表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

その聖女、????につき

作者: 豆月冬河

やってみたかった『婚約破棄』のテンプレ。

…からの、ゆるゆるファンタジー。

「婚約破棄はこうじゃない!!」って言わないで(´Д⊂ヽ

 「フェリシア、君との婚約は破棄させてもらう」


 ………? レオノール様、何を仰っているのか分からないのですが…。


 ここは王宮。王と王妃、国の重鎮たちを前に、王子であるあなたが、そのような宣言をして良いのですか?

 …ですが、何だか皆様、重苦しい表情をされておいでですね。


 「………すまない」


 レオノール様…、謝罪とは…。

 その王子らしからぬ装備といい、隣にいるハレンチ極まりない露出狂のとんがり帽子の女といい、何か理由があるのでしょうか。




 ―――私、フェリシアは、数百年に一度現れる稀代の『聖女』と呼ばれています。

 そのため、この国の王が、私を王子・レオノール様の伴侶と定め、婚約を結んだのです。

 ………が、ともかく、


 「…レオノール様、理由をお聞かせ下さい」


 いきなり婚約破棄を申し渡されても、納得は出来ません。

 レオノール様のその不格好な鎧兜、大きな盾…。まるで戦にでも向かうかの様です。


 私が訝しんでいると、レオノール様は重い口を開きました。


 「…先日、この国に『神託』が降りたことは、フェリシア、君も知っているだろう」


 ああ、そういえば。

 確か、この世界と敵対する今世紀最強の『魔王』に対抗出来る『勇者』が覚醒した、とか。


 私が頷くと、レオノール様は、


 「その神託を授かった『勇者』が、私なのだ」


 ! 何という!

 それでそのような姿だったのですね。


 …ですが、それと婚約破棄と、どういう関係があるのでしょう。


 「神託を授かった時点で、私のレベルは58。君も知っているとおり、この世界でのレベル上限は99。…しかし、今この世界を脅かす、あの凶悪な魔王のレベルは、この世界の理を逸脱した、レベル282…」


 ああ、そういえばそんな情報ありましたね。


 「ここにいる大魔道士ライラ…、レベル72であり、『巨大隕石魔(メテオ)法』の使い手でもある彼女の協力を得ても、あの魔王に敵うかどうか…」


 「だ、だいじょーぶよ! 勇者の技・『偉大なる聖光(グラン・セイン)』さえ覚えれば! あと何レベだっけ? 覚えるの…。とにかく、一緒に魔物の森でレベル上げよ!」


 うるさいです。このハレンチ大魔道士。

 レオノール様の腕にぷにぷにと、自分のお胸を押し付けないで下さい。


 「と、とにかく! …そういう訳だ。だから…」


 だから? もしや、そのハレンチ大魔道士とイチャコラすれば、魔王を倒せる、とでも?

 しかも、ハレンチ…、じゃない、ライラでしたか。そのたわわなお胸を張り出しながら、得意満面のドヤ顔。

 私のお胸は…。むう。コメントは差し控えます。


 「…だから、もし、私が魔王に倒されてしまったら、この国…、この世界の護りの要である君の伴侶になるなど、とても無理だ! だから、私は身を引こうと思う。………本当にすまない、フェリシア」


 意外とまともな理由でした。

 ですが、やはり納得は出来ません。


 「レオノール様」


 「?」


 ここは、私が申し上げなければ。


 「でしたらその魔王討伐の旅、私も同行させて頂きます」


 ざわっ、と周りの方々がざわつきました。何故でしょう。


 「な! 何を言う! 先程も言ったとおり、君はこの世界の護りの要! 君を失うことは、世界の損失だ!」


 むう…。

 私は懐から、一つのクリスタルを取り出しました。


 「…では国の護りは、このクリスタルに私の現身(うつしみ)を宿らせましょう」


 「? それは?」


 「これは先日、私が北の山でドラゴンから略奪し(いただい)た、本人の分身を作るクリスタルです」


 「「………は?」」


 ? 何ですか、レオノール様だけでなく、王様も王妃様まで、そんなに驚いて…。


 「ちょ、ちょっと待て!」


 ? 何でしょうか、レオノール様。


 「き、北の山の、ドラゴン?」


 ええ…、? 重鎮のお一人が青ざめた顔で、


 「あ、あれは、言うなれば自然の厄災! 北の山に籠もってはいるが、その逆鱗に触れれば魔王をも凌駕する、一説にはレベル400をも超えるという、触れてはならぬ存在だろう!」


 皆様どよめいていますね。そういえばそうでしたか。ですが…。


 「私、先日そのドラゴンを倒しましたので」


 「「………は?」」


 ? 何ですかその先程と同じリアクション。タイムリープですか?


