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「ん~。あれは女性化の魔法薬だからぁ……」
ブツブツ言いながら、ルルは部屋の隅に置かれているショーケースの1つに近づくと、綺麗に並べれられているガラス瓶の1つを掴んだ。
蓋を開け、赤色の涙型の魔法薬を1粒取り出す。ガラス瓶を元の場所に戻すと、取り出した魔法薬を持ったまま、横の棚に置かれている細長いフラスコを持ってテーブルの前に移動し、取り出した粒をその中に入れた。
次に、テーブルの上に置かれていた水差しを手に取ると、フラスコの中に少量の水を注ぎ、クルクルと回す。カチャンッ、カランとフラスコに魔法薬がぶつかる音が部屋の中に響く。
普段、愛らしい表情で笑うルルを、ただただ可愛い女の子と思っていたが───真剣な表情で魔法薬を混ぜる姿はかっこ良く見えた。
そこには、確かに『薬師』としてのルルがいた。
ある程度フラスコを回していたルルは、一度手を止め、その中にフーッと息を吹きかけた。
もう一度少量の水を入れ、何度か同じ作業を繰り返していく。すると……。
「あ、色が変わった!」
近くに行ってルルの作業を興味深そうに見ていた零が、フラスコの中の溶液の色が変わったのを見て驚きの声を上げた。
魔法薬が溶けたフラスコの中には、先程入れた赤い色ではなく……泥の様な、茶色く濁ったものに変わっていた。
どう見てもゲロマズそうだと思える色である。
「はぁ~い。完・成♪」
色の変化を認めたルルは、これを飲んだら完璧に元に戻るよと言いながら、水に溶けた魔法薬(あの泥色をした)をニッコリ笑いながらフィードに差し出した。
「………………」
受け取ったフィードは、それをジーッと見詰めながら固まる。
なんだこの色は。これは本当に解毒薬なのか? この唯の泥水としか言えない様な物が!? それに、なんか臭うし……これを本当に飲んでもいい物なのか、と、激しく悩みながら呟くフィード君に私は同情の視線を送る。
あれは私でも飲みたくはない。
「大丈夫ですよ。ルルはウェーゼン国一の薬師ですからね」
眉間に皺を寄せて悩み続けるフィードに、ハーシェルが安心させる様にそう言った。
最後に、味は保証しませんが効き目はぴか一です。と付け加える。
「ウェーゼン国一の薬師?」
フィードはルルに目を向ける。そして、何かに気付いた様にハッとした。
「……名を、『ルル』と言ったな。この国一の薬師で、魔法薬を扱う『ルル』と言う事は……かの有名なオルディガ家の『毒姫』か───」
目を細めて確認するフィード君に、ルルはいつもと変わらぬ笑顔で「そうよ」と言った。
「…そうか。なら、信用できるな」
何かを考えるよな素振りをしたフィード君であったが、一度目を閉じ、何かを決した様に見開くと。
ゴックン!
鼻を摘まみながら、勢いよく泥水の様な解毒薬を飲み干した。
おぉ、いい飲みっぷり。
しかし。
「まっず!!!」
口元を片手で覆い、違った意味で苦しみ出した。
「はい。これを飲んで」
そうなると分かっていたルルが、水にシロップみたいな物を溶かしたコップをフィード君に差し出す。それを引っ手繰る様に掴んだフィード君はそれも一気に飲み干した。
はぁ~っと息を吐いて落ち着いた彼の目は、若干涙目である。
そんな彼を見て、私と零は顔を引き攣らせていた。次は自分の番であると……。
ちょっと短いので、本日の7時にも次話を予約投稿しております。




