表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

いやすぎるー!

 予定通りにコンスタンチノープルへ向かう一行。

 カンディードはキュネゴンドに会えると浮かれていたが、カカンボはなぜか苦虫を噛み潰した顔をする。

「どうしたの」

 とカエデ嬢がカカンボの袖を引っ張って尋ねる。

「じつはね、キュネゴンドさんだけど」

 カカンボはそっとカエデ嬢に耳打ちした。

「それって、かなりやばいのでは・・・・・・」

「だから困ってるんだよね」

「あらら。きっとカンディード、怒るわよ」

 カカンボは肩をすくめた。

「でも俺のせいじゃないし、しかたないもんね」

「まあ、そうだろうけどさあ。かわいそうになってきた」

 は、とカカンボが笑いだか、ため息だか、複雑な呼吸をした。

「そ、そのうちなれるさ、きっと」

「そういう問題?」

 というやり取りを甲板でしていると、そばで聞いていたマルチンが横から口を出した。

「人生そんなもんでしょ」

 カカンボとカエデ嬢は、引きつった笑いを浮かべていた。 

 コンスタンチノープルにつく途中、じつはキュネゴンドの兄とパングロスとが同時にガレー船の奴隷にされていて、生きてました、という出会いが待っていた。

 その船こそカンディードたちが乗っていたガレーで、まさに不可思議な偶然!

 しかしツンダー・テン・トロンクは変わらずに傲慢で、パングロスはかわらずの楽天主義者であった。

「どんなに不幸でも、わしは幸せなんだよ。カンディード」

 いろいろ苦境を味わってきたカンディード、そろそろこの思想に嫌気が差し始めて、パングロスの意見を否定していた。

 そしてコンスタンチノープルで待っていたキュネゴンドを見て、カンディードはがっかりする。

 もちろん、兄も。

「ああ、なんてこった。僕の最愛の人」

「おお、俺の最愛の妹って、きさまぁ、カンディード。身分をわきまえず、まだキュネゴンドを妻にと申すか」

「なんだよ、妻にしちゃいけないのか。だいたい、こんな鮫肌で、醜い女など、誰が貰い手があろうか。それをこの僕がわざわざ、もらってやろうといってるんだぞ」

「ほざけ」

 領主が高飛車に笑い飛ばす。

「貴様にくれてやるほど落ちぶれた姫ではないわ!」

「なにを〜」

 

 たまりかねたカカンボは、いいかげんにしろとけんかに終止符を打ち、カンディードにローマへ送り込んでしまえといった。

 トロンクは、ウエストファリアをブルガリアにつぶされて以来、ローマの法王に仕えており、それなら法王庁で面倒を見てもらえればいいじゃないか、という結論に至った。

 肩の荷が下りたとカンディード。

 ところが一難去ってまた一難、今度はキュネゴンドがヒステリーを上げてカンディードをなじる毎日。

「もうこんなのいやぁぁ」

 カンディードはねちねち聞かされる最愛の人、キュネゴンドの文句が、脳裏に残っていくのであった・・・・・・まるで呪いのようにして。

  

 例によって老婆も機織をしたりして生活していたが、マルチンも、パングロスも、そしてカカンボとカエデ嬢も、カンディードの下を去り、残ったのはキュネゴンド姫だけであった。



「これからもずっと一緒よぉ、カンディードぉ。げへっ、げへへっ」



 カンディードの悲痛な叫びが、屋敷内をこだまする。



「こんなの、いーやーだぁぁぁぁ・・・・・・!」



 カンディードはこれでエンドを迎えたわけだけど、もちろん、この話には続きがあって・・・・・・。

たしかにねえ、こんな最後いやだわ・・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