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ブーラカ町長の政令発表!!

『ゲランバの森』を隣に持つ我が街『ブーラカ』


それは、単なる危険な村の名前に過ぎなかった。

大物狙いの冒険者が来るギルド以外に、我が街に特徴的なところはない。


そのはずだった。


つい。この間まで…。


それがいまはどうだ!!


『デセルト布団店』

『服屋ガザラン』

『家具店アバンド』


名だたる大店が軒を連なる商店街。

いや、もはや単なる商店街とか名乗れないのかもしれないが…。


町長である私にとり、この発展は驚きに満ちていた。



パパラヌが街へ来ると、幸せになる。

そんな不思議な合言葉が商店街に流れる中、パパラヌなどが紛れるなどあってはならない!!と断固たる町長らしさを示す為自警団と現場に赴く。


カオスか?


この状況は?



見た事もない毛むくじゃらの大男がパパラヌとお婆さんを連れて、服屋ガザランの前で話し合いをしていたからだ。

そこに、見慣れなぬ冒険者や流れ者まで集まったのだ。

カオスと言う以外ない!!


ここは、我が街。

私は町長。


カオスを収める役目が、私にあるのだから。


「コホン」

一つ咳払いをして双方を見れば、全くの無視?!


「だからな、俺は辞めたのよ。

休暇なんかじゃないから!!

聞いてるか?」


「将軍閣下。

御冗談がお好きなのは分かりますがこの様な場では似合わぬでは、ありませんか?

副将軍閣下のご苦労をどうぞ、理解されこの場は我々にお任せ下さい」


「若造。聞いてるか?

ランスという名前だ、だと。知ってるに決まってるだろ?ギルドの秘蔵っ子だよな、ランス坊や。

よせ!!

街中で乱闘騒ぎでも、起こすつもりか?

町長さんが、黙ってないぞ?」


「な、タヌキ。

服は、充分にあるから帰ろうか?

それとも、また屋台などを見にゆくか?」


カオスは、更なる混沌化していた。

大声を出そうと身構えたその時!


「オヤジよ。

よくぞこのカオスの中で、その話題聞けたね?!

親友ダラさんと、ラオスの口喧嘩を止めないで良いのか?

しかも。

リリさんと言うか弱い女性までいるのに」



パ。

パ。

パパラヌが…。



パパラヌがしゃ、喋った?!


しかもこの状況を一番読んでる?!



唖然とした私を更に混乱させる状況が起こる。


『転移』


冒険者は?

流れ者は?


毛むくじゃらとパパラヌとお婆さんのみになったじゃないか?!

転移魔法なのか…。


まさかな。

転移魔法と言えば、国でも数人しか扱えない特殊な魔法。

しかも、触らずに相手を転移させるなんて聞いた事がない!!


「アンタね。

触らないで転移とか、何処まで行く気だい?

だいたい、ランス坊やは良いとしてダーラントは煩いよ。

で。

何処へ飛ばしたんだい?」


「『ゲランバの森』の入り口」


お婆さんのため息が出る。


そうだろう。

我々とて、聞いた我が耳を疑ったからな。


これは、まさかの殺人犯なのか。

パパラヌどころではないな。

見過ごす訳には、行くまい。



「それは、良い事をなさいました。

ランス辺りは、これから向かうところだったでしょうし。

ダーラント殿は、暇を持て余しておりましたから。」


また、新たな者たちが現れたぞ?

しかも、制服を着ている。

これは、もしや…


「村長。恐らく騎士団です。

喋ってる男の制服から言えば、団長かと」


な、な、なにーーーー!!!


騎士団だと。

王都にいるものたのではないのか?!


何でこんな田舎町に?


「稀代の魔法使いであるリリラル様。

ご挨拶申し上げます。

騎士団のザルゼと申します

ゼギー殿も先日の大物退治聞き及んでおります。

改めてご尊敬申し上げます」


??


稀代の魔法使い…


!!!!!!!!


じゃあ、あの見たものは呪われるという気紛れ魔法使いのリリラルか?

とにかく、長生きして暇を持て余しては会う者を適当な魔法を掛けてイタズラすると言う。。。


「リリ。オヤジ。

挨拶されたのに、無視はダメだよ。

ザルゼさん、お久しぶりです。

俺たちは、これからオヤジの服を買いに来たんです」


パパラヌ!!

丁寧な挨拶。

場を読む力!!


なるほど。

このパパラヌは、特別なモノだ。


魔女を愛称で呼ぶ辺り、このままにするのが良いな(触らぬ神に祟りなし…だな)


「これはこれは、パパラヌ殿ではないですか。

私どもの服屋ガザランへお越しでしょうか?

さぁ、ぜひどうぞ!!」


店主のまさかの大歓迎を受けて(大店だぞ…ココは)店内へ入ろうとした時だった。


「ゼル!!

お前なぁ、突然飛ばすのは、ヤメロヨ。

まぁ、お陰で2、3匹倒して来たから、小銭稼ぎにはなったがな」


「ゼギー様。

我々の実力を試すのならば、コレをご覧ください。

極大鰐を数匹倒しました。

あのご馳走を頂いた夜から、調子が良くてアッサリと倒しましたよ」


なんと。

転移魔法で飛んだ冒険者と流れ者が


まさかの極大鰐の魔石を見せながら笑顔で戻って来たとは。

こんな事が…。


森って遠かったのに?


「パパラヌちゃん。

この間のご馳走、ありがとう。

美味しくって忘れられないわ」


冒険者の仲間が近づいてパパラヌを撫でていると、毛むくじゃらが抱き上げて遠ざけた?!


何故??


「アンタね。

嫉妬は醜いよ。全く…」


「リリ。

オヤジの照れをそんな風に庇うなんてな。

家族って良いよな!

アヴィさん。

酒蔵が出来たんです!!

また、新しいメニューをリリと開発中だから楽しみして下さい!!」


パパラヌ…。


この睨みつける毛むくじゃらを、まさか照れていると?!

睨み合いをする令嬢と毛むくじゃら。

パパラヌは、喜び手を叩いているし。



我々はこれ以上の混沌を見る事なく(見たくなく…とも言うが…)その場を離れた。


そして、私は政令を発表した。



「特別なパパラヌの立ち入りを許可する」



あの場で唯一の和みの素は、この街に必要だと理解したからだ。



だが…パパラヌもあやつらの仲間と理解した。


感覚が我々と違う。

おかしな一団だと…。




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