 「た、倒した、だと!?」


 ええ。それが何か?


 「で、デタラメだ! それが事実だとすれば、フェリシア様が勇者を超えている、ということになるではないか! いくら何でも…」


 「…ありえん! そのようなこと…」


 王や王妃、重鎮の皆様も、一層青い顔をされていますが。これは事実を述べるしかありませんね。


 ………ダダダダダ。


 …? どなたか走ってらっしゃいます…。

 あ、グレゴリー司教様。私の親代わりともいうべき方です。


 「………はあ、はあ、レ、レオノール様! 皆様も!」


 どうされましたか、司教様。


 キッ!


 ? 私、今、司教様に睨まれたような。何故。


 「その…、レオノール様に『勇者』の神託が降りたのですよね?」


 「あ、ああ、そうだ、グレゴリーよ。それで…」


 ―――かくかくしかじか。

 ひとまず、私のドラゴン討伐を疑問視されたところまで説明されました。


 「くっ…」


 ? 司教様、何故憤っているのでしょう。


 「………実は、ここにいる聖女・フェリシアなのですが…」


 やはり睨まれています。むう。


 「数百年に一度現れる稀代の聖女…、その言葉通り、彼女はとても優秀です。…ですので、この王宮に眠る『禁断の書庫』…、そこへの入出許可を与えられました。………が!」


 司教様が再び憤ってらっしゃいます。何故。


 「それが、間違いの元でした! 申し訳ない! このグレゴリー、一生の不覚!」


 くっ、じゃありません。失敬な。


 「い、一体、それのどこが間違いなのだ?」


 王様が尋ねると、司教様は、


 「…フェリシアが書庫に入ると、手に取った一冊の本から、守護獣が現れたそうなのです」


 ―――そう、その守護獣こそ、不死鳥(フェニックス)

 私はまず、不死鳥を捕獲(ゲット)し、『再生(リボーン)』、『瀕死自動回復(リジェネーション)』、『再生時経験値(超超ボーナス)獲得大幅上昇(ポイントゲット)』のスキルを得たのです。


 「「………は?」」


 だからタイムリ(以下略)。


 「…次にフェリシアが手に取った禁書は、過去誰にも読めなかった一冊…。それを彼女は解読し―――」


 ええ。あの禁書を解読した私は、『基準限界突破(レベルアンリミテッド)』のスキルを得たのです。恐らく現在の魔王も、このスキルを会得しているのでしょう。


 「なんと…」


 皆様、またざわつかれてますね。何故。


 「…その後彼女は、順当に禁書を解読していき、現在のスキルは―――」


 えーと、

 『再生(リボーン)

 『瀕死自動回復(リジェネーション)

 『再生時経験値(超超ボーナス)獲得大幅上昇(ポイントゲット)

 『基準限界突破(レベルアンリミテッド)

 『完全体力回復(パーフェクトヒール)

 『完全魔力自動回復パーフェクトマジックパワーオートヒール

 『常時全状態回復(オールタイムヒール)


 それから…

 『聖光砲(ホーリーカノン)


 ですね。


 「ですね、じゃないですよ!」


 くっ、と再び司教様が憤ってらっしゃいます。何故。


 「す、すごいではないか! 確かにそこまでの回復師(ヒーラー)が一緒であれば、魔王討伐の旅は安泰…」


 「ち、違うのです! 問題はそこではなく…、スキルを揃えたフェリシアが取った行動は…!」


 「アレの何が問題なのです」


 私が尋ねると、司教様は慌てふためきながら、


 「問題でしょう! お陰で私が、先程まで大司教様に捕まって、散々お小言を頂いていたのですよ!」


 ああ、それは申し訳ありませんでした。でも何故。


 「何故、じゃありませんよ! あなたがその後、誰も立ち入らない葬られた地下ダンジョンで何をしたのか、ご自分の胸に問うて下さいませ!」


 えええ…。


 「い、一体、何をしていたのだ?」


 王様に尋ねられ、司教様は半泣きしながら、


 「くっ…、彼女はダンジョンで何を血迷ったのか、自分で自分に『聖光砲(ホーリーカノン)』を撃っては再生を繰り返す、という狂気の沙汰を日々行いまして、…現在、フェリシアのレベルは…」


 ゴクリ、と皆様の息を呑む様子が伝わってきました。

 え、そんなに驚きますか?


