『回復草入り酒』と言う名案?
急いで帰って良かった…。
扉が開いていて部屋は冷え冷えしていたし、オヤジは高熱が続きグッタリだ。
慌てて、暖炉に薪を並べた。
小さな手は、仕事に向いてない。
ひとつ、ひとつゆっくり並べる。
えーと。
火は?
マッチ?
そんなものは、見当たらない。
困ったたぬきに出来る事は少ない。
暖炉をとにかく、掻き回していたら・・・奇跡が起こった!!
なんと。
なんと熾火があったのか、火が付いたのだ!!
熾火…ワンダフォー!!
ふー。ふー。
風を送り込めば、火は大きくなる。
ん?
たぬきなのに、なんで知ってるんだ?
「う、うぅー」
は!
そんな場合じゃない。
命の恩人にせっかく獲ってきた『回復草』を食べさせなきゃ。
ん?
これって、このままでいいのかなぁ?
困って、当たりを見回すと酒瓶しか無い。
はぁ。
酒臭いと思ったら、呑んべい決定だな。
そうだ。
このお酒に混ぜれば効くよね?
アルコール消毒も出来て一石二鳥だ!!
自分の考えに、何度も頷いてちぎって入れた『回復草入り酒』を口に流し込む。
つぅーーー。
あ、ダメだ。
意識のない人間は、飲まないのか。
そうだ。
鼻を摘めば?
「ゴクン。。。。グッ…ゴホゴホゴホゴホ!!」
ふう。成功だ。
やればたぬきも出来るんだな。
自信をつけて、次なる行動を起こす。
温める為にも、自分の毛皮が一番だ。
ベットの中に潜り込んで、直接温める。
確か…そうだったハズ??
沢山の薪を一気に焚べたから、火は轟々と燃え上がり部屋も暖かくいつの間にか自分も寝ていた。
他の体温を感じるのは、母親といた時以来。
ただ、すぐに自分だけ置いて行かれたのだけど。
あー。
たぬきも厳しいな。
それにしても、オヤジが少し楽そうになって良かった。
ん?
だって、初めて寝ながら笑ったから…な!