美人発見?!
タヌキと甕を買いに来た。
途中、余計な邪魔が入ったが。
目当ての『家具屋アバンド』の前に来たところでタヌキは何故かその先の店へ行こうとしていた。
あそこは、タヌキに用はないところだと思うぞ。
『服屋ガザラン』
タヌキよ。
服を着たいのか?
うーむ。
寒がりだったと思い返して、納得した。
そう思いドアに手をかけたその時だった。
「申し訳ないのですが、ギルマスが呼んでいます。ご一緒して下さいますか?」
アサビ嬢がすまなそうな顔で立っていた。
そうか。
報告はこちらからするものだったかと思い返して頷いた。
まずはタヌキを家に送って…ん?
「一緒に行くか?」
どうしたんだ?
目がキラッキラしているが。
とにかく、タヌキと連れ立ってギルドへと。
アサビ嬢の横にいるタヌキが、しきりに見上げていたら「可愛いわね」と言われていた。
タヌキはソコはスルーしていた。
分からん。
ドアをアサビ嬢に開けて貰っでギルドの中へと入るとまたもや。目線。
やはり転移を街中でしたのは、不味かったな。
偽装も持たないかも知れない。
そんな事を考えていると、タヌキの姿が見えなくなってた。
しまった。
ここには、タヌキを捕まえる輩が沢山いたんだ。
何処だ、タヌキ!!
タヌキ…いたーーー!!!
何を?
それは?
テーブルの上に乗ったタヌキが、何故が女性の職員を捕まえて力説していた。
「オヤジはね。
物凄い猟師だよ。美味しいものも作れるし、家も綺麗にしてる。家に帰って奥さんを大切にするタイプだと思うな。
そんな良質な物件は中々無いと思うんだ。
ほら、それに目がさ。
優しそうだろ?
魅力満載の物件だよ!」
まさか。
まさかと思うがこの老婦人に、俺を勧めてる?
「オヤジ!
こんな素敵な人たちがいてギルドっていいところだな」
やはりか…タヌキ。
何故?
は!
いつの間にか周りの視線が変わり始めていた。
俺をゼルグフだと疑ってた者たちも、風変わりなタヌキの飼い主だと薄ら笑いだ。
もしや。
これが狙いか?
タヌキとは、知能の高い生物だと今更知ったよ。
「アハハハ。
まさかのパパラヌに心配されるとはな。
お前も落ち目だね。これじゃギルマスのところへ行く気が無くなっただろ?」
また来たか。
ダーラントに説明を頼んで買い物は出直すか…。
そんな風に考えていたら、ギルマスが出てきた。
らしい…アレ?
薪運びの人が、まさかギルマスなのか?
ふぅ。
随分、勘が悪くなったな。
「とにかく、奥の部屋へお願いします」
ギルマスの指示に従う。
タヌキは、張り切り過ぎて腕の中だ。
眠そうに独り言を呟いていた。
何を言ってるのか、もう分からないが…。
『ビックチャンス到来だ!
美人が沢山…。あとは…』
ダーラントもついてくる。
彼を止めるのは、ギルマスには難しいだろう。
取り敢えず、全員で部屋へと入った。