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5話 目覚めと依頼

登場人物が多くきたので、いつか紹介するかもしれません。


感想など、随時受け付けておりますのでよろしくお願いします。


「んっ・・・。」

(あれ?目覚ましは?)


凜は窓から差し込んでいる穏やかな日差しで目覚めた。


「う〜ん。よし今日も一日・・・っ!?何ここ!?」


そこは自分の部屋ではなく見たことがない部屋だった。壁はみるからに上質な木材を使っており、窓はとてつもなく大きく、本棚には見たことのない分厚い本が敷き詰められていた。


「うわっ!なんじゃこのフカフカ感」


凜が今まで寝ていたベットも天幕があり、枕も大きく人が三人よこになっても十分な広さだった。


(お、おちつけ私。そう深呼吸、深呼吸。)


心を落ち着かせもう一度見渡して見るがやはり見知らぬ部屋。


(どうなってんの?

昨日、確か家に帰ってきて、宿題して、ドラマ見て、お風呂に入って・・・っ!そうだ!それから変な声が聞こえてきて・・・


そこから記憶がない・・・あっ、窓から外を見たら何かわかるかも)



窓辺に移動して外を見てみると、手前に花畑と石で出来た城壁があり、その向こうには煉瓦造りの家々がどこまでも広がっていた。


(えっ?ヨーロッパ?)


その町並みは明らかに日本のそれではなく、どちらかというとヨーロッパよりの建築様式だった。


(いや、まず日本にこんな城壁とかないか。ここはいったい・・・)



コンコン


「δνξζωθι。」


現状が理解出来ず窓のそばで呆然としていた凜の耳にノックの音と誰かの声が聞こえた。


ガチャ


振り返ってみると緑色の髪の女性と茶色髪の少女がドアの前に立ち、こちらを目を見開いて凝視していた。何秒か経ち、居心地が悪くなった凜は会釈し二人に声をかけたとき


「あの「☆★○@&#£%!&#§☆★$¥%£」・・・」


緑髪の女性が茶色の髪の少女に何かを伝え、こちらに向かって頭をさげ足早に退室していった。

その場に残された凜は気まずさからどうしたらいいかわからず

茶色の髪の少女に苦笑いで笑いかけた。






茶色い髪を肩辺りまでのばしているアリスは今、侍女長であるリミスとともに王族の客人の部屋へ向かっていた。


「もう起きていますかね〜?」

「そんなこと見るまでわかる訳がないでしょう」


黒髪の少女は昨日起きることはなかった。

エカテリーナ王妃の命によりミリスから黒髪の少女の世話を頼まれたアリスは、リミスと共に彼女の容態を確かめに来たのだ。



「さぁ、着きましたよ。しっかりしてくださいよ」

「は〜い」


コンコン


「失礼します」


リミスの言葉に元気よく返事をしたアリスは、リミスが開けた扉へと入り、そして窓辺に佇む人物を見て息を呑んだ。

黒髪が日の光を浴びて輝き全体と相俟って何か神懸かった感じがした。

その少女はこちらゆっくりと振り向いたあと、会釈した。

ミリスは正気に戻ったあと

「国王様達を呼んできます。ここは頼みましたよ。」

とアリスに告げ、足早に去っていった。我にかえったアリスはこの状況に戸惑いオロオロしていた。すると黒髪の少女がアリスに微笑んでくれ、その優しげな笑顔に緊張がほぐされていくのをアリスは感じた。


(うわ〜、目も黒色だったんだ)


落ち着いたアリスは役目を果たすべく少女に近付き、話かけた。


「私はアリスといいます。貴女のお名前を伺ってもよろしいですか?」


話し掛けられた少女は困った顔をして首を傾けたあと

「┌┓┗├┬┝┰┳。」


と言った。

意味がわからなかった。


(ふぇ〜ん!リミスさ〜ん!早く来て〜!)







