第6話
1週間かけて私たちは団地をすべて探索した。
貴重な資料はたくさん手に入ったが、孤児院へ帰る手掛かりは手に入らなかった。
食料もあまり残っていない。
どうするか決めかねていると、急に大きな鳴き声が聞こえた。
「ゴブリンどもが山で騒いでやがる。やばいかもな。こういう風にゴブリンの鳴き声がするときはたいていろくでもないくらい強いモンスターがゴブリンを襲ってる時だよ。:
シファーはそういうと支度をはじめ、私たちにも出ていく準備を促す。
「どうせもうそろそろ移動しなきゃいけないしな。強いモンスターと出会う前に逃げちまおう。」
「えー?あたしちょっと見てきたいんだけど!」
不満そうにリエルがつぶやく。
「俺たちだけならまだいいが、シロもいるしな。」
シファーがそういう。わかっていたけれど、私はまだまだ足手まといなのかもしれないと少し落ち込んだ。
「ああ、悪い意味じゃないんだぜ。お前の力は、、、いや、なんでもない。」
そういうとシファーはさっさと歩きだしてしまった。
「どこへ行くつもりなの?」
私がそう聞くと、この間魚を取った沢を登っていくとシファーが教えてくれた。
山を登っていると近くの茂みからなにやら物音がした。
リエルとシファーが戦闘態勢に入る。
私も魔法を唱えた。
「アーツジェネレーション」
そうつぶやき、剣を手のひらから出現させる。
剣を強く握ったタイミングで、茂みからゴブリンが何匹か飛び出してきた。
剣で薙ぎ払う。
ゴブリンの首が1個はねとぶ。
リエルが間髪入れず矢じりの着いた鎖を飛ばす。
きれいにゴブリンの額へと突き刺さる。
シファーがとどめに爆弾を投げる。
何匹かのゴブリンが、肉塊となって吹き飛んだ。
それと同時におおきな雄たけびがこの山に響いた。
「あれ、ケンタウロスじゃない!?」
上半身は裸の男に悪魔のような角が生えているだけだが、下半身は馬のようだ。手には弓が握られ、今まさにこちらを穿とうとしている。
とっさに剣を盾にして、矢を防ぐ。
リエルが鎖を足に絡ませて、矢じりを腹部に突き刺した。
それでもケンタウロスは意に介さずこちらを狙ってくる。
「アーツジェネレーション」
手のひらから槍をだし、咄嗟にミノタウロスの顔にめがけて投げた。
かわされてしまったが、シファーがその隙に投げた爆弾がさく裂する。
リエルが鎖を巧みに操り、木に引っ掛けて宙を舞う。
私の剣をケンタウロスの頭に突き刺した。
ケンタウロスの足が崩れ落ちる。
「危なかったな。まさかケンタウロスまで出てくるなんて。」
息の上がったシファーはそういうと座り込んだ。
私も緊張の糸がきれ、その場にへたり込む。
リエルは少し興奮気味だ。
「ケンタウロスが一体でいるなんてめずらしいわね。それにこいつ、たぶんかなり弱ってるわ。生息域からも離れてるし、、」
そうリエルがつぶやく。
シファーによるとケンタウロスは集団で行動する第3階梯のモンスターらしい。
一息ついて、私たちは解体をすることにした。
改めて見ると、上半身は人っぽいけれど、牙が生えていたり、似ているけれど根本的に人間とは違う生き物なんだと感じた。
日が暮れてくる。
寝床を3人で探していると、小さめの洞窟を見つけた。
入ってみると、かまくらくらいの広さで、一日3人で寝るくらいならなんとかなるくらいの広さだ。
わたしたちは、食事を済ませてすぐに眠りについた。