ラクスゥ現る?!ーオヤジ視点ー
夜になると、湖の周りは真っ暗になる。
月明かりの無い夜はこんな風景は当然の事で、薪のみが明かりを灯している。
火に当たっていた俺の横で、眠たげなタヌキの耳がピクピクと動く。
変わったタヌキだ。
だが、他のパパラヌと変わらず耳が良いのだ。
我々の聞こえない音が聞こえると、知っていた俺はぼんやりとそんなタヌキを眺めていた。
すると、タヌキは突然腹を殴り始めたではないか!!
自暴自棄?!
タヌキにいったい何が?
ドンドコドン、ドンドコドン、ドンドコドン♪
え?
タヌキが腹を殴りつける音が、一定のリズムになってきたのか?
ドンドコドン、、、ドコドンドン、、、?
その音に応える音が?!
タヌキが嬉しそうに腹を殴りつけるのは、まさかの音楽なのか?
音がするという事は、相手がいるという事だ。
真っ暗闇の中から、現れたパパラヌ・パパラヌ・パパラヌ!!!
囲まれた。
カラなどは、真っ青な顔色で俺の方へ目配せをする。
俺は、首を横に振る。
カラ、気がついているのか?
このパパラヌ達は腹の音はすれど、足音など全くしないという事を。
それが意味する事を。
「オヤジ!!
凄いよ。ココ。
まさにゼクシィだよ!
用意万端で馬の用意をしてくれたから!!」
タヌキが指差した方には、湖がある。
真っ暗で見えないが…いや、前言撤回。
柔らかな光が一本の道を作っている?!
まるで、光の道の様に見えるおそらく湖から続く一本道。
パカパカ…。
音はすれど、姿は見えず。
周りのパパラヌは、相変わらず腹から音を立てるもタヌキはすっかり一本道を見て手を叩いている??
「オヤジ!!
来てくれたよ、花嫁道中で花嫁を乗せる馬が!!」
ウマ?
アレは違う。
完全に違うだろ?タヌキ。
羽の生えたその姿は、ラクスゥ。
天からの遣いと言われる聖なる動物。
見た者に祝福を齎すと言われる一方で、怒らせたらその国が滅ぶとも言われる。
「これなら、大丈夫だ。
お嫁さんも、教会までこの馬に乗ってお父さんに手を引かれ……あ!!!!
そうか、お父さんを迎えに。だから居ないのか?」
ブツブツ言うタヌキの横でラクスゥと目が合う。
『我はこの先に用がある。
此奴の力で召喚されしモノ。先へ進め。
我が其方等を守ろう…』
は!!
気がつけば、辺りは明るくなって夜明が来ていた。
そして…。
湖も
パパラヌも
何も無い森の中に。
ラクスゥは、
ラクスゥだけは、そこに居た。
タヌキと戯れながら。
ふふふ。
タヌキよ。
もう慣れたよ、お前のびっくり箱ぶりに。
ヤケクソだな。
さぁ、ラクスゥの背中乗って出発だ!!
(タヌキ曰く、背中に乗れとラクスゥが言っているそうなので…)
ラクスゥの上で前に抱えているタヌキを見た。
大物過ぎるタヌキのお腹が少し赤みを帯びていたのが、
今、一番気になるなと思いながら…。




