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攻撃魔術が使えないけど人生謳歌目指して頑張ります  作者: 猫屋敷 狐狸
第一章 そして少女は走り出す【幼少期編】
17/21

一章外伝【サクラの刀語り-③】

…本編クラスに長くなったんだけどなぜ?


洞窟探検から数日後出発準備が整った。

「じゃあ、アカネと行ってくるよ」

荷物は全てスキルで亜空間に収納出来る為、「備えよ常に」の精神で食料や水の備蓄等も多めに持っていくことにした。

幸い最近アカネも収納スキルを身に着けたため、アカネ自身にも過剰ともいえるレベルで持たせた。


(…準備に一番時間が掛かったのは、鉱石の製錬・精錬作業だったな。)

前世に比べて天然鉱石の貴金属純度がきわめて高いとはいえ、6割は不純物であったため製錬・精錬作業が必須だったのだ。

アンドレア達「魔術得意組」に超高温熔解を実現してもらい、サクラが単一元素ごとに仕分ける作業を実施した。

しかし、それらはあくまでプラチナ・ゴールドといった馴染み深い鉱石のみの話であり、ファンタジー鉱石なる「ミスリル・アダマンタイト」はまた別のアプローチが必要となった。なにせ熱が全く通らないのである。そのため、熱を掛けつつ魔力をぶち込んでみたり、より高温を実現しようと5,000℃まで上昇可能な炉の魔道具を作成したりと試した結果…

「もうファンタジー鉱石の加工は諦めました。鑑定くん曰く純度も95%と悪くなさそうだし、このまま持っていきましょう」

という話に落ち着いた。どうやらミスリル・アダマンタイトと言ったファンタジー鉱石は、他の金属をはじめとした物質と反発する…というよりも同一の鉱石で集まろうとする性質があるらしく、ファンタジー鉱石が超高圧力・超高濃度魔素に影響されて肥大化・結合する過程で他の物質をはじき出していくらしい。とはいえ、やはり巻き込んでしまったり、ごくごく小さな隙間に他物質の分子が取り残されてしまうようで、100%の純度にはならないのだとか。

「まぁ、精錬技術を知ってるから加工できるわけで…あっちに持っていけば何とかなるでしょう」という諦めの境地に達していた。


「アカネは準備どうだい?」

「ばっちりです!…とはいえエアボードがやはり怖いですね。」

「あぁ、それなら私の腰に捕まると…身長差的に無理か。」

風や重力等複数種類の魔術を術式名を呼ばず発動する無詠唱レベルで扱えないと、エアボードを安全・快適に乗りこなすことは難しい。

なにせバードストライク…ならぬワイバーンストライクを防ぐ為に高度10,000mまで一気に上昇し、時間短縮のためにマッハ0.99位の超高速度で飛行するためだ。

帝国魔術師レベル以上に魔術が扱えるようになったとはいえ、アカネではまだまだ安全に対する不安要素が多い。

そのため青春邦画定番の自転車ニケツのように、美少女ロリ狐娘に腰に手を回してもらい疑似青春を楽しもうとしたのだが、サクラが8歳(125cm)・アカネが12歳(160cm)と二人とも成長期であることに加えアカネが成長の早い獣人族であるという点、さらにさらに高身長の血統出身ということから生じた身長差(35cm)がそこに立ちはだかった。

「えー…肩に手をあて…却下ぁ!!!」

試しに後ろに立ってもらったらあまりにもシュールな絵姿になったためエアボード使用が却下となった。

「新しい飛行手段を超特急で考案します!!」

「主様…なんか…ごめんなさい…」

「いいんだぁ!これから成長するんだからぁ!!」

というわけでエアボード使用が却下になった。


出発予定日からさらに数日後、水上バイクもどきが中庭に鎮座していた。

「これが!新時代の移動方法です!名付けて【天穹零式-Type:Walküre(てんきゅうぜろしき-タイプワルキューレ)】!

リナとセラフィに全面的に協力してもらい、一般人でも高度10,000mを400km/hで飛行可能な魔道具として開発!

さらに一般魔術師以上の魔力及び実力を有していれば高度12,000mを600km/hで航行可能!

全自動で風防壁・姿勢制御・重力操作・加速減速・位置測定等を含めた20の術式を展開!

全長4m・全幅1.5m(両翼稼働時4.5m)・全高1.0m(車輪稼働時1.5m)・二人乗り、超前傾姿勢で運転!

