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勇:3

ほとんど一部始終を見ていた勇は主に自分の平穏な高校生活の為に女子生徒が鞄を振り回して逃げてくれる事を望んだが現実はそうもいきそうになかった。意を決した勇は女子生徒が突き飛ばされた瞬間ほとんど足音をたてずに間に割り込んだ。

 「あんたら、すまんが逃がしてやってくれ。」

 勇がだるそうに願い出ると、

 「おお?お前かっこいいじゃんか?でも足がガタガタ震えてんじゃねぇの?」

 せっかく命を助けてやったというのに不良少年達は聞くだけで鳥肌が立つような不快な笑い声をあげ勇を見下ろした。交渉決裂かと呆れて物もいえないという風に一つ溜め息をつくと間近から渾身の蹴りをプレゼントした。蹴られた男子生徒は3メートルは吹っ飛び気絶した。残りの三人はなにが起きたか分からないようで体が固まったままだった。もちろん、その隙を無視するほど勇は甘くなかった。即座に残りの三人を蹴り飛ばし気絶させた。一仕事終えた勇は自分が助けた女子生徒がどうなったのかと後ろを振り向いた。振り向くとえらい美少女が後ろで固まっていた。まあ、後で良いかと無視して蹴り飛ばした四人を横一列に並べるとポケットの中を物色し始めた。

 「何してるの?」

 と突然聞かれた。声の主はもちろん助けた女子生徒だ。

 「今後の為の対策。」

 そう言いながら勇は男子生徒四人のポケットの中から生徒手帳を抜き取り写真を取り始めた。

 「そういえば、怪我とかなかったか?」

 「ううん、どこも擦りむいてないし大丈夫。」

 「そうか。」

 そう言って最後の一人の生徒手帳の写真を撮った。まだ居続ける女子生徒に勇は

 「ここから先は見ててあんまり気持ちいいもんでもないからさっさと帰りな。」

 そんな会話をしていると一番はじめに気絶したやつが呻き声をあげながら起きた。

 「ちょうどいいとこでおきたな。お前そこで伸びている奴らを起こせ。」

 と殺気を込めて命令した。それを察知したのか一瞬で態度を変え仲間を起こした。ううっ、とこちらも同じような呻き声をあげて起きた。

 「よし、起きたな。お前等のさっきの行動はほとんど一部始終を動画で撮影した。」

 「「「「「エエッ!?」」」」」

 四人の息のあった合唱[?]に勇はたじろいだがすぐにそれも引っ込め続ける。今度は写真を見せて、

 「この通りそれぞれの個人情報も記録させてもらった。まあ俺からの要求は簡単だ。この子の周りに近寄らないこと、そしてこの道を使わないことだ。それだけの条件を呑めば個人情報と動画の公開は止めといてやるけどどうする?」

 あくまでも殺気を込めながら問いかけるとそれこそ殺人鬼でも見たかのように震え上がり声もでないのかただ頷くだけだった。勇はため息をつき

 「もう行っても良いぞ。」

 と言ってやった。余りにもその表情が不憫だったのだ。もう彼女さんには手をだしません。などと的外れな事を言いながら去って行った。

 「さあ、あんたも帰りなって言いたいところだけど流石に慌てたぜ?何てったって本気で殺そうとするんだから。」

 「そんな事思ってないよ。」

 何故か顔を赤らめている。その理由を聞こうと口を開こうとした直前に助けた[?]少女は

 「そういえば、自己紹介がまだだったよねっ!私は三組の東雲柚月です。助けてくれてありがとう。後でちゃんと撮った動画っていうのを見せてね!」

 満面の笑顔(目以外は)を見せるが勇は顔を引きつらせた。 

「東雲柚月って”あの”朝陽中の東雲か?確かにこの高校は全国ベスト8ぐらいには入る強豪校だが、お前ならもっと他の学校からの推薦があっただろうに。」

 「近所だからね。レベルはギリギリだったんだけど。それより、あなたの名前と動画は?」

 忘れてはくれなかったようだ。正直に言うと動画についてはどうでもいいのだが、名前を知られるのは正直嫌だった。話をそらすように動画を見せると、

 「随分前から撮ってたのね・・・。ねぇ、あなたの目にどうやって写ってたの?こうやって腕をつかまれてる私は?」

 「うん、がんばれ~って心の底から応援してた。」

 「もっと早く助けなさいよ!」

 「めんど・・・。ごめんなさい。」

 気づけば勇は深々と頭を下げていた。

 「そういえば、何かお礼がしたいから携帯の番号教えてくれる?」

 相手の申し込みの時が最後の逃げ時だと直感した勇は

 「いいよ、お礼なんて。それじゃあ、もうあんまりこの辺をうろつくなよ。」

 そういい残して立ち去ろうとしたが突然腕を掴まれた。勿論、掴んだのは柚月だ。

 「って、熱があるじゃない!しかもこんなに。大丈夫なの!?病院は?」

 かなり慌てふためているのを宥めて大丈夫と声をかけ今度こそ立ち去ろうとする。

 「ダメ。早く病院に行かなくちゃ。」

 「病院は今朝行ったから。それじゃあ。」

 そう言って、勇は走り去った。

勇君と柚月さんの出会いはどうだったでしょうか?今回勇君は名前を名乗りませんでしたが、この後で柚月さんの親友である緋奈さんによって名前がバレますが、それはもうちょっとだけ後の話です。


では、そろそろ登場人物を上げておきます。(プロローグ以来でてない人もいる

ので・・・(^。^;))


北条大和:勇の友人で能力者と呼ばれている異能の力を操る事ができる少年。

結城瑞穂:勇のことが好きな勇の同居人。

美波勇 :結城家の居候で朴念仁。本編の主人公。

東雲柚月:勇に助けられた少女。全中女子バスケ準優勝の朝陽中学校の元エースで常盤高校女子バスケ部のエース。本編のヒロイン。

`ゴースト‘:大和と同じ能力者の一人。大和との戦闘で既に死亡。

`エスペランサ‘:ゴースト、大和と同じ能力者。ゴーストの最期を見届けた小柄の少年。本編のもう一人の主人公。


こんな感じでしょうか?柚月さんについては本編で触れられていない情報を付け足しました。もうちょっとで'エスペランサ‘も出てきます。

第一章である出会いと言うのももう一組あるのでお待ちください<(_ _)>

読んでくださりありがとうございます。

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