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温泉の素の効果は?!

家の前に立っていたオヤジ。


駆け寄るスピードが、地味に嬉しいぜ。

たぬきを心配して…え?


ドスン!!!!!



オヤジ二号は、腹に決まった蹴りの為に吹っ飛びました…。

おい、手加減したよな。

アレ…普通の人間の場合ヤバい奴じゃない??


あ!もちろん、蹴りと同時に俺はオヤジの腕の中に避難完了です。

しかも、それと同時に身体が暖かくなって。


何と、オヤジは医者だったよ。

一瞬で治す治療方法が開発済みとは…。

なるほど、薬草が流行らなくなる訳だな。


「うぅーん。

本気を出すとか、あんまり酷くない?

マジでパパラヌを救うヒーロー…あ、ストップ!ストップ!!

二発目は、流石に命の危機だわ。


しかし、蹴りの威力も姿も変わらねぇな」


は!

しまった。

オヤジの医療に感心していて、ついオヤジ二号を忘れていた。


無事か?

助けて貰ったのに、うっかりしてた。

たぬきの風上にも置けない奴になるところだった。


「オヤジ二号。

無事か?」


オヤジは俺の方を見て(まぁ、はっきり言えばオヤジ二号を完全無視中…)眉間に皺を寄せて真面目に。


「いいか、タヌキ。

コレは、森に住む魔獣よりタチの悪い獣だ。

だから、関わっちゃダメだ。

罠と嘘がアレの本質だからな」



圧が。

オヤジよ。


圧が凄いよ…。


頷きました、もう。

ちゃんと、頷いたって!!


俺のその姿を見届けたオヤジは、ようやくいつもの顔に戻って「さあ、帰ろう。汚れたから大好きな風呂へ入ると良い。傷はもう大丈夫だな?」


爆笑?

今のどこに爆笑が?!


後ろから聞こえる大爆笑は、オヤジ二号のもの。

無視されて、悪口言われて、大爆笑??


マゾか。


ん?マゾってなんぞや?


「ゼル。お前、そんな顔も出来たんだな。と言うより、俺たちがそんな風にしたと言うべき…」


バタン!


え?

今の扉閉じる場面だったか?


話途中の気が…。



超マイペースに変化したオヤジがお風呂に俺を入れようとしたから、俺はオヤジが先だと葉っぱを差し出した。


お?

しまった、ちょっと汚れたか。

まぁ洗えば良いよな?


ん?

まさか『温泉の素』が分からないのか?

冷え性の人には、抜群なんだぞ!!


「タヌキ…お前コレ」


葉っぱを握りしめたオヤジの様子がおかしいぞ?

この葉っぱには問題が?


「問題なんか無いさ。

養命草を取るのは難しいんだ。見分けがつかないのか滅多に見つからない。

滋養強壮剤として、希少なる薬草なんだぞ?」


えーーー?

ヨモギじゃないの?


お風呂に入れると気持ち良いはず…

なんだ…俺また、間違えたのか…


「タヌキ!!!

コレは、物凄く貴重なモノだよ。

ありがとう。嬉しいけど、お風呂に入れるにはちょっと勿体ないと言うか…あーー、入ろう。

この養命草を入れて風呂に入るか!」



オヤジーーーーー!!!!!



さすがオヤジだ。

さっそく、葉っぱを洗って風呂へぽちゃんと。



うーー。いい匂いだな、



フンフンフン。

遂に怒涛の恩返し第一弾成功!


オ、オヤジーーーーー!!!!!



倒れてる?

何故かオヤジが風呂場で裸で倒れたよ。



アワアワアワアワ…。

は!


たぬきには、担がない。

助けられるのは…オヤジ二号ーーー!!


俺はそのまま、扉を開け放ってポツンと立っていたオヤジ二号の腕を引っ張って家へ入れた。


「おい、不味いよ。

防護魔法の最強タイプがかかってて、弾き飛ばされて木っ端微塵に…あ!!!!


アレ?平気とは。。あぁ、パパラヌと手を繋いでいたからか。

彼の意思を尊重するという訳だな。

全く相変わらず細かい芸当の天才馬鹿だな」



オヤジ二号は煩い。

でも。


今はそれどころじゃないんだ!!

オヤジが、オヤジがーー!!



倒れてるオヤジに、素早く駆け寄る。

一瞬、うさん臭いオヤジ二号は立派な人間に見えたから不思議だ。


「大丈夫だよ。

たぶん湯あたりだから。


コレ、あの養命草だろ?コレの威力に当てられたってとこかな?」


何!


やっぱり、ひ弱なオヤジにはヨモギすら強力過ぎたと言うことか。



暫くして、オヤジは目を覚まし…全てを察知したようだ。


「ダーラント。

もう既に家に入ったなら、師匠の顔を立てて今日は置いてやる。

だが、明日朝一に出て行けよ!」


オヤジ二号は、ダラ…あ、しまった。

聞き逃したぞ。


『ダラけ』って名前か?

まあ。似合ってるから何も言わないけどちょっと、ど正直過ぎないか?


「ぷっハハハハ!!

ダラけたオヤジか。確かにぴったりだな。

タヌキは、やはり賢いな」


オヤジの満足そうな顔で大爆笑していた。

その横で、不貞腐れているダラけがいる。


あー、ダラでいいや。


でも、ダラはどこか嬉しそうに見えたけどな。


大爆笑のオヤジを見ながら…。





その晩は、また大ご馳走だった。


オヤジは、またしてもパーティをやる予定だったようだ。何でも「朝は簡素だったから」と。


テーブルに乗り切らないご馳走を、俺は急いで食べた。何故なら、全く遠慮のないダラに美味しいものを取られないように戦いの最中だからだ。

負けないぞーー!!


時折、オヤジのゲンコツがダラの頭の上に落ちた。


その晩は。

いつもより賑やかな夜ご飯は、少しパーティらしくなった気がした。


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