問題点はSランク以上の魔石が30個必要且つ魔力充填に一般魔術師ひと月分の魔力が必要な点、稼働時間が1時間という点、ピーキー過ぎて普通には扱えない点、販売価格が安く見積もっても5億ゴルドを超える点!」

3日間不眠不休で作り上げた成果物を高らかに発表する。

明らかなオーバースペックに加えて、なぜか搭載された翼・陸地走行用の車輪を格納出来るように設計をこねくり回しついに完成した至高の一品である。

ある目的から日の出前に出発となったため、皆がテンション低めながらに反応してくれた。


「主様、ラボにある失敗作の数々は絶っっっっ対に!外部に流出させないようにお願いしますね。

特に王国側に知られた場合、冗談抜きで戦争が起きますから。」

…そう、前世の戦闘機とロボアニメを意識して作ったため、同時に兵器開発もちらっと行っていたのだ。

メイド長女のアンドレアからこんこんと、ぐうの音も出ない説教を受ける。

「本当に反省してます。はい。」


説教開始から30分後、正座で痺れた足をさすりながら天穹零式に騎乗する。

「アカネ、後ろに座って腰に手を回して。」

「ハイ主様!…あぁぁ匂いが!匂いが…すぅぅぅ…んん…ふぅう」

アカネがサクラの後頭部に鼻をうずめ深呼吸を繰り返す。

すると当然のように居残り姉妹’sから極寒の視線がアカネに降り注ぐ。

「アカネ…?うらやま…んんっ。いけませんよその様なことは。(帰ってきたら覚えてなさい)」

そんなことはお構いなしに、サクラは可愛い我が子たる天穹零式に集中していた。

(さてさて起動させようか。)

「起きろ!天穹零式!!」

【welcome!system,all green. complete. Are you ready?】

もはや無駄でしかない起動音が鳴り響く。

ちなみに声は姉妹メイド's8人全員から録音し、音声加工版・未加工版の計16種類の中からランダムで流れる仕様にした。

「安全装置はバックグラウンドで稼働させて、術式を全てオートからマニュアルに変更。

魔力廻廊疑似接続、魔石から手動装填に変更。術式稼働状況を確認せよ」

【No problem ! 】

最終確認が終了し重力魔術をマイナス方向に付与し、天穹零式を宙に浮かせた。

「「じゃあ行ってきます!」」

「「「「「「行ってらっしゃいませ。ご武運を」」」」」」

【Bon voyage!】

(心から見送られるのも良いものだな。…機会音声が流れる仕様は知らんぞ…セラフィの趣味だなこれは。しかも8人全員の声か…うむ。良きである!)

そうして神東亜皇國へと旅立った。


驚異的な加速度で飛行している為、離陸数分後には上空12,000mに達していた。

体感したことのない速度への恐怖で目を固く閉じながらアカネが叫ぶ。

「あああ、主様早い!早いです!!」

「はっはっはっ!いずれアカネもこの速度が生身で出せるようになるさ!今のうちに慣れておきな!!


見ろ!アカネ!!これが世界の美しさだ!」


速度を緩め後部座席のアカネに声を掛ける。


「うぅ……わ…わぁ!」


多くの空を飛べないモノたちが一生見ることのない光景を。

世界には美しいモノがたくさんあるのだと、そう実感できる壮大な景色がそこにあった。

下にはいつもは見上げる雲が我らに平伏したかのように広がる。

そして、西側のまだ明るい星が瞬く航空薄明から、日が上る東側のブルーアワーに向かってグラデーションしていく「青の景色」が眼前に広がる。


「綺麗な…本当に綺麗な青…」

「いいだろ!今だけはこの空は私たちの特等席だ!」


数十分間青の景色を堪能した後、東側の空がオレンジに染まり始めた。

「アカネ!来るぞご来光だ!

