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輪廻  作者: 代田さん
第一章 邂逅
32/203

4月24日 1

 4月24日(水)


 神代総合病院の地下にある放射線撮影室は、窓がないせいだろうか、周囲を取り囲む真っ白いコンクリートの壁から、強い閉塞感と圧迫感が漂ってくる。

 大きなガラス窓の向こうには、巨大な放射線機器が見える。最新式の設備が並ぶその静謐な操作室の片隅に、紺野は座らされていた。

 椅子に座って俯いている紺野の隣には、主治医である神代沙羅が腕を組んで立っている。対置する場所に据え置かれた椅子には、この病院の院長であり神代家総帥でもある神代京子が座り、その傍らには神代亨也が腕を組み、壁により掛かるようにして立っている。

 と、急ぎ足で近づいてくるらしい複数の足音がひびき、等閑なおざりなノックの音とともに操作室の扉が開けられた。数人の護衛を引き連れた魁然義虎が到着したのだ。

 義虎は案内してきた看護師に礼を言い、護衛に廊下で待つように言うと、部屋の扉を閉めて中にいる面々に頭を下げた。


「すみませんでした。お待たせしてしまいまして」


 神代京子は小さく首を振ると、いたわるようなほほ笑みをうかべてみせる。


「とんでもないです。魁然さんこそお忙しいのに、わざわざご足労いただけるとは思いませんでした。ご無理なさらなくとも、結果はのちほど、全ての一族関係者に向けて送信する予定でおりますのに」


 魁然義虎は決然とかぶりを振った。


「いいえ、今回の件はそもそも、わが一族の不始末が原因なのです。私が立ち会わなければ意味がありません」


 低い声でそう言うと、俯いている紺野を鋭い目で一瞥する。


「……では早速ですが、始めていただけますか」


 沙羅は頷くと、隣に座る紺野を見下ろした。


「じゃあ、始めてもらえる? 送信で大丈夫よ。神代はもちろん、魁然一族にも能力耐性があるから」


 紺野は小さく頷くと、何から話すべきか迷うようにしばらく逡巡していたが、ややあって、小さな声で語り始めた。


「僕は、大沢裕子……本当の名は魁然裕子と言うのだそうですが、彼女と、関係を持ちました。その後のことから、彼女の身に起きた出来事を、僕が知っている範囲で伝えます。十六年前、あの子どもが生まれたときの出来事です」


 言い終えると、俯いている紺野の周囲に、白い光が静かに満ちる。次の瞬間、その場にいた四名の頭に、あの日、紺野……いや、東順也が見た光景が、まるで津波のように押し寄せてきた。

 彼の記憶は明確だった。忘れたくても忘れられないのだろう。ゲタ箱での異常な裕子の言動と行動、教師二人とともに訪ねた裕子のアパートで見た恐るべき光景の数々。肉塊と化した男性教師、異常な出産と裕子の死、異能力での応酬、その果てに縊り殺した赤子と、殺人者として連行される自分……。

 送信は大量の情報を伝達することができる。その上、紺野の持つエネルギー量は桁外れに大きい。受信相手が高位能力者といういことで、特に加減もしていなかったのだろう。そこまで伝わるのに、ものの一分もかからなかった。

