狭間にいるもの
「いやー。俺らも中学生か。」
「小学校に比べんと遠いいよな~。」
「そうだよな。坂が多くてほんと大変だよ。」
「部活何に入るんだ?」
流治はたわいない話を今川の分家筋の今川博直と話していた。
流治は前回の戦闘で倒れたがさほど間を置かず復活できた。
そして、絶賛魂たちの実習を受けて、この世界の法則をしり、
事象の発生、過程、結果をシミュレーションできるように経験を積んでいる。
そのおかげで、難しい用語なを知らなくとも、学校で習っていなくとも、
理解ができるようになっていた。
ただ、ひとつ知りえないことがあった。
それが、心、魂、空間、時間など、目に見えないものに対して
理解ができていなかった。
それさえつかめば、自分はさらに高みへいけるはずだと、流治は感じていた。
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たわいない会話をしていると、ふと廊下の空いたドアに血色の悪い、
中学生程度の背丈の女性がたっているように見えたので、
はっきりと顔を向けるがそこには何もいなかった。
(確かになにかいた気がするんだけどな~。)
(流。)
(何?エンデ。)
(一つだけ、教えておこう、この中学校の場所は、
教会、神社の方向と墓地の場所の間にある。)
(だから?)
(彷徨う魂が集まりやすいのさ。)
(え~。それって、絶対めんどくさいやつじゃん。あとで秋姉と信兄に相談しよう。)
(そうしな。)
そんな会話の間も、学校のそこかしこから、見られている気配を感じた。
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<原初の悪魔よ。朗報じゃ。>
『どうした?』
<ちょうどよい場所が見つかった。ここから北にしばらく行ったところに、
境界が不安定な場所がある。どうも、亡者のたまり場があるようだ。>
『なるほど、人の陰気と死者の力が空間を不安定にしているか。』
<この狭間の空間では動くのは難儀だが、少しづつ移動してみようぞ。>
『だな。留まれば留まるほで、意識が薄れそうだしな。』
「嫉妬」と「榊」は自分たちの作り出した、空間と空間の狭間で、
相も変わらず漂っていた。
この場所は陰気が集まりやすくはあるが、
何せ、少しでも動くと正常に戻ろうとする空間により
身を引き裂かれる痛みを伴い、
また、死者のみが存在できる空間故なのか、
存在が希薄になりやすかった。
そんな中で、通常の空間に戻れるかもしれない場所に向かって、
二人は行動を開始した。
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「ねぇ。エンデ。この線と点って何?」
<どれだ?>
「これ?」
エンデは流治が指したものがぼんやりとしか見えなかった。
そこで、流治の「虚無」の力を少しだけ、使う。
するとそこには、空間の亀裂とウィークポイントが見えた。
<そいつには、触れるなよ。まさか、こいつが見えるようになるとはな。>
「でっ?」
<そいつは、「空間の切れ目」だ。そいつをなぞると、
別の世界か、不安定な世界に飛ばされちまうぞ。>
「げっ。見えている人間にしか意味がないとか。」
<いや、一部だけなら大丈夫だ。小さい穴しかあかん。
ただ、その点やなぞった部分が長いと、
落とされるぞ。昔の神隠しはこれだな。>
「え~。あっ!そうだ。少しづつなぞったら。」
<いい提案だ。毎日少しづつなぞってけ。>
「OK!OK!」




