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新しい寝床!!肩叩きは失敗に終わった…

報告書は、本当だろうか?

あの消えた魔法使いがこんな田舎にいると言うのは…。


だが、所詮宮仕えの身だ。

首都から離れたこの街で確認せよとのお達しに逆らえる訳もない。


だが、正直『稀代の魔法使い』と言われたリリラル様の第一師弟であるゼルグフ様が居たとして俺如きに正体を現すはずも……。


なに!!

あれは、目の錯覚か?


女の子連れの男がこちらに向かって来る。

その男の人相は、確かに目的の人物の気がするんだが。かなりの髭で分かりにくいが。


ひとつ確実なのものがある。

あのグレーの目だ。

冷え切ったグレーの目は、当時『残酷な瞳』などと言われたから有名で。


容赦無く敵を葬る絶対的な魔法のあまりの凄まじさにそんなあだ名がついたと聞いた。


あ!


店に入るぞ?


ん?


『デセルト布団店』と描かれた看板に驚いた。

デセルトと言えば、首都でも高級品を扱うの店として有名で。


布団店というが、今や広域に貿易品を扱う商店だ。


その支店がこんな田舎に…?



近づいて様子を見ていたら、大荷物を抱えたゼルグフ様らしき男が出てきた。


なんと。

あの第一級魔法使いが、女の子に頭を下げてる?


驚いていたのが、不味かったんだな。

一瞬の隙に、影も形もない。


さすが…だ。


と、なれば女の子の方をツケテみるか。

なんと!

ギルドセンターの人だったか。

ここまで見届ければ、あとは騎士団に報告をするだけ…!!


「君ねぇ、後から出てきて美味しいところを攫われるのは、困るんだよね。

ねぇ、その顔だと第二騎士団だろ?

宰相閣下の許可はあるのかな?

ほら、コレなら見た事あるかな?そうか、じゃあ分かるよな。

彼は居なかった。そう報告を頼むよ」


突然、影から現れたのは第一騎士団所属のザルゼ様だ。その名前を騎士団にいて聞いた事のない者はいない。


震えながらも、必死に首を縦に振る。

彼すら、ココニイル理由。


考えなくても、その理由は明らかだ。

宰相閣下の直接の指示…。


逃げ出すのに、なんの躊躇いもなかった。

だから、彼の独り言など耳にする入らないままで。


「ゼルグフ様。今度こそ貴方の為に生きてください。例え宰相閣下と言えど邪魔などさせない」




ーたぬき視点ー


コレは…。


オヤジが目の前に差し出したモノに、固まったよ。


これ!!!


ふわっふわの前の毛布を超えたよ。

凄すぎる!!!


触った瞬間に幸せが押し寄せるし、潜ると自然と幸せが溢れるよ。


は、声…出てたな。

まぁいいか。



スーパー極上の寝床の完成だーー!!!!



潜っては、出て。繰り返し遊んでる俺の耳にダラさんの声が聞こえてきた。


「おい、あれは烈猛兎(レッツモーウサギ)の毛布じゃないのか?」

俺の新しい寝床を見たダラさんの叫び声にびっくりして寝床から出てみると…。


「やっぱか。しかし、お前!!!

烈猛兎と言えば、王侯貴族すら滅多に手にしない品物だぞ?

そんな物よく、この街にあったな。

しかも、目玉が飛び出るくらいの値段だったろ?」

猛烈なダラさんの追求に。


オヤジは安定の無視…とは。


そんなオヤジにめげずにダラさんは未だ喋り続けてるけど、オヤジはちっとも相手にしてないようだな。

この二人は、仲がいいのか悪いのか理解出来ないな。全く…。

そんな事を思って、二人を見ていたら。


あ、オヤジと目が合った。


よし!!

俺は、ここぞと感謝を示そうとオヤジと言えばコレという孝行をする事にした。

(え?後ろをチラチラ見て未練タラタラ?そ、そ、そんな事ないぞ!!)


「オヤジ。

どうだ?気持ちいいか?」


只今、オヤジの肩叩きをしている最中だ。

でも、どうもオヤジがグニャグニャするから、やりにくいよ。


え?


「だから、パパラヌよ。

お前の爪が当たって、たぶん痛いんだと思うよ。

やめてやれば?」


ダラさんの言葉に、慌ててオヤジを見たら。


「いや、嬉しいよ。ただ、あんまり凝ってないかな…」


オヤジの額から滝の汗が!!!!


しまった。ダラさんの指摘通りかぁ。

オヤジよ…身体が弱いと肩叩きも毒になるのか…。



考え込んでいたら、オヤジが慌てる?


「タヌキ。あの毛布は気に入ってくれたんだ。

良かったよ。これは詫びだから気にしないでくれよ!

それから、あの煩いハエは気にしなくていいからな。

ハエは明日には出て行くから。行かなくても、追い出すからな」


おい。

このキラキラ輝く笑顔から、毒が吐かれてますけどーーー!!


やっぱ、仲悪いのかな…。


その後、俺は毛布の魔力にやられてうっかり寝入ってしまった(この毛布にも、負けたーー!!)



だから、寝る前にオヤジとダラさんの会話を僅かに聞いただけだった。


「分かってる。

もう、この魔法棒が限界なのはな。

ただ…」


「お前の気持ちも分からんでもないが、このまま使い続ければ、そのうち…」


ダラさんのセリフの途中で『睡魔のやろう』にやられました!!!



でも。

次の恩返しが見つかって良かった。


『オヤジの棒の修理』だぞ!


大丈夫、今度こそ任せてくれ!


俺には秘策があるんだから!!


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