 蒼白な顔で俯いていた沙羅が、突然右手で口元を押さえた。

 気分が悪くなったのだろう、急ぎ足で部屋を出て行く彼女を横目で見つつ、他の者もあまりの内容に青ざめた顔で言葉を失っている。

 沙羅が部屋を出て行くと同時に、紺野も送信を止めた。容疑者として連行された紺野が、拘置所に入れられた場面だった。

 義虎は、怪訝そうに眉根を寄せた。


「沙羅くんなら、あとからでも伝えられる。気にせずに続けろ」


 だが、紺野の返答はない。自分の言葉に対して何の反応もなかったのが不愉快だったのだろう、義虎はいくぶん語気を強めた。


「どうした? おまえはまだ、一番大事なことを伝えていない。あの、マンション倒壊事件に関係することだ。われわれが一番知りたいのもそのあたりのことだ。早く再開しろ」


 しかし、紺野からの返事はない。腕を組んで目線を落としていた亨也も、怪訝そうに顔を上げて紺野を見やり……はっとしたようにその目を見開いた。

 紺野の足もとには、幾滴もの汗のしずくが滴り落ちていた。

 俯き加減の額にびっしり浮かんだ汗が灰色の床に滴り落ち、小さな水玉模様を次々に作っていく。膝の上で堅く握りしめられた拳が、端から見てもはっきり分かるほど震えている。

 彼にとっては忘れたくても忘れられない、だが、改めて思い出すには過酷すぎる記憶なのだろう。廊下に出ていた沙羅が部屋に戻ってきても、紺野は送信を再開できずに震えていた。

 しびれを切らした義虎が口を開きかけた時、ようやく紺野は、かすれた声を絞り出した。


「すみません……送信、ではなく……この先は、発話による伝達を、させていただいても、構わないでしょうか……」


 義虎は眉を上げると、疑わしそうな眼付きで紺野を睨んだ。


「……なるほど、一番大事なところで送信を拒否するか。包み隠さず伝えるようなことを言っておきながら、二枚舌もいいところだ。つまりそこに、われわれに見られてはまずい部分があるということだな?」


 紺野は答えなかった。肩で息をしながら真っ青な顔でうつむいている。義虎はわが意を得たりとさらに声を荒げた。


「送信の拒否は認められない。全てを包み隠さず見せるという約束だ。おまえの勝手な都合で軽々しく約束を破棄されてはたまらない」


 紺野は右手で胸を抑えながら、必死に言葉を絞り出した。


「……すみ、ません……僕は、あまり、能力の制御が、うまく、できなくて……心理的に、拒否感があると……どうしても、発動、できなくなる」


「心理的拒否感? やはり送信したくない理由があるという事か。それにしても発動できないなどと、くだらないウソでごまかすのはやめろ。たかが送信程度のことができないなどと、あれほどの能力者がなにをほざくか」


 二人の会話を聞きながら、沙羅は紺野の様子を注意深く見る。異様に多い呼吸数に、滝のような発汗。はた目にもはっきりわかる手足の震えにしても、明らかな身体的異変が見て取れる。送信ができないかどうかはともかく、この尋問が彼の精神に深刻な影響を及ぼしていることは明らかだった。

 医者としての本分に突き動かされたのだろう、沙羅はおずおずと口を開いた。


「……魁然総帥、送信にしろ発話にしろ、自分の意思で伝達内容を取捨選択できるという点は同じです。情報の解像度はおちますが、内容の正確性という点では、送信も発話も大差ないかと」


 突然の横やりに虚をつかれたように黙り込んだ義虎だったが、これ以上無理強いしても、かえって沽券にかかわると思ったのだろう。ため息まじりに頷いた。


「……分かった。発話で構わんから、さっさと再開しろ。こちらも暇ではないんだ」


 紺野は頭を下げると、消え入りそうな声で語り始めた。


「僕は……拘置所で、あいつが復活した気配を感じました。それで……」


 言葉を切ると目を閉じ、肩で大きく息をする。


「……それで、あいつがいる場所に転移しました。そこは、建設中のビルの上で……僕は、そこで、あいつを、殺そうと……、攻撃を……、それが、あの……、建物に……」


 紺野は言葉を切った。過呼吸に陥ったのか、胸を抑え、肩を揺らして浅く早い呼吸を繰り返している。胸を抑える紺野の手が激しく痙攣していることに気づいた沙羅は、その背をさすって声をかけた。


