深淵を覗けば
(エンデ。)
(どうした?)
(いい加減俺のちからについて教えてよ。)
(できれば自分で気づいてほしいんだが。だが、必要になるのも確か、か。
さて、お前の力は自分自身では何だと考える。)
(『死』でしょ。)
(う~ん。どうしてそう思う。)
(えっ。だって、「死者」が見えるし、昔の俺は恋人を殺しているし、
この間だって・・・。)
(あ~。思い当たるものが偏ったな~。
う~ん。そうだ。今から俺が言うものに心当たりがないか考えてくれないか。)
(えっ。う、うん。)
(まずは~。身に着けていた腕時計のベルトがすぐに切れたり、
帽子にすぐに穴があく。)
(えっ。そうだけど。)
(空間のヒビを消せる。)
(あ~。最近の。)
(得意なのは風、影、闇の属性。)
(もち!!)
(さて、そろそろ。わかったかな?)
(え?この三つがなにか。)
(はっ。鈍いな~。いいか。一つ目は物質の結合をなかったことにしてる。
二つ目、これは空間を修復したのではなく、
壊れていたのをなかったことにしたんだ。
三つ目、これは形も色もない属性。
そして、『死』。さて、何かな?)
(え~っと。あ、わかった。『無い』だ。)
ーぶわっー
((へっ!?))
流治が自分の力を認識した途端、エンデと流治の魂は
突如黒い霧のようなものに包まれた。
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『おやおや。とうとう、自分の力の根源を知ってしまったかい。
はて、さて、君はその力で何をする。何をしたい。
気に入らない人をいなかったことにするかい。
壊れた人間関係をなかったことにするかい。
滅んだものをなかったことにするかい。
いらない国を消してしまうかい。
無とは『深淵』。底が無く、覗けば切りがない。
対価は心。黒く黒く塗りつぶされ、しまいに心が消えてしまう。
なくしたものは戻らない。戻したいなら、天上の、『ある』を使うほかはない。
強い力は相反し、0へと常に帰結する。
さあ、管理者の『無』を受け継ぎしものよ。
汝の枷を今なくそう。』
(がっ!!)
<流治!!(正規の手順だから問題はないと思うが・・・。一応)「隔離」>
『おや~。なんで君もいるんだい。
同じ根源は同じ世界に存在できないはずだし。』
<残念だが、俺の『無』はこの世界の根源ではない。>
『ほへ~。別の世界の僕か~。うん?でも違う。力が弱い?なんだろこれは?』
<お前に目覚めることなく、自身の根源の一部に気づき。
おまえの一部とすべての世界軸の『空間』の概念を内包した存在だ。>
『すごいね!君一人で世界が管理できるね。あれ?ならなんでここにいるんだ?』
<お前にはわからんよ。純粋に自分以外に何も持たない。お前には。>
『そうか。君は僕とは別の可能性か。僕以外もいたんだ。
ふふふ。会えてうれしいな~。
あー。そうか存在しないものはいないんだ。
なら今度こそ。一人に、孤独にならないね。』
<おまえ。何を?そうか。そういうことか。ああ、そうだ。
少なくともお前も、俺も。今後こそ助け合い、一人にはしない。>
『あ~。良かった。どんなに心が暗くなっても。
『僕ら』は自分の正義は貫きたかった。
そうだろう?だから、一人は辛いんだ。
無くしても、無くしても。貫きたいんだ。
『それ』だけは無くしたくないんだ。』
<ああ。そうだな。>
『これで、安心して、一つになれる。これで貫ける。
「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」
これで、怪物にならなくてすむ。狂わなくてすむ。』
<ああ。今度こそ、闘いぬける。>
(あの~。)
『おや。そうだった。君は自分の力が何なのか。譲渡した知識で理解したかい?
それはどうだい。心がなくなりそうかい。
そうだ一つテストしよう。君が本当に力を渡すにふさわしいか。』
(えっ?)




