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攻撃魔術が使えないけど人生謳歌目指して頑張ります  作者: 猫屋敷 狐狸
第一章 そして少女は走り出す【幼少期編】
2/21

1-1. 少女爆誕〜五歳までのあらすじ

サクラが産まれてから五歳誕生日までをダイジェストでご紹介!ざっくりとした世界観説明だと思ってね!

やぁやぁ諸君サクラだよ。今日5歳の誕生日を迎えたから、自己紹介形式で今までを振り返ろうと思ってね。隙あらば自語りってやつかな!


ネフィラント帝国の建国歴500年目を迎える祝祭の年に、平民街の奥地でひっそり私は産まれた。


母は出産直後に

「あんたなんか生まれなければよかったのに」

そんな言葉を放ったのだという。

母はとある公爵家に侍女として長年仕えていたが、ある日公爵家の三男坊に無理矢理手籠にされてしまった。

公爵当主も当初は目をつぶっていたが、母の妊娠発覚により、僅かばかりの金銭を渡して家を追い出したのだという。名目は「公爵家私財の横領」として。実際には三男坊の婚約破談を恐れたからだ。


この帝国では故意の流産が禁止されている。

聖女や強力なギフテッドスキルなど、神々の恩恵を授かって生まれてくる子供の可能性がある為だ。

その為堕ろすことも出来ず、負の産物であり憎しみの対象である私を産み落とした。

だから私に本当の名前は無いし、この5年間はずっと虐待されていた記憶しかない。


母は弱い人だった。だから私をなぶり殺すこともできなかったらしい。おかげさまで、一歳前後でうっすらと前世を思い出した。おそらく今世の人格は形成される前に消えたんだろうね。「フレデ◯ック大王の実験」というやつに近いのかもしれない。はっきりと前世までの人格と記憶が定着したのは三歳になる頃だった。


前世は日本という国で産まれ、研究したり訓練したり好き勝手に生きて、還暦超えた辺りでポックリ逝った。

何かの英雄になっただとか、ノーベル賞を取っただとかも無かったので特別な人生では無かった…気がする。

ただ一点他人と異なっていたのは、今世から見て前々世の記憶を持って産まれたことだった。

…前々世では魔術師として戦場で暴れまくった結果、国に裏切られて処刑エンドだったため、日本では控えめに生きたつもりだ。


どの人生でも共通していることが一つある。

誰からも愛されなかったということだ。

前々世では産まれながら奴隷だった。

戦場で功績を上げれば認められるんじゃないかって。

―恐怖され化け物として殺されたじゃない―

前世では典型的なDV家庭だった。

勉強や試合で結果を出せば誰かが抱き締めてくれるんじゃないかって。

―嫉妬され嫌悪され孤独だったじゃない―


愛なんて曖昧なもの期待するだけ辛くなる。だからいつしか独りで歩いてきた。

泥水啜っても血反吐吐いても、独りで立ち上がって進んできた。


記憶が定着した時

「あぁまたか」

としか思わなかった。


今世でも独りで生きていく事を決めてから、自分の力を磨くために必死になった。

街で衛兵や一般人の会話から「魔力」「闘気」の二種類の力がある事を知った後、「魔力操作」「闘気操作」を毎日倒れる寸前まで行った。

夜の折檻時に直ぐに気を失うので母からの虐待は比較的緩くなった。


ある日折檻を受けてる時に

【スキル獲得:防御 小】

頭にスキル獲得のアナウンスが流れた。調べてみると、どうやらスキルには二種類あるらしい。

先天的なギフテッドスキルと、後天的なノーマルスキルだという。後天的スキルは、訓練や特殊な条件を満たすことで手に入るのだという。

…頭にスキルを思い浮かべると、今自分が何のスキルを持っているのか一覧表が出てくる不思議仕様だった。ギフテッドスキルは【鑑定】を持った人がいないと認識できないらしい。先天的といっても、認知していなければ、パッシブスキルだったとしても使う事はできない為、全帝国民は10歳の洗礼時に大司教からの鑑定により自分の才覚を知る事が義務付けられている。

とにかく、スキルの存在を知った私は「魔力操作」「魔力を使った身体強化」「闘気」「武術・剣術」「基礎トレーニング」「スキル開花・強化」の6項目に分けて訓練するようになった。


そんな生活を続けて1年ほど経ったある日、私の父だと名乗る人が家に乗り込んできた。

母を孕ませ捨てた、公爵家三男坊本人とのことだった。どうやら公爵家私財を賭博に注ぎ込んでいた事がバレて、家を追い出されたらしい。

追い出される直前に公爵家の力で私たちの居場所を突き止めたとのことだった。


そこからは酷い地獄だった。三男坊は働かず、モラハラ・DVが終日続いた。連日母が泣き叫ぶ日が響き渡ったため、放置したい気持ちはあれど母を庇うようになった。

幸い日々の鍛錬により一般成人男性くらいは、しばき倒せるようになっていたので問題はなかった。表面上は。


私が見ていないところで、母への暴力は過熱の一途を辿っていた。売春・薬・その他の犯罪等色々とやらされていたらしい。

ある日、母が完全に壊れた。何をされても空虚な笑みを浮かべて、三男坊に従うだけの人となってしまった。救えなかったという思いと同時に、「まぁよくここまで持ったな」という気持ちもあった。


