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空想世界  作者: たい
3/4

銀髪少女の力

誰も声を発しなかった。

驚きと恐怖からなる静寂の中で、光の中に浮かぶあの人物は確かにこう言った。

『≪月の無い闇夜の集会パーティーオブダークネス≫のリーダー』

誰も一言も話さないけれど、頭の中は大混乱だろう。

なぜ戦闘中のはずの敵が、それもリーダー格がこんな所にいるのか。

そして、ユーリ・ミノユイアが作ったシェルターをいとも簡単に破壊してきた攻撃力。

それが自分に向けられるのではないかという不安。

みんな、逃げ出したいけれど怖くて動けないといった状態なのだろう。

「我々≪月の無い闇夜の集会パーティーオブダークネス≫の目的は、空想世界に存在する全ての国家の統一である。そのために、空想世界最大の国家である≪自由同盟フルート≫、およびその国民である貴公らは、我々の支配下に入ってもらう」

今度は先程とは違い、聴衆の驚きはそこまで大きくなかった。

彼らの言う空想世界統一を目指す団体は、少なくないのだ。

ただし、彼らと他の団体との決定的な違いは、人数の少なさだ。

普通13人で空想世界統一なんて言い出せば、笑い者以外の何物でもないだろう。

でも、数千人のフルート同盟軍とユーリ・ミノユイアを圧倒したあの戦闘力を見せられた後では、笑うどころか恐怖を感じる。

「そして、我々にはもう一つの目的がある。 いや、違うな。これは俺個人の願望だが……」

そう前置きした後、黒衣の侵略者はとんでもないことを言い放った。


「セツナという人物を探している」







「くっ……」

空中でストリュートの猛攻に耐えるユーリは、悔しげに顔を歪ませた。

「くくっ。空想世界最強と言われるユーリ・ミノユイアが、まさかこの程度とは思いませんでしたよ。私で苦戦するようでは、我々のリーダーには到底敵いませんね」

瞬間移動を中断し、再びユーリに対峙しながらストリュートは言った。

「ああ、そういえば。あなたは≪先駆者≫だそうですね。俗に≪創世の日≫と呼ばれる、3年前のあの日以前からこの世界にいた人々。会うのはあなたが初めてですが、大した事はなかったですね」

肩をすくめて、失望したという言葉を体で表すストリュート。

小馬鹿にしているようだが、その動きに隙は無い。

ユーリは黙っている。

「そうそう。≪先駆者≫に関する、こんな噂を聞いたことがあります」

言葉を発しないユーリの様子を楽しんでいるかのように、ストリュートは次の言葉を紡いだ。

「≪先駆者≫は、常人よりはるかに強く、『死』を恐れる」

「......!」

ユーリの表情に変化があった。

その様子を見て、ストリュートは楽しくて仕方がないといった風に笑う。

「くははっ。その様子だと、どうやら真実のようですね。そんなに怖いですか? 現実世界が」

「......」

答えないユーリを見て、ストリュートは満足げに言った。

「くくっ。現実世界だってそこまで怖がるような場所ではないでしょう。あなたが何年前からここにいるのかは知りませんが、少なくとも数年前までは我々が暮らしていた世界です。ご安心ください。私が責任を持って、あなたを再び現実世界へ送り届けましょう」

そう言ってストリュートは再び笑う。

その時、叫び声を上げながら、一人の男がストリュートへ向かって飛んできた。

「うわぁぁぁあああああ!!!!」

「!?」

ストリュートは驚きながらも、瞬間移動でそれをかわす。

「ユーリ司令! 大丈夫ですか?」

「副司令……!!」

突然現れた自分の部下に、ユーリは驚きの色を隠せずにいた。

「いやあ、驚きました。今のスピードは尋常ではありませんでしたよ。我々のパーティーでも速い方に入るくらいです。ただの兵士ではないと思いましたが、なるほど、副司令ですか」

突然の事態にも、戸惑う様子もなくストリュートは言う。

「さて、"副"司令というくらいならば、実力はそこの彼女には及ばないのでしょう? 奇襲ならまだしも、正面から戦って私に勝てるとでも?」

「俺だって、≪創造主≫とはいかないまでも、この世界では上級者なんだ! お前こそ、無傷で帰れるなんて思わない事だな!」

「ほう。ならば、実力で示してもらいましょうか」

ストリュートが、狙いを副司令へと移す。

いまにも戦闘が始まりそうな雰囲気の中、ユーリが副司令に囁く。

「副司令。20秒だけ耐えてください。そうしたら、後はボクがなんとかします」

副司令は少し戸惑いながらも、

「了解です」

と承諾の返事をした。

「いきますよ!」

ストリュートがその言葉と同時に姿を消す。

次の瞬間、副司令の左斜め後ろから、レーザーが飛んできた。

レーザーは、副司令の身体を貫く直前で、突如現れた半透明の壁に遮られる。

「俺の得意技はこの防壁(バリア)だ。防御だったら、ユーリ総司令にさえ引けを取らない」

その後も四方八方から次々と迫り来るレーザーを、自らの周りに展開する防壁で防いでいく。

その背後で、ユーリは目を瞑り、何かに集中し始める。

数秒後、ユーリの両腕が青白く輝き始めた。

そして、ユーリが手を開くと、そこに魔法陣が現れる。

「≪蒼銀の籠手≫!」

その言葉と同時に、ユーリの腕に纏っていた輝きが一瞬強くなり、銀色の装甲に変わる。

その光に気付いたストリュートは、副司令への攻撃の手を止めた。

「ほう。変身ですか。さすがですね……と言いたい所ですが、その行動は何とも理解し難い。変身は確かに高度な技ですが、それをしたところで戦闘力が上がるわけでもないでしょう。仲間に時間稼ぎをさせてまで、死装束を纏いたかったのですか?」

