第4話
目を覚ますと、そこには何もなかった。
見渡す限り白い空間が続いている。
なくなったはずの下半身があることに気づく。
そこには何もない。目の前の邪悪な空気を纏っている不気味な人?以外は。
「僕のことを覚えてる?」
そう急に話しかけられた。
「ごめんなさい、わからないです」
なぜだろう、どこかで見たような気はするけど思い出せない。
「ああ、やっぱりね。それは都合がいい。また会えるさ、すぐにね」
そういうと空間が崩れ始めた。
彼は不気味な笑みを浮かべながら粉の様に消えた。
私が再び目を覚ますと、目の前には青い空と生い茂った木が映った。
「あ!起きた!!!よかったーー」
そう安堵するリエルがいた。
「あの力って何だったんだ?」
そうシファーが聞いてくるけど、何のことか全くわからない。
「それ!あたしも気になる!」
「あの力って何?」
二人が何を言っているのか、全く理解できない
「死んじゃったかと思ったら急に復活して、こうずばっ!!!ってキメラを倒しちゃったあれのことだよ!」
「尋常じゃない邪悪な雰囲気があった。まるで別人だ」
「何?私が邪悪って言いたいわけ?」
すこししつこいので、つい嫌味な返事をしてしまった。
「いや、そうじゃないんだが、、、」
少し気まずい空気が流れる。
二人がひそひそ声でしゃべりだす。
「まあ白が無事ってだけでよくない?」
「うーーーん、まあそうか、、」
「二人の会話に全くついていけないわ。何の話をしているの?」
「こっちの話、気にしないで!」
リエルにはぐらかされた。
「一度孤児院まで帰ろう。食料がない」
そうシファーが言う。
「ここってどこなの?」
とりあえずそうリエルに聞いた。
「え、わかんないよ。ほかのモンスターも来て大変だったんだから。」
「は?、おい!俺もわからないぞ、、、」
シファーが焦りだす。
「え!?うそでしょ???」
「俺はそんなくそみたい嘘はつかねえよ!!!そもそもここはかなりの危険区域だ。早く帰らないといつまたモンスターが来るかわからない」
焦っているふたりを放置し、辺りを見回してみる。
建物が植物に飲み込まれていて、たくさんのとても大きなツタのようなものが目に見える範囲の建物すべてに巻き付いてる。
まるで捨てられた団地のような建物の一室に私たち3人はいる。
「とりあえず、食料と水の調達だな。逃げてる途中で沢があったはずだ。一度そこで飲み水と魚を確保をしよう。案内するからついてこい。」
シファーはそういうと、立ち上がりドアを開けた。
3人で階段を下りる。
団地?の裏は山になっている。
3人で20分ほど登ったところで沢にたどり着いた。
小さい魚が少し泳いでいた。
「この程度の大きさの魚なら、そんなに長くはもちそうにないな。今日は魚と水を確保して、一度拠点に戻ろう。」
「任せて!あたしなら楽勝よ!」
そういうとリエルは沢に飛び込んだ。
「ああ、バカ!!!服の替えはないんだぞ!?濡れて体温が冷えたらどうする!!!」
シファーはそういってキレながら、下流の方に石を積んで沢をせき止めようとしている
「しろ!おいでよ!」
気持ちよさそうに泳ぐリエルをみて、うらやましくなり、私もつられて飛び込んだ。
「あああ!!!!!なにやってんだよもーー!!!!」
おこるシファーの声が響いた。
食料の調達が終わり、日も暮れかけてきたので、私たちは水筒を鞄に詰め、山を下りて拠点に向かった。
「寒いよーーー、。」
そうリエルが言う。
「私もとても寒いわ。なぜかしら、行くときはそんなことなかったのに、」
「ばかじゃねえの!俺は忠告したからな」
そういうとシファーは足を速めた。