一章外伝【とある公爵家における幕間】
家系図描くの大変だった…
夜にみてみんに家系図アップロードするので、多少関係性がわかりやすくなると思います。
日暮れ直前に数台の馬車が巨大な屋敷に到着した。
「ただいま戻りました。」
「遅い。問題でも?」
「その件でご報告がございます。」
業務報告としか思えない淡白な会話が行われる。
アリーヌ・ベルティエを迎え出たのは、ベルティエ公爵家当主カールハインツ・ドラ・ベルティエ、つまりアリーヌの父であった。
周囲からは親子中が冷めきっていると思われており、事実アリーヌ本人も父から大切にされているという認識はない。あくまでも自身はベルティエ家繁栄の為の駒であると、子供ながらに理解していた。
だから会話にはいつも緊張が走る。
感情の無いビスクドールになれたらどれだけ良かったことか。
彼女が真に恐怖しているのは「捨てられるのが怖いから」「当主の圧が怖いから」などという軽い理由では無い。
「お前は無能な駒だ。母親を殺したお前を何故愛すのだ?咎女ならせめて有能であれ。当家に繁栄をもたらし罪を償え。」と父親から突きつけられるのが怖いのだ。
はっきりと「憎悪すべき忌み子」だと口に出されることが、彼女の何よりの恐怖だった。
捨てきれなかった「親から愛されたい」という感情が非情になるのを邪魔する。
護衛の半分を死なせてしまった此度の失態は彼女に「無能」の烙印を押すに丁度いい機会になるはずだ。
アリーヌの全身から脂汗が吹き出る。
心臓の鼓動は速さを増し、耳元で心音が鳴り響いているかのような幻覚に襲われる。
お手本のようなカーテシーのまま、地面をじっと見つめていると顔から汗が垂れた。
(いけない。感情を表に出してはいけない。止まれ、止まれ!)
そう思うほどに生理現象はその存在を大きくしていった。
「いつまでそうしているつもりだ。顔をあげなさい。先触れである程度は把握している。アリーヌの口から報告を聞こう。執務室に来なさい。
セバス、馬車の中を整理しろ。医師の手配と遺族への連絡は任せる。バーラ、負傷者の病床と食事の手配を頼む。」
「「承知時した。」」
変わらない氷のような表情で淡々と各方面への指示を行いながら、執務室へと足を進める。
その間、カールハインツがアリーヌの目を見ることはなかった。
(処刑場へと足を運ぶのはこんな気持ちなのかしらね…)
アリーヌは震える手足を隠しながら、歩みの早いカールハインツに必死に付いていった。
「では報告しなさい。」
「はい。ドラコ殿下と共に魔の森へ獣狩りに向かったところ、Aランク相当の魔物に遭遇しました。冒険者の助けにより危機は脱しましたが、護衛6名が命を落としました。
安易に魔の森へと踏み込んだ、私の失態でございます。」
「そうだな。」
(…やはり慰めの言葉をかけてはくれないのね。)
「ドラコ殿下はどうされた?」
「魔物と遭遇した際に、馬車で迅速に避難なされました。ご無事という連絡も受け取っております。」
そしてそこから当時の状況を細かく説明した。
おそらく使役されていた個体が、故意に解き放たれた可能性があること。
また、自分もしくはドラコ殿下の暗殺を目論んだ可能性が高いこと。およびそれらの考察理由を。
(首謀者がマチルダ第五側妃様であることは…言えないわね。証拠もなしに、特定人物の名を出すことは許されない。)
一部を秘匿したまま報告は終了した。
「そうか。こちらでも討伐された魔物調査を行おう。
だか此度の一件、殿下をお諌めできなかったことはお前の不徳だ。」
「申し訳…ございません」
「次期女公爵がそのような体たらくで、どうして民草を守り導くことができるのだ」
「おっしゃる通りでございます。」
「…はぁ。社交シーズンが終わり次第、早急にベルティエ領に戻りなさい。」
「…かしこまりました。」
アリーヌは気づかない。それが父からの心配ゆえの言葉である事に。
カールハインツは、此度のアリーヌ暗殺を首謀したのがマチルダ第五側妃であると確信していた。
何故暗殺を企むのか?それはマチルダ第五側妃の皇太子妃教育を行った、ファナ・ギカンテという夫人に起因する。
先代皇弟夫人でありカールハインツの叔母たるファナ・ギカンテは、「厳しくも優しい完璧な淑女教育者」として人気であった。