ストリュートが挑発的な口調で言う。

ユーリはその言葉を受け流しながら、副司令に言った。

「ありがとうございます。後はボク一人で十分です。あなたは下がっていてください」

「えっ……ですが……」

「近くに人がいると、全力が出しづらいんです」

「は、はぁ……」

遠回しに邪魔だと言われた副司令は、困惑しながらもその場を離れる。

再びユーリと対峙したストリュートは、嘲笑を含んだ口調で語りかけた。

「決死の覚悟で助けに来てくれた仲間を追い返すとは。あなたも酷い事をしますね」

「危険なので遠ざけただけです。さて……」

一旦言葉を切ると、鋭い目でストリュートを睨みつける。

「よくも散々虚仮(こけ)にしてくれましたね。この借り、きっちり返させてもらいます」

「おお怖い。ですが、腕に装飾がついたくらいで何ができると言うんですか?」

その問いかけに答えることもなく、ユーリは右手を横に伸ばす。

「≪蒼光の槍(ブラウライトスピア)≫!」

青白く輝く、槍の形をした光が現れ、ストリュートへ向かって飛んでいく。

「この程度ですか。確かに威力は高そうですが、当たらなければ意味がありません」

難なくかわすストリュート。

それを予期していたのか、ユーリは動じる様子もなく、横に伸ばしていた手を前に振りかざしながら叫ぶ。

「≪再生成(リプロダクション)≫!」

次の瞬間、ユーリの周りにたった今放った物と同じ青白い光が次々と現れ、横殴りの雨の様にストリュートに襲い掛かる。

「なっ!?」

突然激しくなった攻撃に驚きながらも、ユーリの後ろに瞬間移動するストリュート。

息をつく暇も与えず、ユーリはさらに追い打ちをかける。

「≪蒼天へ駆ける光(ライズレイズ)≫!」

ユーリを中心にして12本の光の柱が地上から空へと昇っていき、その内の一本がストリュートに直撃する。

「ぐあっ!」

受けた衝撃に耐えながら、ストリュートは右手を前に突き出し叫んだ。

「≪ストライト≫!」

ストリュートの右手から、人の胴ほどの太さの光線が放たれ、それに寄り添うように4本の光線がユーリに向かっていく。

「≪摂理の障壁(レフューザル)≫」

ユーリが左手を前にかざしながらそう叫ぶと、薄い光の膜が現れ、ストリュートの攻撃を弾く。

そして、ユーリは左手を引き、右手を前に出す。

「≪蒼光の格子(レインレイズ)≫!」

ユーリが叫ぶと、幾筋もの細いレーザーがストリュートに襲い掛かった。

「がっ!」

直撃を喰らったストリュートは、地上に落下して土煙を上げた。

「う……」

「散々ボクを虚仮にした割に、あっけないですね」

ユーリが近くに降り立ちながら言う。

「ハハ…… 手加減していたという訳ですか。あなたも意地が悪い」

「いえ、もし副司令が来なければ、貴方を倒す事はできませんでしたよ。貴方は確かに強いです」

「それは何とも光栄な……うぐっ! ハハ……痛すぎて得意の瞬間移動すら上手く想像(イメージ)できませんよ」

そう言うと、ストリュートはリラックスするかの様に息を吐き出す。

「はぁ…… さあ、とどめを刺してください。私は現実へ帰ります」

「……わかりました」

ユーリは静かに目を閉じ、右手を胸に当てると、その手を前に翳す。

「その強さと(いさぎよ)さに敬意を表します。……≪昇華の輝き(ハイエストライト)≫」

ストリュートを中心に魔法陣が現れる。

ユーリが右手を空に振り上げると、ストリュートを光の柱が貫いた。

輝きの中でストリュートの身体は光の粒子となり四散する。

ユーリが手をゆっくりと降ろすと、光の柱は空に消えていった。

「はぁ……」

「総司令ー!」

決着がついたのを見た副司令が駆けてくる。

「副司令…… 今回はお礼を言わないといけませんね。貴方が来てくれなければ事はこんなに上手く運びませんでした」

「いえ、そんな……」

「ん? そういえば、同盟軍の指揮はどうしたんですか?」

「あっ、それは信頼できる人に任せてきたので大丈夫です!」

「そうですか。それではボク達も戻りましょう。状況がどうなっているか、気になります」




一瞬理解できなかった。

この場にいる人々の注目を集める、黒衣の人物が放った言葉。

『セツナという人物を探している』

なんで僕? なんで僕なの!?

いや、もしかしたら同じ名前の別の人かもしれない。

うん、きっとそうだ! この世界でセツナと名乗る人なんてたくさんいるはず!

「ちなみにセツナという名前は本名で、見た目は中学生から高校生くらい。性別は男だ」

僕じゃん! どう考えても僕じゃん!!

今まで静かにしていた人達も、ざわつき始める。

「ねぇ、あれ、セツナくんの事だよね……?」

神奈も困惑した顔でこっちを見てくる。

どうしよう…… 名乗り出たほうがいいのかな?

周りの人達のざわめきも大きくなる。

ええい、こうなったら!

決死の覚悟で名乗り出ようとした時、蒼白い光が辺りを埋め尽くした。

「≪蒼光の奔流(ブラウライトフロウ)≫!」

顔を上げると、さっきまでモニターの向こうで戦っていたユーリ・ミノユイアが、目の前で敵のリーダーに向けて極太の光線を放っていた。

まともな戦闘シーンを書いたのは初めてなので、わかりにくい所などあると思います。

アドバイス等いただけると嬉しいです!


(3/2)後書きと前書きが重複していたのを修正しました。

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