迷宮
今日は、アクホルという町に存在する。白の試練言われている(らしい)迷宮に来ている。
「完全にお祭り騒ぎじゃん。」
時雨のツッコミは間違ってはいない。だがその内容は、魔物から取れた素材に関してやら、自分はどこまで行けたとか、もうさまざまなことが話されている。そうこうしているが、受付を済ませ勇者一行は迷宮に入っていった。
中は思ったよりもきれいだった。きれいと言っても清潔感があるとかそう言うものではないが、しっかり整備されていたのだ。
(中は思ったよりきれいだな)
時雨はどこかのブルーベリー色の巨人のいる館での台詞をふと心の中でしてしまった。
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30層目に入ってから相当時間が経った。
「迷宮での戦闘もそれなりにましになってきたか。近いうちに現在の最高層である。74層までそう遠くないな。」
「ありがとうございます。でもガエリオさんたちの指導あってですよ。」
勇者たちが話している。
「おっと新手だ。そろそろ魔力も回復しただろう。次ぎいくぞ。」
また戦闘が始まった。そして現れた、魔物たちが半分ぐらいになったころ。
「-天翔る翼よ聖なる光を以て悪しき魔を滅する力を―聖天閃―」
残っていた魔物も全ていなくなった。
「・・・・ふう」
ゴチン!
光輝の頭にガエリオ団長の拳が落ちていた。
「何が「・・・ふう」だ!あんな大技こんなところで使うな!洞窟が崩れても、もっと上の階だったらともかくこんなところで生き埋めになっても早々助けになんて来る奴なんているわけがないだろ!この馬鹿野郎!」
「す、すみません・・・・」
ガエリオ団長からのお叱りを受けた光輝は気を取り直していると、安西が気づいたことがあった。
「お、何だこれ?なんか空間があるぞ?」
そういうとそこに入っていこうとするが・・・
「おい!迷宮内で下手な行動はするな!何があるか分かってないんだぞ!」
「だいじょうぶっすよ団長さん、そんな対したことなんてないですよ。」
ガエリオ団長の忠告を無視して足を踏み入れた瞬間、教室に出てきた魔法陣と似たような物が出てきたと思ったら、別の場所にいた。そこは、ある程度今までと違って、開けた空間だった。しかしところどころに下が見えない穴が存在していた。
「な、なにがおこったんだ?」
困惑していたが目の前に魔物がいることに気がついたため戦闘態勢に入った。
「っく!あれは!?まずい全員逃げろ!あいつは危険だ!74層でいた。角ありだ!」
みなは困惑はしていたが、言葉から危険な魔物だと察したが後ろのほうにも大量に魔物がいることに気がついた。
「仕方ない。アロン!ガラデ!そいつらを連れてすぐに行くんだ。ここは、俺が時間を稼ぐ!」
「「ッハ!」」
一緒に来ていた部下たちに指示を飛ばしていた。
「でも!それじゃガエリオ団長が帰れないじゃないか!」
勇者はそれを認めないらしい。しかしそんな悠長にしている時間はない。他の面々は後方のほうで大量の魔物に苦しめられていた。そんな中勇者に近づく物があった。時雨であった。
「何を言ってるんだ!君のように皆が皆君のようじゃないんだ。(橘生徒会長などは除く)君が皆を導かないで、誰が導くんだ。」
それでも少しずつ体勢を立て直そうとしていた。
「・・・・っく。こいつら43階層にいるカオスソルジャーのはずなのに時折やけに強い固体がいる」
アロンの苦し紛れの声が一番大きく聞こえたが、他の者たちの悲鳴も相当だった。しかしまだ死人は出ていなかった。
「皆に心の支えが必要なんだ。君と言う支えが必要なんだ」
「・・・・・分かった。」
そういうと走って向こうのほうに詠唱しながらいった。
「おい!坊主!お前も早く行け!」
しかし時雨はいかなかった。だが角あり(オーガのようだけどかなりのサイズのあるオーガモドキ)は足が遅いのかゆっくりと確実に近づいていた。
「僕に考えがあります。」
そのころ後方では・・・
「このままでは・・・」
「うおおおおおおお!俺が切り開く!大いなる神の慈悲よ我等に力を与えたまえ闇を払う力を!-神聖剣-」
みなの顔に希望が戻った。
「俺が戻った!皆!もう大丈夫だ!」
根拠のない言葉だがそれだけでみなに活力が戻った。その時であったガエリオ団長から指示が飛んできた。
「魔法組み!詠唱準備!」
すぐには理解できなかった。しかしこんな状況でガエリオ団長が余計なことを言うわけがないと分かっていたのですぐさま魔法の詠唱に入っていた。
また戻って。時雨の考えとは、自身の複製で極力大きな物を複製して壁にするということだ。どこぞの投〇魔術のようにはできないので、それに時雨自体にそんな腕力はないとわかっていたからだ。
その壁に角ありの攻撃が来た。一回は耐えた。しかし壁にしていた。物にすでにひびが入っている。しかしチートなクラスメイトたちとは違って魔力量の少ない時雨は、それでもすぐに複製物の修復を行っている。しかしそれは長く持たない。が、魔法詠唱の時間は稼げる。
「魔法組!放てー!」
魔力のほとんどがそこをついた瞬間であった。すぐさま時雨は走り出した。角ありの攻撃の風圧で転びそうになったが、どんどん撤退していくみなに続こうと時折足を滑らしたが、それでも逃げ生きれそうだったその時であった。
「ぐっ!」
何かに足をつかまれたのであった。それを見ると骨であった。倒しきれなかったのか、上半身と左腕だけになりながら時雨の足をつかんだのだ。
「はなせ!この!」
徐々に一本づのが近づいてくる。転んだ衝撃ですでに気を失いそうになっていたところに、大量の〝カースソルジャー〟がよってきて偶然頭に当たってしまい、気を失ってしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・ここは?」
逃げてきた先は見覚えのあるところだった。いつの間にか一階層まで戻っていたのだった。
「全員いるな?早く外に出るぞ。このことを報告しなければならない。」
ようやく外に戻ってこれた。皆、地面に座り込んでしまった。無理もない。いきなり命の危険にさらされたのだ。しかし、落ち着いてくると不自然なことに気がつく、自分たちのために時間を稼いだ、時雨はどこに言ったのだろうと。
・・・・・皆の顔が青くなった。クラスメイトが死んでしまった、そのことにいまさら気がついたのだ。一瞬、橘生徒会長の顔色が悪くなったように見えた人が何人かいたようだった。
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「やめていいぞ、お前ら」
時雨を覆い尽くしていた、カースソルジャーたちがいっせいにどいた。そこには汚れたりしているが、〝生きている〟時雨の姿があったのだ。
「ふん、人間とは欲深い物だな。まぁいいか。こういう約束だからな。連れて行くか。・・・・・・全ては我が主のために」
そう言って、角ありとカースソルジャー10体を使役しているものの姿は消えていったのだった。