そして私が寝ている時に、二人で私を殺そうとした。三男坊的には「コントロールできない女など殺してしまえホトトギス」ということなのだろう。

まだ未熟とはいえ、自室への侵入に加え本気の殺意を感じれば跳ね起きる。

目の前には包丁を握りしめながら、虚な笑みでこちらを見つめる母と、その母に剣を向けた三男坊がいた。


「クソがなぜだ!寝ておけばいいものを!本当に可愛くないガキだ…ブチ殺してやる…」

「…それはつまり私と殺し合いたいって事だよね?」

「いや、お前がこちらに攻撃しようとしたら、コイツを目の前で殺してやる。助けて欲しかったら一方的にやられろ。」


その状態の母を人質にするなど本当にバカバカしい提案だ。

…もういい…もう楽にしてあげる。

私も逃げていたんだ。見て見ぬふりをしていた。弱い所は貴女にそっくりになってしまったよ。そんな所だけは親子なのだと嫌でも気付かされた。


「…母様はもう死んでるでしょう。

廃人にしてもなお、傷つけ足りないのか貴様は。


母様。そんな屑にこれ以上好き勝手にされたくはないでしょう。もう心が消えた貴女には届かないかもしれない。それでも最期に。

貴女を救える強さがなくてごめんなさい。

尊厳が壊される前に引導を渡せなくてごめんなさい。


貴女の不幸として産まれてごめんなさい。」


「何訳の分からないことをほざいてるクソガキ!

テメェも何ぼうっとしてんだ!ほらとっとと殺せぇ!」


生きるとは、心をときめかせ未来を期待すること。

生きるとは、挫折や後悔や不安や悲しみを抱き、それでもと明日を目指すこと。

生きるとは、夢を描き歩み続けること。


…母の心はもう戻らない。それはもう死にながらに生きているも同然だ。

せめてこれ以上、母の尊厳が傷付かぬように引導をわたすのが、私からの最初で最後の親孝行だと覚悟を決めた。


「…来世ではどうか幸せに。


神天流 徒手奥義 彼岸花」


苦しまずに殺す為の拳が母様に触れる瞬間

「ごめんね…ありがとう」

幻聴だったのかもしれない。でも確かに聞こえたんだ、母の遺言が。


「…さようなら母様」



「…嘘だろ、テメェの母親だぞ、なんで親殺しして平然としてやがる!」

「どっかのクソ貴族のお陰様で、情緒豊かに育つ環境じゃなかったんでね。それに死が救済と言えるような状況に追い込んだ貴様には言われたくない。

さて、死ぬほど痛い目みてから死んでもらう」

「俺は父親だぞ!」

「だから?生物学的にはって話だろ?特に思うことはないさ。殺しに来たって事は、殺される覚悟はあるんだろうし問題は何もないな。」

「ふざけるな!死んでたまるか!…やめろ、いやだやめろ助けて!誰か助けてくれ!」


そこからは一方的に痛みを与えた。せめて母が報われるようにと。


朝日が昇る頃には、肉の塊がいくつかに分かれて辺りに転がっていた。

「あーあ…掃除が大変そうだなぁ…せめて綺麗にしてから出ていきたい所だね。

これから独りか…どうすっかな…。とりあえず魔物狩って暮らすか。」


幼いながらに天涯孤独の身となってしまったが、まぁ何とか頑張りますか。


今日は五歳の誕生日。

プレゼントもケーキも無いけれど。

ハッピーバースデー。


最近出退勤の道のり往復10キロを、自転車からランニングに変えたんですよ。いや、オーバーホールで1ヶ月かかるとか言われて仕方なく。そしたら2週間で足痛めちゃって。えぇ、学生時代運動してなかったから人生初めての両足シンスプリント起こしちゃって。まー痛いのこれが。早く治れー。毎月合計100キロランニング目標だったのに…(;ω;)


というわけで後書きでは本編で語れなかった、詳細な設定を説明していきます。


読まなくてもストーリーには影響しない!…はずだよ!


サクラダ門外ノ裏話

・「神天流 徒手奥義 彼岸花」は肉体内部への物理的ダメージに加えて、魔力回路つまり魂魄と言われるエネルギー体に作用します。元々、神天流は刀に魔力を纏わせることで、威力・速度の飛躍的上昇を実現すると同時に、体内に魔力を巡らせて発動する身体強化及び特殊訓練により人外の動きを可能とする剣術です。(水面上を走ったり、300km/hで直進からのセルフ立体軌道のような曲芸ができます。)また、本来物理ダメージが効かない相手、例えばレイスなどのエネルギー体や闘気・魔力で身体を防御している相手などを確殺する為に考案されました。

剣術とはいえ「刃物がなければ拳で殴ればイイジャナイ」という始祖宗主の脳筋的思考により、武術や暗器などの扱いを身につけます。

「彼岸花」は武術カテゴリーにおける最上位クラスに位置する技です。魔力だけでなく、肉体・闘気の練度がある程度高まっていないと繰り出す事はできません。肉体と闘気によって内臓の破壊、魔力と闘気によって高次元に存在するエネルギー体を打ち消すことで、治癒魔術を意図的に発動するのが非常に難しくなるという、めっちゃ嫌らしい技です。

(闘気は物理兼エネルギー技のようなものです。魔力よりは低次元だけど、肉体よりは高次元的な力って感じ。)

主人公は前々世では魔術馬鹿でしたが、近接戦闘も鍛えて強くなりたいと考えていた矢先に、10代目宗主(後の師匠)とひょんな事から全力の勝負を行い敗北したため、弟子入り…もとい雑用係として門を潜りました。(そら数百人分の水出したり、門下生がぶち壊す建物の修復毎日できる奴いたら欲しいわな)

というわけで魔術・剣術共に世界トップクラスになったわけです。(結果的には処刑されたけどね!処刑人は師匠でした(笑))

ちなみに、師匠からの家族としての愛情は残念ながら伝わりませんでした。

態度で察しては無理やて。

男って不器用よねぇ…


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