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~最後の国~
空から文字が降ってきた。
たくさんの、文字、記号、句読点。
ここは、こえ、のない国。
前いた場所は、こえ、ある国。
こえ、を持たぬ者もいたのに、皆が皆、平等に持っているのが当然だとするように。
奏太、と、かなで、は悩んだ。
どちらの世界にいても自分達ははみ出しものなのだと。
そして選んだ。
ふたりは。
ふたりだけで、こえ、をなくそうと得ようと。
ふたりならば、はな、が効かなくなろうとも。
ふたりだから、同じように生きていけるのだと。
同じものを持ち、同じものを持たず、それならばふたりだけの国を作ろうと。