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最強の複製師  作者: ノヴァ
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再誕

「・・・・・う、僕は確か・・・・・」

時雨はどこか分からない場所にいた。体を動かそうとしたが、何かに拘束されているようで動かない。簡単に説明すると、椅子に手足と腰を固定されていて動けない上に椅子の足まで固定されていた。

足音が聞こえる。だんだんと近づいてくるのを時雨は気がついた。

「やぁ~と起きましたか~。え~と確か・・・・そうそう、時雨とか言いましたね。」

近づいてきた者は、時雨のステータスプレートを見てそういった。

「そんな眼をしないでくださいねぇ~大事な実験体なんですから丁重に扱いますからねぇ」

時雨は困惑していた。どういう状況なんだとはっきり言って状況が飲み込めないがなんとなくは理解できた。何かと協力していて、自分のことを実験のために拉致って来て、異世界からの者だからそして、無能に近いから丁度よかったと言うあたりだろうと考えれるがそれだけでない。相手が、他人の人生を自らの糧として生きるような人間の目。簡単に言って、捕食する側の目だったからである。

「いい協力者のおかげでこんな物が手に入ったのは素直に喜びを表しましょうかねぇ。フフフフフフ」

ちなみにこの者は、男である。

「さてと、異世界の知識も気になりますけど、それより今あるものがどこまでいけるの固めさせてもらいますねぇ」

そういうと、注射器のような物を持って時雨に薬品を投与しようとしている。

「や、やめろ!」

そういうも身動きができない時雨は、あっけなく薬品を体内に入れられてしまった。


何も変化がないように見えたその時

「がっ!がああああああああああああああ」

時雨の体を激痛が襲ったのである。体の一部では軽く内出血を起こしていた。

「この薬品はいい感じの結果ねぇ。じゃあ次ぎいきましょう。」

時雨への絶望の宣告だった。





一週間後。

時雨は、あれからずっと実験され続けた。日本人特有の黒髪も半分ほど色が抜け落ちて白色になってしまっている。


「今日は待ちに待った。異世界の技術とかをこの死なないけど強力な自白剤を使いますねぇ」

時雨が自分から言おうとしてもお構いなしに使った。自白剤の効果が聞いている間の時雨はふわふわしたような奇妙な感覚になっていた。

が、効果が切れたその瞬間。体のあちこちの筋肉が無理やり引きちぎられたような激痛が襲ってきた。

「ぐ、ああああああああああああああああああああああああああああああ」

拷問と変わらない痛みが時雨を襲い続ける。

「フフン。いい情報が入ったわ嬉しいねぇ。この技術を取り入れてもっと試したいわぁ」






再び二週間経った日。

あれから、もっと激痛を伴った、〝実験〟は時雨の精神を壊していった。今の時雨の眼には志向しているような光も生気を失ったような目になっている。体も度重なる実験によって体そのものも相当変化していた。

だが、時雨のわずかに壊れきっていなかった精神で僅かだがゆっくりと思考していた。


「よお、実験とやらはうまくいってんのかい?」

「いやぁ、うまくいってるどころかもう絶好調ですよぉ」

「そうか、ところであんな鎖で拘束しているが精神が壊れてるようなやつを拘束しとく意味はあるのか?」

「そりゃぁ一応しときませんと壊れた精神ですからいきなり暴れだすかもしれませんから、一応やっておくんですよぉ」

「そうか、そりゃそうとまた呼んどいて今度の要件は何だ?自慢するだけじゃないだろ?」

「えぇ、自慢もしたいですが、今回は目の前のあれの処分をお願いしたいんですよぉ」

「いいのか?せっかくの実験体を?」

「えぇ、実験データもだいぶ取れましたし。あんな物を抱えていてもめんどくさいだけですからねぇ。丁度あそこの迷宮にあなたがこれを持って来た時にあった穴があるでしょう?そこにこれらと一緒に捨ててください。」

「分かった。証拠の隠滅作業も一緒にと言うことだな。・・・・後で報酬の受け取りに来る。」

「それでは頼みますねぇ」


荷物を抱えてこの空間から男は消えた。






時雨は壊れている自身の中で考えていた

(なぜこんな目に?)(どうして?)(早く死にたい)(死にたくない)(いっそ殺してくれないかな)(死にたくない)(何で死にたくないんだ?)(あいつは俺を糧にした)(神は理不尽に連れ去った)(なぜ死にたいんだ?)(苦しいから逃げたいだけだ)(死にたくないのは・・・・・・・帰りたいんだ・・・・)(〝俺〟は何がしたい・・・生きて・・・かえる)(その為には・・・・・敵を殺す!)(敵とは何だ?俺に理不尽を強いる物。邪魔をするもの。俺の道を阻む物だ。そいつらはどうすればいなくなる?殺せば良い。敵は殺す!)

時雨の壊れて砕けた精神は再び今まで以上に強固となって治っていった。継ぎ接ぎだらけではない。一つの完成したものとして。あらゆる生きるために不要な物は削り落としてできた。

(殺す)

生への渇望しかない。純粋な殺意

(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す)

そして、新たな生き物として時雨の精神は再誕した。





迷宮内


「人間とはやはり愚かな生き物だな」

時雨を抱えた〝魔人族〟は目的地に着いた。そして時雨の荷物を先に捨てて、時雨を捨てたその後だった。とてつもない嫌な予感を感じ取ったのだった。

「気のせいか・・・・・」

そのまま、魔人族の男はその場を去ってしまった。この行動がこの後どのようにつながるかは誰もわからないが、嫌な結果が待っているのは確実であった。

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