結婚祝いと言えば…鯛!!
うーん。
中年の夢って、若い女の子だと聞いたけど。
真っ赤な小柄な彼女にプロポーズとは…やるな!
よし!!
オヤジのお嫁さんにご挨拶を。
??
オヤジよ。
既に尻の下か?
そんなに首を横に振って真っ青な顔って。
とにかく固めの杯だな。
そんな風習だったはず…?!
そこで秘蔵のドブロクをお嫁さんにオススメすると気に入ったようで。
おぉ、まさかのウワバミ?
こんな酒豪のお嫁さん。
オヤジの経済力が試されるよな。
なるほど!!
だから、狩りの大会を頑張ってたんだな。
男の甲斐性か?…オヤジ!!
その日は、お嫁さんも早帰りしたようで。
パーティもお開きになる。
片付けの後でリリが美味しいジュースをくれた。
「パパラヌ。
あの指輪はいったい何処から…」
最後が聞こえない!!!!!
リリ!!
喉を抑えて凄く苦しそうだけど、大丈夫?
そっと背中を撫でようと近づくと、リリはようやく起き上がって。
「大丈夫だよ。
それより、お代わりを飲むかい?」
ええー!!
今日は2杯も飲んで良いの?
この美味しいジュースは、リリ秘蔵品。
ご機嫌の俺はオヤジに祝いを渡そうと考えていた。
そりゃ、結婚祝いを贈るのは家族の役目だろ?
と、なりゃ。
そう。
間違いなく『鯛』
しかも尾頭つきだ?
でもさ。
オヤジの住むこの森の近くには、海は無い!!
どうすれば…
『では、吾と三人で海まで行って、タイを獲れば良い。ゼルグフよ。共に参るな?』
おぉ、心強い味方登場だぁ!
ただ、お祝いを渡す人と渡される人が一緒に鯛を釣るとは…。
『それが家族だろう?』
お嫁さん…。
そうだね。
俺とオヤジは家族。
と、なれば…
病める時も健やかなる時も貧しき時も…と誓い合った仲。と言うことになる。
はず…。
「オヤジ。
俺は家族の為に大物を釣るからな!」
と高らかに宣言した。
「既に、かなりの大物を釣り上げているけどな…タヌキ」
興奮していた俺には、オヤジのボソッと喋った言葉は聞こえなかった。
ーリリラル視点ー
ふぅ。
永く生きてみるものだね。
こんな伝説級のモノにお目に掛かるとは。
驚いたよ。
だが、その動揺で油断したね。
パパラヌに指輪の事を尋ねようとしたその時!!
苦しい!!
息が出来ない。
パパラヌが近寄って触ろうとしなければ危なかった。この圧倒的な力の源は、全くの謎だ。
無論、魔力ではない。
その日はパパラヌの機転でお酒を飲んで帰って行ったから良かったよ。
しかし…アレをお嫁さんとはパパラヌには恐れ入ったよ。ゼルグフのあんなに焦った顔を見たのは小さい頃に魔力を爆発させて家を吹っ飛ばした時以来かねぇ。
今後、アレをどうするかゼルグフと相談していたが良い案も出なかった。
人間如きに太刀打ち出来る相手でもないしね。
と、思っていたら。
いたよ。
太刀打ち出来る相手が。
パパラヌ。
タイとか言う謎の物体を求めて旅に出るとは。
だけど、良い案かもしれないね。
満足したら、帰るだろうし。
ゼルグフは諦観の表現だね。
三人で旅をするなら、あたしがこの家を守っておくよ。安心していってらっしゃいと言ったら。
ゼルグフが苦笑いして礼を言ったが。
パパラヌは、あたしの手を握って、家族なのに置いていってごめん!!
とか、言って「大物を釣るから楽しみにしたね』と言ってたな。
もう、パパラヌが何を釣ってきてもあたしゃ驚かないよ。
あたしは、パパラヌとゼルグフが旅支度の買い物に行くのを見送りながら言い伝えを思い出していた。
『ソレをもし、怒らせれば災いの降る世となる。
だが、ソレに気に入られた者には、幸いを齎す』
ゼルグフ一人じゃ不安だが。
パパラヌが付いてるからね。頼んだよ、パパラヌ。
ゼルグフは、不安そうだが大丈夫だよ。
パパラヌがいるんだからね。
正直、パパラヌも伝説級の存在だよ。
あたしに言わせれば…ね。