凜は、困っていた。話し掛けられたが何を聞かれているかわからなかったのだ。

(うーん、どうしよ。何かいい方法は・・・あっ、そうだ)


凜は自分の胸に手をあてゆっくりと言葉を紡いだ。


「り・ん」


茶色髪少女は何をいってるか理解したようで、手を凜に向けて


「るぃ〜ん」

「り・ん」

「り〜ん」

「そう!凜!」

「リン!リン!リン!」


名前がわかったことが嬉しかったのか何度も「リン」と、言っていた。

凜が手を少女に向けると意味に気付いたようで、


「ア・リ・ス」

「アリス!」

「☆○!アリス!」


気持ちが通じたような気がし二人はどちらからでもなく笑いあった。すると、


コンコン


先ほどと同じようにノックの音が聞こえ、扉から先ほどの緑髪の女性と見覚えのない人達が入ってきた。

皆一様に見るからに高そうな服を着ており、鎧を着ている者もいた。

凜が訳もわからずオロオロとしているとアリスがその集団に頭を下げ、何か言った。

その言葉を聞き美しい金髪を持つ綺麗な少女が凜のもとにきて、何か詩のようなモノをを紡いだあと

自分のデコと凜のデコを会わせた。



「終わりました。」


(綺麗な声・・・って!?あれ?)


「な、なんで声が!?」


「初めまして。私はカトリーナ・フランシス・ウィルヘルムといいます。

話をし易くするために意思疎通の術をかけさしていただきました。

お名前を伺ってもよろしいですか?」



カトリーナと名乗った少女は可憐に微笑んで凜に名を尋ねた。



「あの、日本凜といいます。術というのは何ですか?」


「え、えぇ、術というのは魔法ともいい、魔力を使用して心に念ったこと具現化する物です。」


「ま、魔法ですか!?」


「は、はい」


カトリーナと名乗った少女は困った顔をして後ろにいた人達に助けを求めた。


(あれ、私なんか変なこと言った?)



「ふむ。リン殿よ。私はこのウィルヘルム王国の国王ウェールズ・フランシス・ウィルヘルムだ。魔法をご存知ないのだろうか」



(ウィルヘルム王国?王様?な、なにそれ?)

「は、はい。空想では知っていますが、本物は見たことがありませんでした。」

「そう固くならんでもよい。ふむ。どうやらそなたは異界人のようだ。この世界の者なら魔法を知らぬ者はおらんからな。」


「い、異界人ですか?」


「そうだ。」


ウェールズ国王は、この国の現状や昨日の出来事を語り、女神像の代わりに出てきた事をより詳細に語った。そして重臣達にその事を伝えると凜に取り入る恐れがあるため、苦肉の策で

カトリーナが襲われたが、たまたま通り掛かった凜がそれを助け、その時に眠りの術を受けて眠っていると重臣達に話した、と言った。



「リン殿よ。すまぬがどんなところで生活していたか教えてくれぬか。」



別に隠す事でもないので凜は日本の事について話した。時折、ウェールズ国王をはじめとする面々は興味深そうに頷いたり驚いたりしていた。

短い会話でウェールズの人柄を掴んだ凜は、身体の緊張が取れ普段通りに会話出来るようになった。


「と、まぁこんな感じですね。」


「ふむ。魔法がなく王がいない世界か・・・実に興味深い。かなり技術が進んでいるようだな。どう思う?ロザン、ロード、フラン、トラン、エカテリーナ?」「そうですなぁ・・・。問題ないかと思います、ウェールズ様。」

「ふむ。俺もロード宰相と同意見だ、ウェールズ。」「私もそうですね。」

「もちろん私も賛成よ、あなた。」

「僕も異論はありません、兄上。」


ウェールズは子供達に視線をやったが反対意見は出てこなかった。


(えっ、何の話?)


