王都での動き…。
ー王都の高級旅館でー
「おい、聞いたか?」
その男の問いかけに面倒臭そうにベットに横になる男が振り向いて言った。
「デマだろ?
あれほどの怪我だ。
生きていただけでも御の字だろ。
まぁ再起不能だな。
しかも、あの魔法棒には流石のリリラル様もお手上げだったらしいしな。
昨日遅かったんだから、そんな下らない内容で起こすなよ」
渋めの金髪を掻きあげる様は、正に男の魅力を引き立てていた。
だが、話の相手の(人間とは思えないほどガタイの良い)男はそんな事を気にも止めてない。
「いいか!
あのギルド本部のロナ殿が動いたらしい。
しかも、噂のブーラカ町へだ。
その意味は理解できるな。だとすれば巨竜螢雷を倒したのは誰なんだ?
あんなモノを倒せる奴を俺は知らないぞ!
それもたった一人で…」
寝ぼけていた男の耳にロナの名前が入った途端、男は飛び起きた。
目の光も鋭さを増していた。
「不味いな。
せっかく将軍が辞表を書いたから安心していたのに。仕方ない。王宮へ行くか…」
起き上がって着替えたその男は、先程と同一人物に見えない。
誰もが振り返る美丈夫の完成だ。
そして。
肩にあるマークには…。
英雄の文字。
彼らは、以前の働きからこの国で唯一の英雄となっていた…その証拠の…。
そして二人は足早に部屋を出てゆく。
情報を得る為に…。
ーたぬき視点ー
ええーー!!!!
リリは凄い人だ!
(呼び辛そうにしてたら、こう呼んで良いって!)
オヤジのお出かけの間に聞かれた甕の目的を話したら…。
「面白そうね。是非手伝わして!」とノリノリだったのだ。
しかも、材料から仕込みまで手伝ってくれた上に。
オヤジに内緒にしてくれるんだ。
これで飲ん兵衛でなければ。。。
実は時間魔法と言うモノを使ったら、なんと!!
『どぶろく』は一瞬で完成した。
一口の味見が良くなかったんだ。
狙われている。
リリにな。
只今俺が必死に甕に張り付いて守ってる状態なんだよ。
打開策にと、ほかのお酒の話をしたら…。
食いついた!!
(まさにサメのような食いつき具合だ)
更に焼酎作りをも始めることになったよ。はぁ。
どぶろくだけで良かったのに…
あの漢らしい飲みっぷり!!
(カッコいい…けど…)
正に漢の中の漢。
でも、違うんだ。
俺の探してた感じじゃないんだ。
リリは良い人で決定!!
(でもお嫁さん候補から洩れたのだ…)
本当にリリは良い人だ。
なんと!!
スイーツ探しの話もオヤジに内緒で街へ連れて行ってくれるって!!
この世界でもあるらしい。
ケーキ…。
え?ヨダレ??
。。。
明日のお出かけが楽しみだ。
雨模様の空にてるてる坊主を下げてみたら。
家に戻ってきたオヤジがなんと!!
お客様を連れて来た。
良かったよ。
女の子発見!!
しかも二名。
やるな、オヤジ。
まさかのハーレム狙いじゃないよな?
まぁ。
漢の夢だけど…な。