「落ち着いて。できるだけゆっくり、息を吸うより吐く方に集中して」


 手渡されたタオルを口に当て、蒼白な顔で沙羅の呼吸指導を受ける紺野を冷然と眺めやっていた義虎だったが、ややあって、ため息まじりに口を開いた。


「……要するに、おまえは鬼子との能力戦の余波であのマンション倒壊事故を起こし、あの子どもに負けて殺られたというわけだな」


 タオルを口に当てて激しい呼吸を繰り返しながら、紺野は弱々しくうなずくと、息を切らしながらとぎれとぎれに言葉をつづけた。


「僕は……死んだ、はずでした……でも、なぜだか、……紺野美咲という、女性に、体細胞クローンのような形で、宿り……、再生、してしまった……ようです。彼女は、そのために……」


 紺野はそこまで言うと、胸を抑え、汗を滴らせながらしばらくは苦し気な呼吸を繰り返していたが、ややあって、絞り出すように言葉を発した。


「そのために……亡くなりました。血液型の、不一致で……」


 やっとのことでそこまで言うと、胸を抑え、前のめりに体を折り曲げる。沙羅はその体を椅子から落ちないように支えると、口元をタオルで覆ってやりながら、なんとも言えない表情を浮かべた。

 重い沈黙に包まれた操作室に、浅く速い紺野の呼吸の音だけがかすかに響く。


「……なるほど」


 ややあって、義虎が重々しく口を開いた。


「あの子どもが生まれたいきさつについては、よく分かった。だが……」


 突然、義虎は弾かれたように立ち上がった。紺野につかつかと歩み寄ると、介抱していた沙羅を押しのけて前髪をつかみ、俯いていたその顔を強引に引き上げる。

 

「おまえは何者だ!? 一般人能力者との混血というが、ただの混血に、なぜこれほど強力な能力が備わっている? だいたい、体細胞から再生できる混血能力者など聞いたこともない! その一般人能力者とはいったい誰なんだ? そもそも、裕子はどこからおまえという存在を知った? なぜおまえを相手として選んだんだ!?」


 前髪を掴む義虎の手も、何故か小刻みに震えている。不自然な姿勢で上向かされている紺野は、荒い呼吸の合間から、かすれた声を絞り出した。


「すみません……僕も、自分が何者なのか、分からない……僕は、東京駅に捨てられた、子どもでした……親の顔も、本当の姓も、分かりません……」


 まなじりから頬を伝い、涙が一筋、流れ落ちる。


「存在する価値のない、人間なんです。生きていても、他の人を殺すだけの……だから、殺してください。僕はずっと、それを待っていた……自分で死のうにも、再生して、また他の誰かを、殺してしまう……今、僕の知っていることは、全てお話しました。だから……お願いです。僕の周囲を、遮断シールドさえすれば、問題なく、死ねると思います。お手数ですが、どうか……」


「ダメだ」


 爆発しそうな感情を必死で押しとどめながら紺野を見下ろしていた義虎は、汚らわしいものにでも触れたかのように、掴んでいた前髪を荒々しくふりほどいた。


「遺伝子検査の結果も出ていない以上、残念だが現時点ではその決定を下すことはできん。今はまだ生かしておく。おまえが何者か分かったとき、一族の合議で正式に処遇を決めることになるがな」


 吐き捨てるようにそう言うと、義虎は京子らの方に向き直り、頭を下げた。


「……取り乱しまして、たいへん失礼しました。私からは以上です」


 と、椅子に腰掛けていた初老の女性……この病院の院長である神代京子が静かに手を挙げた。


「わたくしも、いくつか質問させていただいてよろしいでしょうか」


 沙羅に背をさすられていた紺野は少しだけ顔を上げると、小さくうなずいた。


「あなたは、魁然総代……玲璃さんを二度ほど助けましたね」


 京子の言葉に義虎はハッと息を飲むと、血走った目で紺野を睨みつける。紺野は荒い呼吸を繰り返しながら、その問いに小さくうなずいて答えた。


「なぜ彼女を? 何か意図があってのことですか」


 紺野は苦し気に肩を揺らしながら、弱弱しくかぶりを振った。


「僕は……あいつの気配が、感じられる場所に……なるべく、いるように、しています。あいつのせいで、誰かが犠牲になったら……それは、自分の、責任だから……それだけは、生きている限り、止めたいと思っている……ただ、それだけです」


