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西都に到着です。

少な目です(´・ω・)


アンガーボアの他にハイエルクという魔物がおり、この処理に兵士が駆り出されていたらしい。

ハイエルクは戦闘の商人の馬車の方に向かったため商人の護衛と兵士で対処し、アンガーボアは2台目の商人の護衛と乗合馬車の御者でなんとかするのだと思っていたと謝罪された。

2台目の商人の護衛はやられてしまったのか逃げ出したのか姿がみえず、乗合馬車の御者は初めの方に吹き飛ばされて意識を失っていた。

大怪我を負ったが命に別状がなくてよかったとも言える。

この二頭による被害では6人の犠牲者が出てしまっていたからだ。

しばらく近くの村に留め置かれたあと、グーグとトロロンプは別の乗合馬車に乗せてもらえることになった。


「……死ぬかと思いましたな」

「…そうだね」

改めて思ったが元冒険者のトロロンプは本当に使えない。

戦闘スキルを一個も持っていない自分の方がまだましなくらいに使えなかった。まぁ、もともと期待して旅の同行者にきてもらったわけではないからいいのだが。

ともあれ。

魔物の少ない冬に旅をしてさえ命がけである。

この世界は一般人にはきびしい難易度であった。


「ふんっ。貧乏人はこれだから嫌なのよ。死にたくなければお金を出して護衛を雇いなさいよ」

ぼくの隣に座る少女が何か言ってる。

ならそういったサービスのある馬車に行ってほしいのだが、なぜかその貧乏人に交じって乗合馬車に乗っているのである。不思議で仕方ない。

「何よ」

「…何でもないです」

危険な物にはできるかぎり逆らわない。一般人の処世術である。

さて、この少女であるが、なぜか自分のそばによくいるのだ。

封鎖されていた街道の封鎖が解かれて一週間。特に怖い魔物などに出会うこともなく馬車はのんびり進んでいるのだが、その合間合間、食事休憩やトイレ休憩を含めなぜか少女が自分のわきや後ろについて歩いていた。

…これは何だろうか。あらての罰かもしれない。もしかすると少女が火炎竜を操っていたことを誰かに言いふらさないよう、監視をしているのではと思っている。

言いふらせば死。そういう可能性もあるのだ。

なので冷や汗が止まらないのではあるが、少女は近くにいるだけで自分に何かを要求することはなかったのである。



それから10日ほどの後、ようやく目的地であった西都クリアクロアに到着した。

5メートルを超す城壁に囲まれた冒険者の町。

イズワルド王国の西の経済が集まる街としても知られるが、一番の知名度はここが”ダンジョン都市”であるということだ。

ダンジョンは金になる。

魔石や魔道具、魔物素材やたまに希少な宝石や鉱物も算出されるのでダンジョンの近くに町ができることがあった。ここはそういった目的でできた街と言われている。

というよりも――

そのために作られた街であり、そのために掘られたダンジョンがあるのである。



ようやく少女の影におびえなくなり、安心しながら街の東に歩いていく。

クロア学園は街を東西南北に分けた東区に存在していた。

「人がおおいなー」

「西の中心ですからなぁ。専門店がこんなにあって商売がなりたつんでしょうかね」

店といえばいろいろなものを一手に扱う店という認識だったが、ここでは一つの種類に対して一つの店が出ている。

服であれば服だけを売る店、果物であれば果物だけを売る店という感じだ。食べ物にもそういった区割りがあるらしく何処産の店、とか何の店、などの看板もみられた。

大通りのあたりは店ばかりで見ていて疲れてしまう。欲しい物を買いそろえるのにいったいいくつの店を見て廻らなければいけないのか、今後の生活に頭痛がする思いだった。


しばらく歩くと学園のものらしき塀が見えてきて奥に校舎らしき建物がある。塀に沿って進めば正門があった。

「ここがクロア学園…」

正門から続く道の先に3階建てのきれいな建物4棟ほど並んでいるのが見える。

他にも建物があり、そのすべてがここで学ぶ生徒たちのための施設らしかった。

「到着しましたな。グーグ君。…ご入学、おめでとうですぞ」

トロロンプがそう言ってぼくにうなづく。

「ありがとうございます。入学したいわけではないですが…社会勉強と思ってあきらめます」

人ひとりを育てるのにどれほどの労力を要するのかはわからないが、国が無償でそれをしてくれるというのだ。なら無下にすることもないと思っている。

到着してしまえば少なからず、これからここでどんなことを教わるのか興味もあった。

「ありがとうございましたトロロンプさん。一人で旅するよりずっと有意義な旅ができました」

採取の知識を教わりある程度の野草や樹木の知識を得たと思っている。

これだけでも小遣いくらいはかせげるだろう。

それにやはり一人ではないというのは安心感がある。大人としては心もとないが、それでも一月ちょいも自分につきあってくれたことに今は感謝をしたかった。

「なんのなんの。これも助けてもらったお礼ですからな。また何か困ったことがあったら声をかけてください。割安で請け負いますぞ」

そのあと連絡先を聞いたりこの後の予定を確認したりしてトロロンプと別れた。

色々面白い人だったと思う。


グーグはこうして学園の門を一歩、歩み出したのであった。


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