事実マチルダを除く、皇妃・側妃からの評判は恐ろしく高い。
しかしマチルダは「皇帝にもなれなかった能無しの夫人程度が、自分に厳しく指導するなど不敬である」という意識を持ち続けた。
加えてファナ・ギガンテとアリーヌ・ベルティエは髪色などは異なれど、よく似た顔であった。
それ故に「あのババアと同じ顔が、私の息子の妻になるなど許せない!」という考えに至り暗殺を決行したのだった。
そしてその思惑を知っていたものの、確たる証拠や決行日時が掴めず、危うくアリーヌを失いかけたのだった。
未遂に終わったとはいえ、第五側妃が行動に起こした以上、次いつ同じように狙われるか分からない。
確実に第五側妃を潰すまで、安全圏に避難していて欲しいと思うのは、娘を想う親として当然のことだった。
そう、カールハインツは娘を嫌ってはいないのである。むしろ逆に重すぎる愛を注いでいた。
しかし、それは伝わらない。
言葉に出さないということが一番ではあるが、他に三つの理由があった。
一つ、「立派な淑女に育て王族に婿に来てもらうことが一番の幸せ」という考えを持っている点。
二つ、公爵家当主として表情を出さず常に厳格であれと育てられたため、娘に対しても圧を解く事も抱きしめる事も無かった点。
そして三つ目、アリーヌが生まれてから幾許もなく、最愛の妻ヘカテが亡くなったことだった。
カールハインツからその事を言及したことはない。娘にとっても辛かろうと、大人になるまで黙っておこうと決めたからだ。
その気遣いが逆に、アリーヌに「私が生まれた事で母が死んだのだ」と思い込ませてしまう。
加えて、口さがない貴族からの言葉や、時折ヘカテの名前をぼやくカールハインツの姿を見て「私は生きていていいのだろうか?誰からも愛されない私が。」という闇となって、アリーヌの心に巻き付いたのだった。
アリーヌがそのことをカールハインツに打ち明けることはない。
だからこそお互いに真意に気付かず、すれ違い続けていた。
父の想いに気付かず、領に戻されるという内容が頭を巡りながらも、冒険者の少女が言った内容を思い出す。
「お父様、お聞きしたい事がございます」
「なんだ。」
「今回助けてくれた冒険者に、何かお礼をしようと声をかけました。」
「…続けなさい。」
「はい。私と同じくらいのその少女は、殺気を出しながら断ってきました。
理由を問うと「あなたの父上に、ベルティエ公爵家の三男がどんな方だったのかお聞きなさって?」と…それが何を意味するのか、お父様はご存知でしょうか?」
カールハインツは話の途中から目を見開き動揺が隠せなくなった。
「ほ、本当にその言葉を述べたのか?」
見た事が無いほど動揺する父を見て、聞いてはならぬ事だったのだとアリーヌも動揺し始めた。
「は、はい。申し訳ございません、何も聞かなかったことに…」
「いや、すまんな。そう…そうか、グーズの…年齢的に娘だろうな。
あぁ、私に次男のジェムーロがいることは知っているな?二人兄弟だと話してきたが、実はもう一人いたのだよ。それがグーズ、我が弟でありこの家の三男だった男だ。」
「…だった…とは?」
不安になりながらも、知識欲が抑えられず聞いてしまう。
「いや、いい。これ以上はまだ早い。
すまないが、その話はこちらで処理しよう。
気にしなくていい事だ。」
ピシャリと踏み込むことを拒否され、また自己嫌悪に陥った。
(…そう。そうね。出過ぎてしまったわ。)
「申し訳ございません。」
「部屋に戻りなさい」
「はい」
こうしてアリーヌには何も知らされず、カールハインツの思いは届かず、サクラは目をつけられる。
様々な思惑が交差する中、それでも転がり始めた運命は加速していく。
ラーメン食べたい。
2週間日本食ほとんど食べれないと思うので、明日明後日で腹一杯ラーメン食べてきます。
大将!二郎一杯!
Q.「およそ使いそうも無い設定なのに、何時間もかけて厚塗りしていくのは何故なんです?」
A. 正論パンチでは平和解決出来ないんだって事、メリケンサックの拳で教えてあげる。(私だって止まれるなら止まりたいよ!!なんだよ家系図って!!要らんだろうが!自分の家系図すら知らんわ!)
それではみなさまご唱和ください
「はよ本編書けや」
ありがとぅーみんなありがとぅ!