こっからは早いぞ!」

「なんて、なんて綺麗な…」


それは刹那の間だけ見られる、青の世界が橙色に移り変わる自然の作り出した壮大な世界改変だった。

サクラが背後を見なくても、アカネが泣いているのが分かった。

それは負の感情ではなく、心が震えたときに出る暖かな涙だった。

言葉は不要だと無言で飛行する。

グラデーションの境目が二人を跨いだ時、アカネがようやく声を出した。


「主様、私は…いえ、私たち全員が主様に救われました。

夢も未来も持てなかった私たちに、全てを与えてくれました。

私たちはあなたに何を還せるのでしょう…

主様はこの景色に何を思うのでしょう…

時々不安になるのです…今が夢なんじゃないかって。

本当は現実を直視したくなくて、心を壊して見る刹那の夢なんじゃないかって。」


それは、皆の思いを代表した本心だった。

希望を与えられ続けた。それゆえの不安や迷いを皆隠してきた。

その隠し事をこの景色が、偽ることの出来ないまっさらな自然の景色が引きはがす。

ここでは、虚栄も偽りも隠し事も全て意味を為さなかった。


「十分与えられているさ。


…私はずっと一人だった。ずっと。」


サクラ自身も自然の力に当てられていた。

そして、絆され、今となって大事な存在になっていた皆に、心の一かけらを吐露する。


「私は誰かの大切になりたかった。

ひとりぼっちは辛いよ。あぁ辛い。

…だから今は皆がいてくだらないことで笑いあえる…そうだな、姉妹みたいな関係が嬉しいんだよ。


それで十分だ。十分なんだよ。


それに皆商会をデカくしてくれたじゃないか!これ以上何を望むんだい!?」


無意識に出た本音を誤魔化すように茶化す。

これ以上は踏み込まれたくないと。心を開いて、また誰もいなくなるのが怖いと。

愛されないならこれ以上大切と思いたくないのだと。

だから最後は濁した。


「初めて…初めて主様の本音を聞けた気がします。

皆も喜んでおりますよ。」

「そっか…そうかもね。

…えっ?」


ぼそっと聞こえた言葉に思わず後ろを振り向いた。

そのせいでハンドルが大きくぶれる。


「きゃぁぁ!主様!ハンドル!ハンドル握ってください!」

「それよりも、えっ、今皆っ?」

「死ぬかと思いましたわ…えぇ。

通信魔道具のテストも行おうと、出発前におっしゃったのは主様ではないですか!」

出発前にそう言っていたのを思い出し羞恥に顔が赤くなる。

「…確かに」

【主様聞こえておりましたよ!】

【うぅぅ…主様が我々のことを姉妹と…】

【お姉ちゃんって!お姉ちゃんって呼んでください!】

【今日はシャンパン開けましょう!シャンパン!】

空気を呼んで黙っていた皆が一斉に喋りだした。

そこからしばらくは賑やかな時間が流れた。…サクラを除いて。


(穴があったら入りたい…)



「そろそろかな…隠密スキル全力発動!


…見えてきた神東亜皇國!

とりあえず街が無いところに着陸するよ!」

「もうですか!分かりました!」

こうしておよそ3500km、4時間強の航行が終了しいよいよ神東亜皇國への(密)入国となった。


【とある皇城にて】

「天子様、何者かがこの国に侵入したとの報告が入っております。」

「即刻調べくだはる?この国に仇名す不届き者なら始末し。」

「承知しました。」

天守閣から賑やかな下町を眺めながら九尾の美女が、全身黒ずくめの部下に命令を下す。

「また大事な民を攫われたらかなわんわぁ…

わっちの國を好き勝手に出来る思うたら大間違いや。

亜神なめとったら痛い目見るっちゅうことを教えてあげましょ。」

それは覚醒を経た生命種であり、文字通り神の一歩手前の存在。

ここはそんなバケモノが収める君主国であり、敵対する者には容赦しない修羅の國である。


私スチームパンクものが大好きでして。

えぇ「スチー〇ボーイ」とか「L〇ST EXILE」「甲〇城のカバネリ」「鋼〇錬金術師」とか…なので、この神東亜皇國も和風スチームパンクにしようと思ったんですよ。さすがに濃すぎて他の国が霞むので止めました。なので純和風な屋敷もありつつ大正ロマンも混じった街並みだと思ってください。着物か袴どっちか選べ?選べるわけねぇだろ!!〇すぞ!!

和風万歳。スチームパンク万歳。


あぁ、そういえば天穹零式の乗り方と運転方法は「コー〇ギアス」の紅蓮二式そのまんまです。

サクラがいずれ成長した時に、お尻がエッチくカットインするのを考えて導入しました。

ぼかぁね、タッパとケツがデカくて太ももがちゃんと太ももしている女が好きなんですよ。




あと、自転車みたいに背筋を伸ばして乗った場合身長差が目立ちますが、超前傾姿勢ならそんなに気にならないかなって…(二人乗りのりならこっちのほうがかっこいいなと思ったから、急遽変えたとかそういうのじゃないんだから!エアボードはサクラが成長してお姫様抱っこしても絵になるようになったら、再登場させます。それまでは…お蔵入り。)

ちなみにエアボードの方は通常は0.99まで、最速マッハ2まで出力可能となりますが、天穹零式はマッハ0.75~0.8くらいまでしか出せません。安全性と機能を盛ったためです。



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