その神、真なる神になれず灰塵帰す
「さて、流。使えるよね。この世界なら。」
「ああ、問いただすしかないか。管理者たる神に。」
「本当は越権行為になるけどね。この世界はずいぶんといびつ。
どうも戦神以外の神がいない。元々はいた気配はあるけど。」
「喰ったか。消えたか。変質したか。いずれにしても、聞くほかないな。」
「ええ。」
「じゃあ、やるぞ。」
そういって流治は左手のひらに右手の握り拳の側面をあてて、
きれいな刃の腕の長さほどの刀を引っ張り出した。
「よっと。」
その刃を正中線に沿って、まっすぐに振り下ろした。
すると、空間が裂け、傷口のように広がった。
「さて、鬼が出るか。」
「それとも、蛇が出るか。」
二人はその裂け目に入っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーキンッー
「おいおい。ご挨拶だな。いきなりとは。」
「くそっ!」
鎧兜を身に着けた男の神と思われる存在が、
流治を切りつけるが、流治は何事もなかったように受け止める。
それを見た神は後ろへ飛び退きつつ、刀を再度正眼に構える。
「何もしらぬと思ったか。神をも殺せる存在たちよ。
この世界は『我』のもの、何人たりともそれを侵させはしない!」
「『我』、ね。」
「流、いいわ。あとで、記憶だけ『再生』して読み取ればいいから。」
「なら、『概念』以外は消すか。」
「くそ、もっと強い神になるんだ!そのために・・・。」
「もういい。」
いつの間にか双刀を構えた流治が神の後ろに立っていた。
そして、左手には光輝く宝玉の様なものを握っていた。
「なっ。いつの間に・・。」
そうつぶやき神は塵のように崩れる。
「まあ。初手はよかったな。さすが戦神。
戦術、戦略、戦技のいずれをとっても高いが、
相手をしらぬままではこの程度ってね。ほい。」
ーパシッー
「えーとこうして、こうして。」
六花は受けっとった宝玉を勾玉の形状にすると、
鏡にはめ込む。
「『再生』。」
そして、戦神が何を行い、何をしたかったのかが、鏡に再生された。
「なるほど、本来の管理者は邪神に変質させ、他の神々は殺し、
うわべの能力だけ奪って、自分は管理者に成り代わろうとしたってわけ。」
「なんで、うわべだけ?」
「時間の問題ね。」
「なるほど。ぼろがでないうちにかたずけたかったって、訳か。」
「それに、同化吸収は難しいわ。特に相手が許可していない状態ではね。」
「だな。だが、神々が今この瞬間に存在しなくなったぞ。どうする。」
「とりあえず。この概念から取り出せるだけ、取り出して。修復するわ。
でも、管理者がいない以上、自由意志の部分を与えてもまた、
問題が発生する可能性が。」
「なら、もう一段上の管理者にご足労いただこうか。
それに、ちょうど来たみたいだ。」
そういって、流治が振り返ると、空間が裂け、
一人の女性とも男性ともつかない鼠色をした存在が現れた。
「なぜ、この世界に神がいなくなったのか、ご説明いただきますか?
他世界の管理者?さん。」
「ああ俺たちは二人で管理者だ。神がいなくなった理由だが、
この世界のコントロールをやめ、力だけを求めた一柱の神がすべての神を殺し、
その神を今しがた、制裁したからだよ。」
「それはおかしいですね。私を感じるのですが。」
「よく感じてみろよ。邪神になっていないか?」
「これは。この世界の私と同期をしました。確かに、あなたの言う通りですね。
なら、この世界は終わりにしましょう。」
「おいおい。それは困るな。まだ立て直しがきくだろう。」
「管理者がいないのにどうするのです。」
「そう、管理者が邪神と化している。逆に、邪神を再度管理者に戻せれば、
いいってわけだ。」
「ふむ。続けてください。」
「邪神を再度管理者にする方法はこちらで、行える。が、端末たる神がいないのでは
この世界を維持できない。そこで、あんたの力を借りたい。」
「話は分かりました。ようは今あなたが持っている概念たちに
私の意志を乗せるのですね。」
「そう。意志だけを乗せて、とりあえずの管理を行う。」
「わかりました。良いでしょう。その程度でしたら。」
「交渉成立だな。」
「ですが、そう、ですね。私もあなた方のように世界を楽しみたいですね。」
「「えっ?!」」
「私の器もついでに作ってもらえませんか?」
「「はぁっ?!」」
「そうすれば、監視もできますし、一石二鳥です。」
「おい!」
「はぁ~。いいわ作ってあげる。」
「おい!六花!」
「無駄よ。言っても聞く人ではないはこのタイプは。」
「はー。ふー。六花がいいならいいよ。もう。」




