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終末から始まる物語  作者: 風間流治
プロローグ
8/229

閑話 親の心子知らず

紅「今回はお父の話?」

信「前回まで、親父が何を考えていたかだな。」

簡単な任務の依頼が入った、

悪霊の除霊。この程度なら、何かあっても、助けに入れるし、

あの二人なら問題はないだろう。

最近見るからに力をつけたように感じる。

さっそく、信幸と紅葉を呼んだ。


「お前ら、"手伝い"をしろ。」


威厳を出すために、偉そうな口調で話を始める。


「この手伝いは一人で行ってもよいし、二人でやってもよい。

ただ、場所は2か所で、時間も同じ。まあ、一人でやるしかないわな。」


にやにや笑いながら、前置きを話す。

2人の表情をみて、笑いがこみあげてきた

これで、一人でやれということが理解できるはずだ。


「一つは、野犬が悪霊化して、あふれている空き地の除霊。

もう一つは、川辺の桜並木の除霊。

桜並木のほうは、どうも複数の女性が悪霊化したらしい。

どっちが、どっちに行く」


信幸はしばらく考えて、


「空き地のほうは、俺が、桜並木は紅葉に任せます。」


「そうか。では、よろしくな。」


そういって、出ていけと手で促した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二人が出ていったあと、妻が話しかけてきた。


「本当に、言動や行動が、まだまだ子供ですね。

あれでは反感を買ってしまいますよ。」


「そうか?」


「そうですよ。あなた、今子供になんて思われていたと思います?」


「わからん。」


「きっと、最低って思われていましたよ。」


「そうなのか!」


「そうですよ。任務の難易度も、どうすれば効率的にこなせるかの説明もなく。

偉そうに、悪霊退治をしてこい。だなんて。手伝おうか。

の"て"の字もださないし。」


「それはだな。」


「私は妻ですから、あなたの意図がわかりますよ。

あの子たちもわかろうとはしているでしょう。

でも、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、

ほめてやらねば、人は動かじ』ですよ。

あなたは、自分の『仕事』の姿を見せたこともないではありませんか。」


「あ~。それはだな」


「それに、家にいれば。流治を蔵に閉じ込めたり、殴ったり。

あれでは、信幸たちも離れていきますよ。」


「うっ」


「まあ、今回の件、こっそり見に行くのでしょう?」


「ああ。」


「では、私は信幸の見に行きます。」


「お、おい。」


「何か?」


「いやなんでもない。頼んだぞ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


妻には頭が上がらない。あれは、優秀だ。

一族の中で、幼なじみとして育った。

あれは、特に計算が早く、”任務”の成功率はほぼ100%だった。

その理由は失敗する要素が一つでも出くると、

別の奴に任せるという行動をとるからだ。

小さいときは、よく振り回されたものだ。


信幸と紅葉は生まれたとき、一族はさほど期待をしなかった。

というのも、生まれときに慣例で調べる、属性の調査であまりに偏りがひどく、

任務をこなせないと考えられたからだ。


通常、5行ないし、4属性を使えるはずなのに、

信幸は2.5属性ともとれる偏り、紅葉にいたっては2属性だったからだ、

我が家は私の代で、”任務”をこなせなくなると思っていた。


しかし、しばらくすると一族は二人の力量を大幅に修正せざるを得なくなった。


理由は、信幸は弓と猟銃を、紅葉は木刀や薙刀を

なんなく使えるようになったからだ。


戦闘において、二人はベテランを相手に5歳で勝利した。

いくら一族が戦闘や人外の力において、

前世の記憶ともとれる経験・知識を有しているといっても、

二人の強さは異常だった。

信幸に関しては、知識を小学校1年から貪欲に求め、

結構な本を読んでいるはずだ。


そんな二人だからか、私はどこかで、教える必要があるのか、

範を示す必要があるのかと感じていた。

それが、あいつらの心が離れていった結果なのかもしれない。

だが、今更、自分自身を変えることはできないし。変えるつもりもない。


このまま、進み、何かあれば、それ相応の罰をうけよう。

それが、親としてのけじめのはずだ。

紅「なんというか。子供ね。」

信「だな。」

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