飼い猫は管理者
『フム。悪くはないわね。自分でも作れるけど、これはなかなか。
世界に合わせて作ると、どうして細かいところがうまくいかないけど、
あなた慣れているわね。』
そういって、目の前の白猫は流治と六花に話しかける。
「六花。なぜ白猫なんだ?」
「えっと。なんでだろう。自由で母性があるから?それと、神だから?」
「なんだよそれ。これじゃあエルと被るだろうが。」
『あら、白猫はもういるの?じゃあ、柄を変えようかしら、
その程度なら、簡単よ。』
そういって、猫は白と灰色と黒の虎柄に変わる。
『どう?』
「いや柄がどうこうってわけではないんだが、本人がいいんなら、別にいいが。」
『いいわよこの体、しなやかで。』
「さいですか。で、これからどうするんだ。あれも含めて。」
そういって流治は複数の人型の方を顎でしゃくる。
『概念と筐体はリンクしているから、あとは私の意識を混ぜるだけね。』
「じゃあ、とっととやって、元の世界に戻ろうや。
そのあとで、お前さんの扱いを含めて考えよう。」
『そうね。じゃあさっさとしますか。
この体から、ある程度、強制操作ができる仕組みを構築してっと。』
そういって、猫の姿になった管理者は座ると頭を垂れて、
何やら、ぶつぶつと唱え始めた。
『できたわ。』
その言葉と同時に人型は各々行動をし始めた。
『これでこの世界を安定化できると思うわ。』
そういって、猫は二人を振り返ると流治が明けた亀裂へと向かい始める。
流治と六花も後に続き亀裂をくぐる。
元の世界に戻ると六花が亀裂の両端を引き寄せ、くっつけた。
それを見て、流治は猫に問いかえる。
「なあ。この世界はどんなスタンスで作ったんだ。」
『この世界の上位にある、私のふるさとをモチーフにして作ったの。
単一の言語と万物に神は宿るというスタンスの宗教、
そして、複数の種族で作ったわ。
まあ、内部で発生する刺激は少ないけど、進化や進歩の速度はそれなりね。』
「なるほど、種族ごとに、文化や思想、志向は違うという部分で
緩やかな成長を促す方法か。」
『まあ、言語が同じだから、争いは少ないし、戦神にしてみたら、
退屈だったかもしれないわね。』
「なるほどね。争っても言葉で済むし、相手の宗教や外見さえ認めれば、
一緒に過ごせるものな。
それに他の神は端末が増えるのに、自分は増えない。」
『そういうこと。自分を崇めさせたい。
もっと強くなって自分が活躍できる世界にしたい。
そう考えても仕方がないかもね。』
「この世界のスタンスはわかったが、それで管理者は生まれるのか。」
『さすが、異世界の管理者ね。たしかに、相手を理解したい、
もっと強くなりたい、長く生きたい。
そういった欲望が急速な進化・成長を促し、
管理者を生み出す要因にはなるわ。
でも、管理者を生み出すことだけが目的、ではないでしょ。
太く長く世界を存続させることも必要なこと。
まあ、今回みたいにシステムが暴走しがちなんだけどね。』
そういって猫の体で器用に溜息と苦笑をする。
「なるほどね。あとは・・・。
注意事項かな。猫の姿の時は念話でお願い。
猫と話すと頭がおかしいと思われるから。」
『そうね。わかったわ。』
「あと、基本は自由にしていいけど、できれば流と一緒にいてほしいかな。」
そういわれて、流治は六花を凝視する。
「え?なんでだ六花?」
「勝手にふらっと消えるでしょ。いつも。探すの大変なんだから。」
「うっ。りょ、りょうか~い。」
『ふふふ。それもわかったわ。なんとなくだけど、お嬢ちゃんより、
この子の方が、何かしそうだものね。』
「わかってくれてうれしいよ。こんなところかな。
まだ、みんな買い物をしているみたいだから、合流しようか?」
「そうだな。」
二人と一匹はみんなのいるところに転移をした。




