が消えた?!


そんな…。


魔力を探索に集中させても、何かが邪魔をして全く探索出来ない。


何者かが、タヌキ狙いで画策しているならばかなりの手練れ。

しかも、魔力を扱うのに長けている。

正直、お師匠様以上となると…。


焦る俺の目の前に、タヌキがポンっと現れた。


本当に、突如。。。


俺は焦って問い詰めようとしたその時、タヌキの手に持つモノに気付いた。


ソレはナンだ?


いったい、ナニを??


この世界にあり得ないモノ。

この世界であってはならぬモノ。


なんと?!

タヌキは、この物質を見知っているらしい。

しかも、名前のみならず作り方も知っていそうな気配だ。


思考を張り巡らせていると、声がした。

聞いたことのある。

聞きたく無い。


そんな声。



ザリ様?!

拒絶に近い声質に、ヒヤリとする。


やはり…。

許されない検索を諦める。


ザリ様が、地図を指差して告げた内容は思いもかけぬモノだった。


「『世界のヘソ』へ行け。

お前たちでなければ、出来ぬ事がある。

それだけが唯一の家へ帰れる方法となる」


見たことの無いモノで作られ、見たことの無い内容の地図。

こんな場所、この世界に存在するのか?


そんな中、ラクスゥ・レレベーナと人々を歓喜と混乱に叩き落とす登場に周りの人々が固まっている。


ラクスゥ…。

レレベーナ…。


どちらも、想像の存在とされていた。

いや、実在しても我々の目に入る事はない。

そのような存在だと、誰も知る故に混乱はいや増す。


俺は俺とて、ザリ様の言われた内容に大混乱している頭の中を整理していたら、何処からか…草笛が聴こえてきたではないか?



アレは?!



パパラヌ風だが、間違い無い!!


精霊だ!!!



レレベーナ様の呼び掛けに応えたカタチだ。

しかも、仲間の登場に喜びタヌキの演奏。



そう…


あの腹太鼓だ!!!


大演奏会に混乱したいた街の人々も、落ち着きを取り戻していた。


そして、



今日一番の…

いや!!


最近の一番の歓喜の瞬間が訪れたのだ。


なんと!!


ザリ様がお嫁さんでは無いと説明をしたからだ!  


最初は反抗的だったタヌキも納得してくれた。


あーーー!!!


今日は良い日だ。


明日。

新しい地図と。


新たな困難があっても。。



幸せを噛み締める俺の耳に届く腹太鼓の演奏。まるで俺の新たな門出を祝うような…。


そんなタヌキの演奏。



俺は、いつまでもいつまでも、街中の人々と共にタヌキの演奏に聴き入っていた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 新年明けましておめでとうございます(*^▽^)/★*☆♪ そして更新お疲れ様です(^_^ゞ この物語り全編の中でもトップクラスのオヤジさんの歓喜(笑) やはりオヤジさんはたぬきくん一筋なの…
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