目が覚めて?!
ーたぬき視点ー
うぉ!
ここは、家?
いつの間に俺戻ったのかな。
この毛布…ウフフ最高さ!!
ん??
アレェ?
あの仲良し二人組がいるし。
ついてきちゃったの??
「タヌキよ。
寝ぼけてるのか?
『聖者の塔』から戻って来たんだ。
逃げている途中でラクスゥが迎えに来てくれたんだ。
まぁ、今はいないが…」
そうか。
でも…この肌触り。。
「それは、あれだ。
お前が気を失って中々目を覚さないから起爆剤にだな…」
モゴモゴしてどうした、オヤジ?!
何喋ってるか分からないぞ!
「勘弁してやれ、パパラヌ。
コイツは、血相を変えたところを初めて見たんだ。
それと言うのも、お前がちっとも目を覚さないからだぞ。
あれから丸一日経ったんだ」
おや、痩せっぽちのお店の店長さんか?
それにしてもいつ終わったんだ…遠足…。。。
俺。お弁当も食べてないのに…。
は!
そう言えば、あのぬいぐるはどこ?
遠足の参加賞とかだよね?!
オヤジ?
「あれは、消えた。
まるで、塔の側から離れないように…な」
おぉ、突如登場!!
オヤジフリーク。
別名、アイドルのオヤジのコアなファンのマルスさん。
そうか…。
ワンコだものな。
飼い主の近くが一番。
オヤジのお母さんのワンコだな。
「タヌキよ。
お母さんとは?
塔の中でいったい何があったんだ?」
オヤジが急に迫って来た。
うーん。
マザコンなのに、俺だけ会って悪いことしたな。
ん?
あれは?
壁にお母さんの絵を飾ってるし。
なんだよ、もう!!
言ってくれれば…あ!そうだよ。
伝言,伝言!!
「お母さんから伝言だよ。
えーと、確か跡取りの貴方は頑張れって。
鍵を預けたからね。とか言ってた。
そうそう、お母さんも塔でもう一仕事するって言ってたよ!」
な、何ーー??
号泣してるし、仲良し二人組!!
「分かった。ありがとう、タヌキ。
今日は、タヌキの念願の買い物へ行こう」
お?
オヤジが元気回復か?
はぁ、とうとう買い物だぞ!!
ベールを取って来れなかったから、探す物が増えたなぁ。
でも…。
食べ歩きも楽しみだなぁ、弁当の食いっぱぐれもこれで、チャラだぁ!
号泣二人組を出し抜いて、オヤジと二人で買い物へ出発だぁ!
ーオヤジ視点ー
目を覚さないパパラヌ…。
後悔が先に立つ。
もしかして、連れて来なければ…。
一人で行かせなければ…。
一人で行動していた頃には考えられない俺の変化だな。
後悔や、迷い…。
我が道をゆく。そんな感じだと思っていた俺のこれまではある意味自暴自棄的だったのだろうな。
タヌキを守ろうと自分も守るクセがついたからな。
眠りこけるタヌキに毛布をかける。
マルスに頼んで隊員に毛布を買いに行って貰ったのだ。(側を離れる訳にはいかないからな…)
せめてと。
ようやく目を覚ましたタヌキは、爆弾発言を繰り返す。
仲良し二人組と言われるたびにグラセルとマルスの嫌そうな顔が面白いから訂正はしないが…。
しかし、塔の中で何があったんだ?
俺の母親?
俺を売り飛ばしたあの…。
まさかな。
ん??
なんと…。
跡取り…。
鍵…。
タヌキの言葉の解読をすると、主様はまさかの女王だな
更にはラクスゥが俺を変身させた事とも何が関連があるのだろうな…。
そして、俺が何かの鍵を握ってる。と、言う事だな…。
号泣する二人の気持ちは理解出来る。
この国を。
あの方はずっと守って来たのだ。
長い長い間…ずっと。
恐らく…魂だけの存在となっても…。
目を閉じて、暫しこころを馳せる。
しかし…まだ泣いているとは。
呆れて混じりにタヌキを買い物へ連れ出す。
嬉しそうなタヌキに満足しながら。
この街を久しぶりに素顔でゆっくり歩けるな。
大混乱の今なら…




