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金と銀

 嵐によって難破したカンディードたちの船で、生き残ったジャック先生が、パリの市街地を真っ裸で疾走する事件があり、市民は迷惑しているという噂を耳にした。

 それはさておき、難破した船の代わりを探そうとカンディードとカカンボは港町を徘徊。

 


 すると、キュネゴンドの美しさに見惚れた提督が、船を貸す代わりにキュネゴンドと結婚したいと申し出た。

「姫は私の婚約者ですよ。そのうち結婚をしますがね・・・・・・提督閣下。あなたさまにもぜひ、祝福してもらいたいものです」

 カンディードとキュネゴンドがまだ婚前であると聞き、カンディードを使い走りにして自分のものにしてしまった。

 というのも、キュネゴンドがカンディードを出世させるにはそれしかないと考えたからである。

「そんなのだめだよ、カンディードがかわいそう」

 カカンボはカエデちゃんまで奪われないようにと、海兵の服で男装させていたため、事なきを得たが、姫の分まで守るすべはさすがに持ち合わせていなかったようだ。

「いいえ、カエデ様。これでいいのですわ。愛するカンディードのために犠牲になります。これは女の冥利でしょう」

 

  

 おかげでカンディードのいとしい女は、海賊の愛人になってしまった。

「キュネゴンド、キュネゴンド! 僕たちはまた、離れ離れになってしまうのか!」

「ゆるして、カンディード。あなたを追って兵隊もやってくるわ。私が食い止めます、だからゆるして・・・・・・」

 船の中でくず折れるカンディードを、介抱するカエデ嬢。

 カカンボは胸を痛めたが、気にしないフリをつとめた。  

「カカンボ、なぜカエデちゃんにだけ男装させて、姫を助けられなかったんだ」

 カンディードは怒りに任せて、カカンボをねじ伏せた。

「ちょ、やめなよ」

 止めに入ったカエデ嬢をも、突き飛ばす勢いで取っ組み合いが始まった。

「それは服が足りなかったから。それに、キュネゴンド姫に男の真似事ができますか? フランスの作家、ジョルジュ・サンドのように」

「うっ・・・・・・」

「あいにく、私が愛しているのは姫ではありません。ゆえに優先せざるを得なかったのが、カエデ嬢です。残念ですが」

 カンディードはそれっきり、カカンボの襟首を離して黙りこくった。

 

「さっきのは、言い過ぎ」

 カカンボから借りた軍服を返してから、カエデちゃんはふくれっつらをした。

「でもね、ゆるせないじゃないか。あの言い方はまるで、きみを犠牲にして姫だけ助けたらいいって、いっている気がした。ゆるせないじゃないか。あんな発言取り消してほしいね」

「私が彼女の立場でも、きっと同じコトしたと思うよ。それでも助けてくれた・・・・・・?」

 カエデちゃんは弱々しく尋ねた。

 カカンボは背中を向けたまま、なにかを覗いているようだった。

「その時計・・・・・・」

 カエデちゃんは自分の銀時計とカカンボの金色の時計とをあわせてみた。

 なんと飾りの紋章がひとつになり、大きな動物の絵に変わった。

「これはいったい、どういうことだろう」

 カカンボはカエデ嬢から時計を取り、代わりにと自分の時計を与えた。

「俺、きみとは運命を感じて仕方なかった・・・・・・、出会えた記念だ、交換して持っていよう」

    

 時計を渡しながら、カカンボは彼女の手を強く握る。

「さっきの答えだけどね、俺はカエデちゃんだからこそ助けたんだよ。きみがたとえ、キュネゴンド姫だとしてもだ、きっと助けたと思う」

 カエデ嬢は深くため息をついて、カカンボに寄り添った。

 そして・・・・・・唇を重ね合わせる。

 いやはや、だんだん核心に迫ってまいりましたか。

 時計の謎とジャック先生の素敵なお尻が・・・・・・おっと、げふんげふん!

 

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