「つまり」


 神代総帥はすっと目を細めた。


「あなたはあの子どもの気配を感じ取れるということですね」


 はっきりと頷き返した紺野を見て義虎は目を丸くすると、椅子を鳴らして立ち上がり、怒りをあらわにして叫ぶ。


「ウソを言うな! この件が起きるまで、あの子どもの気配など神代の高位能力者でも一度も感知したことはなかった」


 紺野は荒い呼吸の合間から、とぎれとぎれに言葉を継いだ。


「あいつは、今まで……大きな力を使ったことが、なかった。でも、すごく小さな発動は、たびたびあって……僕は、その気配に、気づいたことで、記憶を取り戻して……それからは、できるだけ、そのそばに……だから、あの高校に、進学しました」


 義虎はしばらくの間、ぼうぜんと言葉を失っていた。


「……つまり、ずっとあの子どもは、玲璃の近くにいたというのか!?」


 義虎は黒いカバンから紺野の履歴を記した書類を取り出すと、内容を確認する。書類を持つ手が、はたから見てもはっきりわかるほど震えている。


「この小学校も中学校も……玲璃の通っていた学校の隣か、すぐ近くだ!」


「では、あなたは、あの子どもが今、どこでどうしているかもわかるのですか」


 京子の問いかけに、紺野は首を横に振った。


「僕が、わかるのは……能力発動の気配、だけです。居所までは、分からない……。僕は、弱くて、あいつを、殺せないから……居所を探して、刺激しても……かえって危険、……」


 紺野は言葉を止めると、胸をかきむしるようにしながらゼイゼイと肩を揺らした。


「僕の存在に、気づいたなら……僕だけを、殺せば、いい……なんで、あいつは、関係のない人たちを、巻き込むのか……」


 苦しむ紺野の背をさすってやりながら、沙羅は考え込むように眉根を引き寄せた。


「……確かに、この男が現れるまでは、魁然総代に直接被害の及ぶようなことはありませんでしたね」


 沙羅の言葉に、義虎も血走った眼を大きく見開いて深々と頷く。


「そうだ。この男が同じ高校に進学してきたこの四月からだ。こんなことが立て続けに起きているのは……」


 紺野は荒い呼吸の間から、かすれた声を絞り出した。


「やっぱり、僕のせいなんです……止めようなんて、おこがましい。殺してください。僕が、消えれば、きっと、あいつも、動きを止める……」


 と、それまで黙って話を聞いていた亨也が、おもむろに口を開いた。


「……まるで、この男と玲璃さんが会うのを恐れているようにも思えますね」


 その言葉に、沙羅は大きくその目を見開いた。


「確かにそうです。あの滝川とかいう男、去年も生徒会役員として在籍していたそうですが、去年は何事もありませんでした」


 義虎は困惑したような表情を浮かべると、口元に指をあてがい、眉根を寄せて考え込む。


「……どういうことだ? 鬼子にとって、この男と玲璃が出会うと困る何かがあるというのか?」


 椅子に斜めになって座り、必死で呼吸を落ち着けようとしている紺野を横目で眺めやりながら、享也はぽつりと口を開いた。


「もしかしたら、この男の出自や能力に、鬼子の目的を阻止するなにかがあるのかもしれませんね」


 その言葉に義虎は息を飲むと、信じられないといった表情で紺野を睨んでいたが、ややあって、低い声で言葉を発した。


「……もしそうだとしたら、その答えは、恐らくこいつの出自にある」


 そう言うと、義虎は首を巡らせて神代京子を見やる。


「血液の分析結果が出るとのことでしたが、いかがでしたか?」


 京子はうなずいた。


「詳細な血液検査も、簡易検査と同じ結果でした。この男の血に神代の血が入っているのは確実ですし、血液型や大まかな成分も東純也のものと一致しています。遺伝子検査の結果を待たなければ正確なことはわかりませんが、送信された記憶の詳細性からみても、この男は東純也とみて間違いないでしょう」


