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お客さんにおもてなし?!


「おい。ロナ様から直接の依頼だぞ!

しかも、断っても良いと書いてある。

危険度が最高値だとさ。さぁランス、どうする?」


面倒臭いとギルドとの連絡を全面的に頼んでいたベンスが持ってきた依頼。

しかも危険度最高値とは…。


断るに決まっ…え?


「だから!!

お前がこないだからやたら気にしてるブーラカだよ。田舎町のさ。ブーラカ!!」


キレ気味のベンスのセリフが頭に入った途端、俺は返事をしないまま身支度を始めた。

それが意味するところを正確に知っているベンスはため息混じりで呟いた。


「はぁ。

せめて『受けよう』くらい言えって。

お前の無口は、既に立派な武器だ!」


いつもの戯言を聞き流して、隣の部屋のアヴィとクロンヌへ声を掛けた。


「依頼だ。受けるが危険度最高値だ。

行くかどうか今すぐ判断してくれ」

最小限の会話でも、仲間たちは全てを理解する。


俺の足早な準備をよそに、驚きもしない仲間たちが目の前に準備万端で集まっていた。


最高の仲間だな。


その足で、転移魔法を使いブーラカのギルドへ。

俺を出し抜いて、ギルマスに収まっているクランスがいるだろう。と思いつつ。


着いた!!


あれ?


なんと、目の前にいたのはロナ様だったのだ。

まあ。無論、横にクランスがいるが。


「ココに来たと言う事は、依頼を受けたと言う事になるわよ。いいわね?」


念押しをしてくるロナ様に頷くと、何故がため息で。


「あのね、声を発しなさいよ。

ランスの声をわすれちゃうわよ!!」

こちらも通常運転だ。


微かに頷くと、困った様な表情で苦笑いするロナ様。


そんなやり取りをしながらも、俺の目は一方向に釘付けだった。



そう…

あのお姿は…



やはりご無事だった。


「お前たち、このロナに騙されるなよ。

コイツは無茶苦茶するからな。

改めて挨拶しよう。

ゼギーだ。よろしく」


思わず、握手に飛びつきそうになるも偽名を名乗る彼の意思を汲み静かに握手を返した。


後ろでは、アヴィがびっくり顔で固まってる。

ロナ様命の彼女からしたらゼルグフ様の態度は信じてられないだろう。


「アンタね。まあ良いわ。

アンタが他人と組むだけで信じられないのだから。

森を守りたいと思うその気持ちは理解したわ。

クランス。

後はお願いね」


ロナ様の本部へと転移された。


すると、よそ見をしてあからさまな態度のアヴィや呆気に取られる仲間に全く意に返さないクランスの説明が続く。


混沌か…ここは。



そんな感想が出そうなくらいのバラバラ感のままだったが、説明が進むにつれその様相が変わる。


巨竜螢雷?

このセリフ自体が危険度をより身近にする。


それがだ。しかも『群れ』とは!!


その上。

まさか、たった一人で数匹倒したと?

ゼルグフ様の偉業を知っている自分ですら信じられない強さ。


幾らなんでも…と少し疑わしげにゼルグフ様を見れば全くの平常値。


まあ、この方は嘘は無い方だ。

本当だとしたら…。


危険度最高値の呼び名に納得と僅かな恐れが生まれた。それは我が仲間全員にだ。


例え、ギルド最高峰とされる我が仲間でも。



ところがだ。


更なる混沌はその後に、やってきたのだ。

ゼルグフ様の案内でやってきた、森の入り口にある自宅でだった…。


ーたぬき視点ー


オヤジ。



まずは紹介からが定番でしょう。

「お客だ。」じゃ、ね。


「珍しい顔が揃ったもんだ。

ちびっこランスじゃないか?

冒険者になれたんだね、良かったよ。」


「リリラル様、おやめください。

まさか貴方様にこちらで逢えるなんて思ってもいませんでした」


お?

リーダーっぽい男が照れてるぞ?


なんと。

酒豪のリリ狙いなの?

応援するけど、苦労すると思うな。


「オヤジ。

この人たちはお客さんだね?

じゃあ、今日リリと一緒に作ったモノを食べて貰いたいな」


オヤジ、

そんな変な顔して…沢山あるから大丈夫だよ。



お客さんとリリが話し込むから、テーブルには俺をが用意をした。


五平餅…そんな名前だったと思う。



米を潰して棒に固めて焼くんだ。

甘味噌タレが一番美味いよって言ったら。


リリが自宅から味噌を持ってきてくれたんだ!!

お客さんに勧めたら、熊みたいな人が食いついたよ。


あ!

みんな食べられちゃう!!


焦る俺にオヤジが一皿別に分けてくれた。


「タヌキ。

美味そうなモノをありがとう。

さあ、一緒に食べよう」



『ひゃーー!!』 



なに?、

なんの声??



あー。リーダーのお兄さん。

リリさんと良い雰囲気だったのに。

何で?


「ゼルグフ様が、ゼルグフ様が!!」

兄さん…まだ叫んでる…。



「「「えええーーー!!!!」」」

え?

今度は女性陣から?

何を驚いたの?



何?


何が起きたの??


こんな時は仕方ない。

奥の手にするか。



「皆さん。

美味しいお酒もありますから、まずは落ち着いて飲んで下さい」

秘技!!


酔わして、嫌な上司をファールドアウトにする。

これこそ、OLが持っている嫌な上司テクニック?!


でも。

『どぶろく』だけは俺が抱えてオヤジに手渡した。


「これ。

オヤジも好きになると思ってリリに手伝って貰って作ったんだ。

気に入ってくれるといいな」


オヤジは、満面の笑顔になり「ありがとうタヌキ」と言うなり『どぶろく』を飲んだ。



へへへ。

良かった。


じゃあ…あ!!


オヤジ?

倒れてる?!



オヤジーーーー!!!!!


「大丈夫だよ、パパラヌ。

この酒の薬効成分に当てられただけだからね。

ほら。

こっちも全員倒れたよ。

良かったね。

明日には、元気いっぱいだよ」


ええーー!!

そうなの?

その割にリリは平気だったのに…。


リリはニヤリと笑ったまま、答えなかった。



(知らないんだろうね。お前は…。そひな

コレがこれからの戦いで奴らを守ると言う事をね。

だからこそのパパラヌなんだがね。


さて。

わたしにも分からなくなってきたよ。

パパラヌの魂の理由をね。

何故、

二色なのかを…)


心の声はそのまま、誰も知らない。











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