 「9999、なのです」


 「「………は?」」


 …もうツッコむのも疲れました。


 「ですからこのフェリシア、現在のレベルは、9999! 本来あり得ない数値なのですが、現実なのです! ああもう…、こんな、とんでもないバケモノになってしまって…」


 失敬な!

 …まぁいいでしょう。


 「…という訳で、レオノール様。先程も申しましたが、魔王討伐の旅、私も同行させて頂きます。よろしいですね?」


 「あ、ああ」


 何となく皆様、納得されていないご様子ですが、とりあえず現身のクリスタルで分身を作り、早速魔王討伐の旅へと繰り出しました。


   ◇   ◇   ◇


 「『聖光砲(ホーリーカノン)』!」


 ラストステージまで辿り着き、魔王の間で放った私の『聖光砲(ホーリーカノン)』は、周辺の魔物という魔物全てを巻き込み、今世紀最強の『魔王』を消し炭へと変えました。

 ですが…。


 「レオノール様。せっかくですから、覚えたての『偉大なる聖光(グラン・セイン)』も発動しておいて下さい」


 「え!? い、いや…、もう魔王は…」


 「いいから、どうぞ」


 とりあえず技を繰り出した、という既成事実は必要でしょう。本来魔王討伐は『勇者』の仕事です。


 「くっ…、『偉大なる聖光(グラン・セイン)』!」


 ………これでよし。では帰りましょう。


   ◇   ◇   ◇


 「もおぉ、フェリシアお姉様の『聖光砲(ホーリーカノン)』、サイッコーでしたよぉ!」


 だからライラ、私の腕にぷにぷにと………、気持ちいいですね。むう。


 ライラは私より二つ年下の16才。何を食せばそのようなたわわなお胸になるのでしょう。うらやましい。


 「とにかくこれで、婚約破棄は無かったことになりますね、レオノール様」


 私がそう言うと、レオノール様は思い詰めた表情で、


 「………いや、今回のことで思い知らされた。私は君に、相応しくない」


 ! な、何故ですか!?


 「私は君よりも、弱い。だから、もっと精進しようと思う。…私のレベルが上がるまで、待っていてくれるか?」


 ………そうですか。では、


 「お手伝いしましょうか」


 「?」


 「せっかくですからレオノール様にも『禁書』を読み解いて頂き、『再生(リボーン)』と『瀕死自動回復(リジェネーション)』、『再生時経験値(超超ボーナス)獲得大幅上昇ポイントゲット』と『基準限界突破(レベルアンリミテッド)』を覚えて頂ければ、私と同じやり方で…」




 ダッ!




 あ! レオノール様! 何故お逃げになるのですか!?


 「す、すまん! それはムリだ! あのような仕打ちに耐えるなど…!」


 一度お試しで、私のレベル上げ方法を疑似体験して頂きましたが、


 「そんなに嫌がらなくても…。慣れてしまえば、クセになりますよ? ねぇ、ライラ…」


 ? ライラ? 一体どこに…。

 あ! レオノール様と一緒に泣きながら走って逃げるとは…。


 「ごめん! お姉様! アタシも、アレはムリー!」


 ………まったく。そのような態度では、私のレベルになどとても追いつきませんよ。


 だって、私の本来のレベルは、


 『13529』


 大司教様がお持ちのレベル計測器でも、9999までしか表記されませんからね。自分にだけ見えるステータス表示…、これも禁書を読み解いた影響でしょうか。


 とにかくお城に戻ったら、レオノール様にも精進して頂かねば…。微力ながら協力致しますよ。

 フフ、楽しみです♪


トンデモ聖女でしたね。

ちなみにタイトルの『????』には『レベル9999』とでも入れとくのが妥当かな。入れたらネタバレだけど(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
フェリシア、飽くなき探究心が凄いですね。自分で自分に撃っては再生を繰り返す…その発想がなかなかないです。それでいて、魔王討伐にあたっては勇者にも配慮が行き届いていて、面白かったです。 タイトルの「?…
まあほら必要経験値の差で追いつけるかもしれないじゃないですか?がんばれレオナール(とライラ)
いやもう、神の領域ですね。 ????に入りそうな言葉 ・規格外 ・トンデモ ・ド天然 ・「何かしちゃいました?」 ・ドMでドS 発想が貧困でスミマセン
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