 特に異論のはさみようはない真っ当な推論だったが、義虎は決然と首を横に振った。


「……そう断定するのは拙速です。精神同調によって記憶を丸ごと盗めば、本人に成り代わって詳細な記憶を披露してみせることくらい、高位能力者には可能でしょう。なにより、この男は部分的に送信による伝達を拒否している。秘匿している情報があるということです。神代総帥、この男の遺伝子検査の結果はいつ出るのでしょうか?」


「二カ月ほど時間を要します。どんなに急いでも、結果が出るのは六月になるでしょう」


「この男が何者であるか、明確な結論を得るのはその検査結果が出た時点ですが、それまでの間も要注意人物として厳正な監視を継続し、危険な行動が見られた場合には、一族の合議に基づき、バグによる処理も辞さない構えが必要でしょう。また、処分に至らなかった場合でも、六月末の遺伝子検査の結果が出た際には、この男がどの血統に属し、誰の子であったのかも含めて全ての情報を開示すべきです。ここまで大きな問題になってしまった以上、必要な情報を伏せる行為は逆に不審を招きます」


 義虎の主張を、京子は波のない水面のような面持ちで聞いていたが、やがて静かにうなずいた。


「……わかりました。その結果を開示するかどうかはまた別の議論が必要でしょうが、遺伝子検査では、詳細な血統を明らかにすることをお約束しましょう」


「ありがとうございます。われわれも、警察の総力を挙げて東純也の身元を洗い直してみます。三十二年前の東京駅での乳児遺棄事件を洗い出せば、何か分かるかもしれません」


 そう言うと、俯いている紺野に向き直る。


「おまえは確か、この間の火事で全財産を失ったそうだな」


 紺野は息を切らしながら小さくうなずく。


「施設を出ていたことで、保険にも入っていなかったと聞いている。つまり医療費は全額自己負担ということになるが、わかっているな? 神代総合病院はこのあたりでは名の知れた大病院だ。おまえはその全費用を弁済する責任を負っている」


「……はい」


 その言葉を受けて、京子が口を開いた。


「とりあえず、あなたの入院費と治療費はわれわれが肩代わりしましょう。弁済の期限や方法は、また改めて通達いたします。魁然総帥、それでよろしいですね」


 義虎は頷くと、頭を下げた。


「申し訳ありません。わが一族の不始末のためにご迷惑をおかけいたします」


「とんでもありません。彼については神代の不祥事が深くかかわっているのですから、お互いさまでしょう。いまは、われわれ一族が共有する目的の成就が間近に迫る大事な時です。その実現のために、互いの協力関係をより一層密にして、この問題を乗り切ってまいりましょう。ところで、亨也さん」


 神代総帥が壁際にたたずむ亨也に顔を向けると、じっと考え込むように目線を落としていた亨也も顔を上げる。


「はい」


「この男、あとどのくらい入院することになりそうですか」


「そうですね……傷のふさがり具合は私の能力で調整できるとして、まだいくつか検査も残っていますから、最短でも十日間は必要でしょう」


「そうですか。退院後の処遇も含め、その間にできることは進めておくとして、この男が入院している間は、われわれが責任を持ってこの男を管理いたします」


 その言葉に、義虎は再度深々と頭を下げた。


「分かりました。警備の充実など、魁然の方でも最大限の協力をお約束します。なにかありましたら遠慮なく仰ってください。今後ともよろしくお願いします」

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