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恩返し開始?!

その晩のオヤジは、おかしかった。

いつもは、熱っぽいのに、冷たいのだ。

手足がとにかく、冷たいのだ。

(寝床が壊れたから、今日は一緒の布団に居たのだ!!)

そこで、俺はある結論に達したのだ。


オヤジは本当は冷え性なのだと。



やったぞ。

遂に、恩返しパートワンが開始するぞ。


え?

もう何度も言ってる?


いや。

失敗は、数えないタイプなんだ。


傷薬。

箒。


そして隙間埋め。



あれは、もう過去の遺物だ。


これからは、温泉の時代の到来だよ。


何せ、あの『風呂』だから。

あまりの感激に、思わずダイブしたけど今度は広い洗い場でちゃんと身体も泡だらけにして…あ!!


なんと、良いアイデアを思いついたろう。


朝が楽しみだ。



ぐっすり寝たら、翌朝ある事に気づいた。


なんと部屋がいくつもある?

外からは、さほど大きく見えなかったのに。


目の錯覚か?


寝室の他に、ちゃんと居間まであるんだ。


それと別に遊ぶ部屋もある。

何処にも暖炉があるのは、寒がりのオヤジの趣味だな。

なんとなく、オヤジ臭いところがピッタリだ。


台所の奥にも、部屋があるようだが興味は無い。

何故なら、ドアが高い位置にあるんだ。


たぬきはね。届きませんよって位置。

恐らくは、人間専用の部屋。



と、言う事は『彼女の部屋』だな…と。


オヤジも隅に置けない!ククク。

とにかく、俺はヤボはしないんだ。



あ!

朝ごはん、朝ごはん!!


たぬき最重要のご飯タイムーー!



なんと。

オヤジは、どうやら家の完成パーティを朝からやる気らしい。


なんと、浮かれたオヤジなんだ。

将来が不安になるよ。


だが、同居たぬきとしては、お付き合いをしなくては。


オヤジに。


「新居完成おめでとう。

オヤジ、パーティだな」


と、言うと何故かオヤジは狼狽て。


「あぁ、そうだった。

完成パーティとか、そんなモノがこの世にはあったな。

そうか。タヌキと祝いを…」


狼狽たり、青くなったり赤くなったり。

やはり、オヤジの身体を丈夫にしなきゃ。

たぬきの本気をソロソロ見せる時!!


決意も新たに、朝ごはん早々にまたもや、買い物へ出かけたオヤジを見送って俺も出かけた。


まずは、冬だが『いい匂いの草』を探さなきゃ。


あ!これかも。

雪の下にあった、緑の葉っぱを摘むといい香りが。


「ヨモギだー」


ん?ヨモギ??

時々、知らない言葉を話してるな。

もしや。


隠れた才能か?

ふふふ、これから新たな芽を出してゆくぞ!!


。。。

とにかく、この葉っぱをお湯に入れればニュウヨクザイになるんだ。



お風呂タイムが最高のものになる。

うん。


やっぱり、冷え性にはオンセンノモトだよな。


そして、お風呂セット。


手桶。

洗面器。

風呂の椅子。


ガランドウのお風呂は、寂しいよな。


木の板から、簡単に作れそうなのは…風呂の椅子か?


よーし。

木の板を探すぞーー!!


。。。


ありません。

そりゃそうだ。

雪野原の中に、そんなモノは落ちてない。

あるとすれば、家?


あ!

あのボロ小屋のカケラがあるかも!!



名案にウキウキしていた俺は、背後から迫っていた獣の気配に気づかなかった。


ドスン!!!

突然倒れたのも、驚いたがのしかかったナニカに更に驚いた。


ガルルル。


ヨダレを垂らしたその姿は、さながらサーベルタイガー。肩に爪が食い込んで、涙どころじゃ無い。


痛い。

オヤジ…痛いよ。


もう。

ダメかも。



迫る牙に、目をぎゅっと閉じて その瞬間を待つ。


ふわっと身体が軽くなった。

なんだ?

幽体離脱か?


いや、もう…。


「ハハハ。

本当だ。

喋るパパラヌがいたとは。


コイツを連れていきゃ、奴も家の中に入れてくれるだろう」


オヤジ二匹目登場。

新たに現れた物凄く、うさん臭そうなオヤジは、俺を抱えて何故かオヤジの家へ。


コイツ誰?



でも。


ありがとう。

助かったよ…。


これで、オヤジにお土産持っていけるから。

(俺の手の中には、数枚の葉っぱがある。これさえあれば…)


痛い肩も、暫し忘れて匂いを嗅いだ…。


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