1-2. 鑑定スキルが欲しい
鑑定スキルといえばファンタジー世界で無双するための最短スキルだと思うんです。
サクラが頑張ってなんだかんだで鑑定スキルを手に入れます
という訳で鑑定スキルが欲しい。
食料調達や自身のギフテッドスキルの解明など、利便性は多岐に渡る。異世界ファンタジーといえば、鑑定スキルでしょう!
実家の周囲にいると衛兵に捕まるから、森の中に逃亡中デェス。バレずに門を潜るのは困難だったが隠密スキルで何とかなったな。
「後天的スキルは訓練や特殊な条件をクリアする事で手に入る…だとすると鑑定は何が当てはまるんだ?可能性を書き出してみるか…」
紙なんて高価なものはないので、落ちてた枝を使って地面に書いていく。
①物の価値や情報を知る若しくは知ろうと働きかける
②その場で周囲のものをよく観察し考察する
③魔術式を介さず魔力を周囲に垂れ流し大気中の魔素に作用させる
④とりあえず「鑑定!」って言いながら周りのものに触りまくってみる
「ざっくりこんなところかな。④はねぇな。おそらくは③を行った上で、変化させた魔素を用いて①若しくは②を行うのが適切か…やってみよう。」
訓練を始めてから、体内の魔力を緻密に循環させつつ、練り上げ圧縮し続け魔力密度を高めてきた。
魔力量は、器の大きさ(魂魄の強さ)と魔力密度の掛け合わせで決まる。
おそらくは父方公爵家の血統なのだろうが、私の器は非常に大きかったため、今現在の魔力量は2年前とは比較にならないほど多くなっている。
「魔力放出」
毛細血管まで循環させていた魔力を、体の表面から放出する。魔術や魔力はイメージが大きく作用する。どれだけ高度の術式や高密度の魔力だとしても、イメージが伴わなければ無に帰すか暴走を引き起こす事となる。
だからイメージする。
…そう、超◯イヤ人を。
「うわめっちゃキラキラしたのが出る!この煌めきは魔素が反応した際の産物か?いやでも普通の魔術はこうはならないよな…高濃度の魔力だとなるのか?…うーむ考察のしがいがある。
ひとまず私の魔力で反応してくれた魔素達を操作してみるか。」
目を閉じて魔素を感じる。どんどん自分のテリトリーが広がっていく感触がする。
「これあれだ。リバーシみてぇなもんだな。いや、挟んでないから…例えが違うか…領地を拡大していく…はっ!信長の野望!知らんけど。」
独りでブツブツ言いながらも検証を続ける。
半径500mほどテリトリーが広がった時点で、魔力放出を止め円内に存在する動植物達を感じてみる。
「うっ…いやキツイなこれ。魔素が触れているものの情報が頭に入ってくるのか…領域を広げすぎたな…いやこのまま続けよう。防御スキルがあるから気絶しても何とかなる…はずだ!」
情報の波が押し寄せてくるが、チラッと確認したら無視する。
「求めてない情報を完全スルーするのは現代人の十八番なんだよ!」
情報による激しい頭痛と格闘し始めて10分ほど経過した。
急に視界がクリアになる。
【スキル獲得:鑑定 大】
「っしゃオラァァァ!…あん?大?まじ?」
…そう、普通は半径数十メートル程度から始めなければ頭がパンクするのだ。ただ、前世で学者をやったりと処理能力が大きかった事に加え、現在幼少期特有の育ち盛りの脳みそを持つ為、広範囲での鑑定が可能となったのだ。
また、鑑定スキルは非常にレアである。情報処理能力や緻密な魔力コントロール、大気中に垂れ流し術式を介さず魔素を変換出来るだけの魔力量が求められる。その為【鑑定 小】でさえレアスキルとなる。
「早速!鑑定!!」
スキルのサポートにより、情報の選別・対象の選択・見えない情報や俯瞰映像などを容易に捉える事が出来た。
