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閑話 ロズウェルド
リュシーナか……。
そう言えば、あいつらと会うのも久々だな。
自分とミシェルの周りに転移魔法の魔法陣を発動させながら、そんな事をぼんやりと考えていた。
「れい~、その日本酒とってぇ」
胸元で小さくなって寝ているトオルが、寝言を呟く。
夢でも酒を飲んでいるのかと苦笑してしまう。
明日起きて、禁酒令が出たらどんな顔をするのだろうか。
また、自分にギュッと抱き付いて来て甘えるのだろうか? その時自分は、毅然と「駄目」と言えるだろうか?
……自信が無いな。
お酒が飲みたいと自分に抱き付くトオルに、しょうがないな、と言って許している自分の姿が直ぐに想像出来る。
遠い目をしていたら視界が変わり――。
黒い騎士服を着た数人の黒騎士達が、急に現れた俺を驚いた表情で見詰めていた。
久しく見る顔ぶれだった。
会わなくなってからも、あまり変わらない彼らを見て嬉しく思いながら、俺は口を開く。
「久し振り。実は、言っておかなきゃいけない事があるんだ――」
次は30日22時過ぎ頃




