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ギルマスの部屋へ…

「貴方をお呼びしたはずではありませんが、同席は許します。ただし、余計な差しで口はお控え下さい」


そう啖呵を切るギルマスに、かなり驚きながらも取り敢えず指示通りに座る。

淡々とした表情のギルマスに、違和感を感じるも探知が苦手な俺には彼を探る手段は無い。


「改めまして。ブーラカでギルドマスターを勤めておりますクランスと申します。

薪運びで、きちんとギルドマスターだと名乗る事をせずにいた事をお詫び申し上げます」



横を向けば、椅子の上にパパラヌを寝かしていてギルマスの方へ視線すら向けないとは。

珍しく怒りを顕にしているのか?

あ、違った。


パパラヌを見てニヤけてるだけか。

あー、寝言言ってるものな。

しかし、この氷のような奴の心の中へ入ったのが、この奇妙なパパラヌだとはな。


「失礼しました。

私とて、偽名を使っての登録です。恐らく本部のロナ殿にお聞き及びの通り、ゼルグフと言うのが本名です。

ただ、出来れば今まで通りにゼギーで名乗るのをお許しいただきたい」


そんな風に穏やかに始まった話し合いは、巨竜螢雷の出現の場所まで辿り着くとギルマスから止めが入った。


「お待ち下さい。

まさか本当に巨竜螢雷をたったお一人で倒されたとは」


絶句するギルマスに奴はまたもや変な事を言い出した。


「ですから、一人ではありません。パパラヌも一緒に戦いました。彼の助力がなければ勝てませんでした」


なんだろう。

新米パパの親バカ話を聞かされている気になるのは。


ほら見ろ!

あの無表情のギルマスが変な顔をしてるし。


膠着するこの場を崩したのは、会いたくない人物第一位にしたい奴だった。



「クランス!

貴方の真面目なところも好きよ。

でもね、ちゃんと話さないとこの鈍感には通じないわよ」


ロナ…。

相変わらず巫山戯た格好をしてやがるな。


こんなんでも、実力じゃ大抵の人間が敵わないから厄介だよ。


「あーーー!!!

また、出たーーー!!


このギルドは、凄いな。

ザクザクお宝の山だよ、オヤジ!」



あ、起きた。

しかも。なんのコッチゃ。


「タヌキ。

お宝の山とは、どれだい?

何か欲しいものがあるのか?」


おい、真剣にパパラヌの言葉を聞くなよ。

こう言うところが、親バカ風だと言うんだよ!


おや?

パパラヌなロナの前に走って行ったぞ??


「初めまして。

オヤジの家に住んでいるたぬきです。

お名前を教えて下さい」


キラッキラした目で見上げてたら。


あ、ゼルグフが強引に取り返したぞ?

ぷぷぷ。


笑える…まさかゼルグフの事で笑う日が来るとは思わなかったよ。


パパラヌの取り合いとかマジかよ?

ロナも引っ張ってるし…弱点攻めが特技だからな。

本当に性格が悪い。


「ちょっと、ダーラント!

この状況を打開しなさいよ。単なる冒険者なんだから、ギルド本部に逆らうな」


最後がドスの効いた声になってるぞ?

お前…化けの皮が剥がれたぞ。


結構、アッサリだよな、今回は。

いつもは、見事に化けているクセに…アレ?

パパラヌの様子がおかしいぞ。



「まさか。

まさかこのレディはアネサンなのか?

確かにこの迫力は普通人じゃ出せない。

。。。

好きなら応援するしかないが、オヤジには波乱万丈は似合わないし…」


アネサン??

何の事か分からないけど、ガッカリしてるは確かだな。



「あら?

アネサンって、お姉さんって意味かしら。

貴方のセンスは、ナイスよ。

見事な審美眼ね。ゼルグフ、暫くこのパパラヌを…あ!!」



何だと?

まさか転移したのか?


「ねぇ、ダーラント。

貴方、あのパパラヌの妙な気配の事、何か聞いてる?どうも、リリラル様辺りが関わっている想像なんだけど」


知る訳ないだろ?

まぁ、知っていたとしても教えないがな。


「ふーん。まぁいいけど。

それにしても、風来坊になったって噂は本物だったのね。

将軍閣下がこんな場所にいちゃ、あの人に怒られるわよ?

そんな顔しても無駄よ。 

将軍の地位は未だ空席のままだもの。

部下たちは単なる休暇だと思ってるわよ!」


何処まで事情を知っているやら。

コイツの側に居る必要はないな。


俺は返事をせずにそのまま出口に向かった。

ロナの掛けている防護の囲いなんて、俺の体質では全く効力は無い。

そのまま、ゼルグフの家へと向かう。

今日のパパラヌのガッカリの理由を是非聞きたいが、まぁ入れてくれるかは半々か…。



ークランス視点ー


ロナ様に引き留める様に言われ、この部屋へと招いた。


詐称していた事を詫びても、意に返さずに自分の事で詫びるあの人は変わらない。


しかし、頭で理解していても巨竜螢雷の出現はかなりのショックだ。

対策も急がれる。

もし、あの人がいなけれはこの街など木っ端微塵だからだ。



「クランス!全く貴方もゼルグフの事だと視野狭差ですね。それよりも対策を打ち出さなくてはなりません。こちらのギルドにSランク系の冒険者を派遣します。困ったら相談してね」




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