「頭痛も無駄情報も無い…最高だね…
そうだ、ギフテッドスキルを鑑定!」
本来10歳の洗礼時に発覚するギフテッドスキルを5歳にして知る。
「何よ…これ…」
サクラが見たのは
【ギフテッドスキル:天鈿女命】
(効果:知性を持つ生命体への魔術的攻撃が不可になる。その対価として、防御・回復・芸能・魔術において秀でた才能を有する。
幾多の命を救済し 数多の祈りを叶えたまえ 汝は豪を背負いし鬼の子よ 狂乱と乱舞の果て 鎮魂と癒しこそが己が使命と知りたまえ)
【ギフテッドスキル:戦破迦哩】
(効果:戦闘に関する事象を大幅に向上させる。周囲からの魔素を取り込み、自身の魔力・闘気へと変換が可能となる。また、裏スキルを発動させる事でバーサークモードに変化する事ができる。練度不足により裏スキル発動不可
破壊の調 殺戮の舞台 何を望み何を願う 羨望せよ 其方は鬼の子 孤独の刻を揺蕩い 弔いの唄を響かせよ)
【ギフテッドスキル:龍神からの祝福】
(効果:会いにきたら教えてあ・げ・る❤︎)
「いや最後の何やねん!…他の厨二チックポエムも何やねん!」
思わずエセ関西弁が出る。
「というか3つ…あー…人生三回目だからかぁ…戦破迦哩?カーリーもしくはパールバディの力か。明らかに1度目の人生が影響してるな…
というか、天鈿女命はデメリットデカすぎだろ!え、何攻撃魔術使えないの!?嘘でしょ…」
鑑定スキルを有したが故に何故かデカ過ぎるデメリットを背負う事になったサクラであった。
見えてて避けようとしてるのに、足や体の一部をぶつける現象なんなんですかね。幼い頃からずっとなんですけど。え?運動音痴?そんなぁ…
サクラダ門外ノ裏話
サクラ達の世界にも、特有の神様はもちろんいます。日本のような「自然エネルギーの概念化」という側面を持つ神様達と違い、「元々は限りある命を有した生命体が条件を満たし亜神へと進化、その後数千年巡礼と修行を行う事で神の座へと上がる」という、「より身近であり恩恵や存在の認知を得る事が可能な高次元的存在」というのが神様の扱いになります。
ただし、最古神は扱いが異なり、「世界創造に関わった超常的エネルギー体」という認識が一般的です。最古神だけは日本神話の神々と同じような概念になってます。
そのため、人々は自分たちの種族に関連のある神様or亜神を崇めるのと同時に最古神を崇めます。つまり種族問わず最低でもニ柱は崇拝の対象という事ですね。
それから、ギフテッドスキルですが通常は一人1つとなります。種類は千差万別ですが、カテゴリーに分けるなら「属性強化」「身体強化」「早熟晩成」「魔力強化」「闘気強化」「英雄」「ライブラリ(知識系統)」の7つに分類され、それぞれ大なり小なりのスキルを得ます。聖女や勇者、願いを叶える者などは「英雄」スキルに分類されます。一般庶民のほとんどは「属性強化(属性魔術が向上)」「身体強化」「魔力強化」「闘気強化」の4カテゴリーの中からランダムに選ばれます。
カテゴリーから外れた上位種を「祝福」と言います。それぞれが神の名を冠しており、数多の世界線に存在する神の力の一端をその身に宿します。説明が非常に曖昧なのは、伸び代であったり解釈の仕方によって無数の可能性がある為です。
ギフテッドスキルは基本進化はしません。ただ、強烈な願望を抱いたり、種族進化の過程において上位スキルへと進化する可能性はあります。「祝福」も同じで、より上位の神の力を得たり、複数の神々から一つのスキルとして授かることもあります。
以上桜田門外ノ裏話でした!
切り捨てごめんチェリオオオオォ!