「リン殿。そなたに折り入って頼みたい事がある。」

「な、何でしょうか?」


「我等をその知恵で助けてくれぬか。」


「・・・は?」


予想外だった。





ウェールズ歓喜していた。彼女からニホンという国を聞き、その技術の高さに。

(これは昨晩皆で考えた事が実現出来そうだ。)


実は昨晩、ミリアとアリスに事情を打ち明け、神殿内にいた者達と凜の事を話し合っていたのだ。

それで決定した事が、

彼女の知恵を借りて王国を建て直そう。

と、いうことだった。 彼女の出現の仕方があんな感じだったので、今の状況を打開出来る何かを持っている、と信じて疑わなかったのである。


彼女の国の事を聞き王妃や宰相らに確認したが異論はなかった。



「リン殿よ。そなたに折り入って頼みがある。」


「な、何でしょうか?」


「その知恵で我等を助けてくれぬか?」


「・・・は?」


予想外だったのかリンは呆然としていた。そんな様子をみて

難しく考える必要はない、出来る事だけをしてくれればよい。

と、伝えた。



「どうだ、リン殿。受けてはくれないか?」


「えっ、でも・・・」


「私達からもお願いします。」


王妃達からもお願いされ、断る事が出来なくなったのか、渋々ながら引き受けてくれたようだ。


「リン殿、感謝する」


「あっ、呼び捨てでかまいませんよ」


「ふむ。では、これからはリンと呼ぼう。後日ちゃんとした位も授けるゆえ、それまで待っていてくれ。」

そう言うと、ウェールズは政務があるので詫びをいれて退出した。

王妃達も自己紹介が終わったので、皆で会議の間に向かった。





ウェールズさんが出ていったあと、後ろにいた人達が寄ってきた。


「はじめまして、リン。私は王妃エカテリーナ・ヨロプス・ウィルヘルムといいます。これからよろしくお願いしますね。」


「私は宰相のロード・ロックワードといいます。よろしくお願いします異界のお嬢さん。」


「僕はウェールズ兄さんの弟トラン・アレクセイ・ウィルヘルム。一応、魔法騎士団長だよ。よろしくね。」

「俺は外務大臣ロザン・ヨロプス。王妃とは兄妹だ。よろしく頼む。」


「皇太子のフレデリック・フランシス・ウィルヘルムだ。よろしくな。」


「クスクス。もう少し愛想よく出来ないの、フレッド。ごめんなさいね、リン。私は皇太子妃のルーナ・アラステス・ウィルヘルムよ。また今度御飯をご一緒しましょうね」


「はじめまして、リン殿。近衛騎士団長のロナードステューコフと申します。今後ともよろしくお願いします。」


「私は侍女長のリミスといいます。」


少し会話をしたあと、エカテリーナさん達は仕事へと戻っていった。



「リン、これからよろしくね。」

「よろしくお願いします、カトリーナさん」



カトリーナさんは何故か驚いたような顔をした


「リン、敬語なんてやめてちょうだい。私は友達になりたいんですから。」

「わかった。これからよろしくね、カトリーナ。」

「はい!では私はこれで。アリス、リンを頼みましたよ。」

「はい!カトリーナ様」

「じゃあまたね、リン。」


カトリーナが出ていった後、アリスがリンに


「リン様。朝食を召し上がりますか?」


と言った。凜は、「様付けなんてむず痒いから止めて」と、アリスに言ったが「客人を呼び捨てになど絶対に出来ません」と、アリスが猛烈に拒否したため渋々了承した。



「では、直ぐにお持ちしますね。」

「あっ、アリスは御飯食べた?」

「いえ、まだですが」

「じゃあ、一緒に食べよ」「い、いえ、私ごときが一緒に食べるなど・・・」

「アリスは私と一緒に食べるのが嫌なの?」



いえ、そんな訳では。と、アリスがまだ渋るので、食べながらこの世界の事について聞きたいから、といい説得した。

アリスはそこまで言うのなら、と一緒に食べる事を了承した。


「では、少しお待ち下さい。」



アリスが出ていったあと、凜は朝起きてからの事を思い返し溜息をついた。


(どうなっちゃうんだろ、私・・・。)

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