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おかしな3人組です。


昼休みにグーグは男子に声を掛けられた。

存在は知っていても一度も話したことのない男子たちだ。


「おい、グーグっ。お前って女子と仲いいよなっ」

「君、なにしたの~?女子がすっごいキラキラしてるけど~」

「昨日までとクラスの様子が様変わりしているぞ。何したんだ?」


それは奇妙な三人組だった。

一人は背が低く、一人は体格がとても良い。もう一人は背が高いが身だしなみがきちんとしていて、もしかすると貴族の出かもしれない。

「……まぁ。たのまれて彼女たちの装備を改造したんだよ。ていうか、君たちは誰だっけ?」

「チーバスだっ」

「デーヴだよ~」

「ノルポジオ・ハイネスだ。よろしく」

小さいのがチーバスで大きいのがデーヴでノッポがノルポジオ。確かこの3人は学園の授業にもあまり積極的ではなかったはずだ。

「なぁ、装備の改造ってどうやるんだっ?」

チーバスの質問に他の二人も興味深そうにこちらに目を向けてくる。

ぼくは自分のスキルの説明をさわり程度に話す。

「錬金術だよ。《保存》と《付与》ってスキル。魔物からかわいい成分を保存して彼女たちの装備に付与するんだ」

「かわいい成分か。だからなんかかわいく見えるのか。すっげーなお前」

女子にちやほやされる理由がわかったのか、3人は女子たちの服や小物に目を向ける。確かによく見れば彼女たちのどこが一番かわいいのか、なんとなく察することができる。

「なぁ、おれたちにもその術って教えてくれねーか?。ってゆーかパーティーに参加させてくんねっ?」

「え?、パーティーに?」

「そうだ。パーティー。いっしょにダンジョン探索しようぜっ」

一ヵ月前なら一も二も無くとびついていただろうが、今はそのころとは状況が変わっている。

ぼくは女子と食事をひろげているアメリアに視線を向けた。

アメリアもぼくの様子をうかがっていたらしく、弁当を置いてこちらに歩いてくる。


「あなたたち、わたしたちのパーティーに入りたいのねっ、理由をいいなさいっ」

いきなり詰問するような問いかけだが、アメリアの登場に3人は気圧されていた。

「え、い、いやっ、理由なんてないぜっ」

「そ、そうだよ~。いっしょに潜ろう~」

「あるでしょっ、言いなさい!」

「ええ~…」

「い、いや、本当。なんか、流れで言っただけでよぉ…」

いや。流石に理由くらいはあるだろう。お金が欲しいとか、強くなりたいとか、授業について行くためだとか。

チーバスとデーヴのおかしな様子はノルポジオにもわかったらしく、彼はため息をついた。

「まったく。これだから君たちは役に立たないんだよ。グーグ君。自分たちも君たちが北のダンジョンに潜る理由を知っている。その報酬にもね。だからそれに協力することで自分たちにも報酬の機会がほしいんだ」

「報酬…て学園長が言ってた500万Gのことかい?」

「そう。そのためにお互い協力しようじゃないか。自分たちは力はそれほど強くないけれど、そこは数がモノをいうこともあると思う。少しでも安全にダンジョンを潜るために検討してもらえないかな?」

「…………」

数は確かに力だ。今のパーティーでは盾役がぼくしかいない。一応セビにも敵を任せてはいるが、数が多い敵を相手にするにはどうしても人数が足りないことを感じていた。

だけども。

信頼できない味方をそばに置くことの怖さも、ぼくは知っている。

”魔王”は必ずしも魔族から歓迎される存在ではなかったからだ。

むしろ魔族を戦争に引きずり出し消耗させる、悪い腫瘍と思われていたはずである。

実際に過去の魔王には同じ魔族に殺された者も少なくなかった。

信頼し背中を任せることなんて、結局最後までなかったような気がする。


「……その、さ。3人とも。本気で潜る気があるなら、とりあえず3人でパーティーを組んで潜ってみなよ。それでどこまで行けるか、本当に潜る気があるのかきちんと考えたほうがいいと思うな」

彼らがダンジョンに対してどう向き合うのか。それを外から見て判断したいと思ったのだ。

ぼくやセビみたいなお荷物をこれ以上増やしてもいいことはない。下手すればきちんと戦えるアメリアに愛想をつかされてしまうだろう。

そんなことになるくらいなら彼らのパーティー加入を保留にすることはいくらでもできるのである。

「おーい、そんなこと言うなよっ。クラスメイトだろ?おれたちはお前より強いってっ」

「そうだよ~。荷物持ちだってできるからさ~、いっしょに行こうよ~。ね?」

そもそも荷物持ちが必要なほどの拾得物があるわけでもなく。道中に採取できる薬草はぼくのマジックバッグに十分納まる数である。

「いや~…これ以上はちょっと、ぼくの手に余るかなぁ…そういや3人はどんなポジションなの?能力は?」

そう聞くと3人は不思議そうな顔をした。

「ポジション?全員で殴ればいいだろ。魔物に攻撃する隙を与えないことがコツだぜっ」

あ。これはたぶんダメなやつだ。

「ぼくね~、ちょっと前に倒した魔物に似たのを呼び出せるんだ~。5分間~」

模造品コピーを作れるような感じだろうか。倒さなければいけないというのがネックになりそうな能力なんだけど。

「自分は乗物なら使役できるな。金か伝手はいるが飛竜も操作できるよ」

ノルポジオは頼りになりそうな雰囲気はある。ただ、彼だけということもなく、彼をパーティーに入れるなら他の二人もついてくることだろう。

それはちょっと微妙だった。


「わかったわ、グーグ」

「うん。どうわかったの?」

「この3人はいらないわねっ。断りましょう!」

男らしいバッサリとした判断だった。

「ちょっとまてぇっ!?」

「な、なんでだよ~っ」

「…はぁ…」

「グーグ、いいわよね?」

3人の驚愕の様子を気にせず、アメリアはそれで決まりだろうという顔をしている。

「まぁ…そうだね。今の君たちじゃ、うちのパーティーに入れても混乱の種にしかならない気がするよ。だからごめん、他のパーティーを当たってみて」

ぼくは彼らのパーティー加入を断った。

報酬が欲しいだけならうちのパーティーじゃなくてもいいのだし、それならきちんと強いパーティーにいたほうが報酬も多くもらえるだろう。

とにかくうちでは抱えられない相談だった。


「ごめんね。さ、それじゃご飯食べに行ってくるね」

ぼくらはそう言って彼らから距離をおく。

「…アメリア、ありがとう。助かったよ。流石に知らない相手を3人もパーティーに入れられなかったからね」

「ああいう目先のことしか考えてないのはすぐ逃げ出すのよ。そして安全な場所で自分を正当化するために仲間の悪口をいいふらすの。だからさっさと断っておいていいわっ!」

そんな経験でもあるのか、なかなかに含蓄のありそうな意見だ。

「うん。そうだね。一応ぼくはリーダーだからね。あやしい人が入ってこないか、気をつけないとなぁ」

「平気よ。入れる前に私たちに相談しなさい。みんなで決めればそうそう失敗しないわよ」

頼りになる言葉だった。


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