タヌキ…目玉商品と出会う?!
ロナさん。
受付のお姉さん。
アサビさん。
うーん。
広がりつつあるが、少し出会いが足りないな。
こうなると、出会いの場作りが欲しいな。
確か『婚活パーティ』とか言う名前だったような。
このままじゃ、オヤジは行かず後家だ!
ん?
なんか変なワードが増えた気がするけど。
ま、いいか。
となると、パーティに必要なものを集める必要があるな。
甕をやっぱりオヤジに頼んでどぶろく作って目玉商品にして。
あーー。
ダメだよ。飲ん兵衛だらけじゃ…な。
オヤジにお洒落な服も必要だし。
正直言えば、あのままなら熊。
髭は顔中に広がって、目なんか見えないし。
服装も同じ服ばっかりで。
あ!洗ってるよ。オヤジはああ見えて綺麗好きだから。
だって、この間手伝おうとしたらめっちゃ勢いよく洗い物し始めたし。
まぁ、爪が当たって洗いにくいくて。
破けそうだったから、良かったけど。
アライグマとかなら良かったな…俺。
は!それより服と目玉商品。
甕。
沢山の買い物だけど、オヤジのガイは大丈夫かな?
「オヤジ…。
甕とか買っても暮らして行けるか?
出来れば、服とか目玉…あ!違った。
ええーーと。スイーツ。そうそう、スイーツ欲しいんだけどさ、だいじょう…あ!!」
オヤジよ。
たぬきだから良いけど、転移魔法の連発は驚くよ。しかも、抜き打ち風には女の子にモテないし。
そうか。
だからこその嫁探し。
やるぞ!
目の前の『家具屋アバンド』に。
どうやら、甕買いに来たみたいだな。
オヤジの後をついて、俺も店に入った。
ーオヤジ視点ー
全く…嫌な奴とは湧いて出るものらしい。
なんだと!!
タヌキにまで手を伸ばすのか?
奴の毒牙から守るには…逃亡あるのみ!!
経験から、口で奴に勝てないと身に沁みているからな。
転移して気づいた。
しまった。
甕買いに行ったんだと。
タヌキも何やら呟いているし、悪い事をしたと反省していたら『ガイは足りるか?』と聞かれて…
慌てて転移した。
とにかく、まずは甕からと。
苦手な買い物もこの『家具屋アバンド』なら慣れた。
取り敢えず店の中へ。
「甕を探している」
そう告げると店長は、にこやかに笑って案内してくれた。
キラキラした装飾の施された高そうな壺や甕が沢山ある。
ん?
タヌキの様子がおかしい?!
「やっぱりオヤジのガイ感覚はいっちゃってるじゃん。
どぶろく作りの甕が、王宮にあるような壺じゃダメしょ。
よし!
買い物スキルをまずはつけないとな。このままじゃ嫁が来ないぞ!」
ぶつぶつ言うタヌキに引っ張られて店の外へ。
なんで?気に入らなかったのか?
「オヤジよ。
市場とかないか?
出物は、そんな場所にあるんだよ。
そして、甕もそこにきっとある!!」
タヌキに言われ市場へと。
とは言え小さな街だ。
屋台街と言うほどの小さな店屋しかない。
雑貨を扱う店なんて少ししかない。
ん?
タヌキよ。
何処に駆け出すんだーーー??
タヌキの目当ての店は。
麺屋か。
これが気に入ったのか?
「これだーーー!!
何故だろう。心の中から燃え上がる欲望が生まれるや。ラーメンとか呟きたくなる。
そうか。
目玉商品を俺は見つけたんだな。
やったぞ、オヤジよ。
これが欲しかったモノだ!!」
なんと。
甕は、麺屋のスープ入れだったのか?
それにしては少し大きい甕を担いでいたような気がするが。
まぁ、いいか。
タヌキにしては、珍しくヨダレだらけだ。
早く買い物を済ませないと、店主が売ってくれなくなるな。
『麺を二つ頼む』
タヌキは、側の椅子に座って一心不乱に見つめてる。
ん?
よそのお客さんを見ちゃダメだ…!!
ロナ。
こんな場所にいるとは。
素早く麺とタヌキをロナから遠ざけた。
「オヤジ、ありがとう!」
タヌキよ…とにかくヨダレを止めて食べなさい。
御礼は後から聞くから。