運命に抗う者
紅「何ている信兄はほっておいて、今回もちょっとながめ。」
六「なんだかな~。私の活躍も少ないんだから。少なくてもいいと思うのよ。」
「<ぐぅ!なぜだ!お前は俺より弱いはずだ!なぜ!>」
「哀れなお前に教えてやろう。ありとあらゆる事象、現象、値は
俺の前では「無」になる。
すなわち、お前が術を発動するための魔素も、お前との距離も、
空気との間に当たらく摩擦も、俺の思考一つで、無くすすことができる。
そして、お前が見ている俺は、存在を判定するための値が0なのだよ。」
「<なっ!ならなぜ俺を消さない!>」
「それは「世界が求める台本にそぐわないから」だよ。
『俺』が書き換えできるのは、運命を変えない程度の法則ないに限定される。
よって、魂や存在を0にはできない。運命に逆らってしまうからね。
しかしだ、君たちはここで、死ななければならない。
その器を返してもらってね。」
「<ははは!なら、この器が死なないように、
戦いつつ、お前を屈服されればよい!>」
「愚かだね。できないよ。」
悪魔は勢いよく殴りかかるが、直前で減速し、
流治の手のひらに「ポフッ」と音を立てるように、握られる。
「<なっ!>」
「言っている意味がわからないのかい。君の力は俺の任意で0にできるのだよ。」
「<くそ!なら、榊!>」
『はいよ!隔離!』
「無駄だよ。」
榊が空間を隔離して閉じ込めようとするが、術が発動しない。
『発動しない?!』
「発動に必要な魔素を0にした。」
「<化け物か?!>」
「酷いな。君たちのやっていることの方が、化け物みたいじゃないか。
でも、それさえも運命の一部。
少しは混沌というスパイスもないと世界は成長しないからね。」
「<どういういみだ。>」
「君たちは必要悪というやつだよ。世界に混沌というものをばらまくためのね。
それも君たちは自分たちが考えてやっていると思っているようだが、
それもすべて台本どおり、世界が永遠に続くために必要なことだったのだよ。
必要がなくなれば悪でしかない。」
「<そ、ん、な。だったら、お前を殺して、お前になりかわ、れない?>」
「そう。俺は、いや俺たち一族の役目は運命通りに
世界が運航するのを監視しているだけ。
いてもいなくても関係ないのだよ。だから、力も最低限、所属は田舎。
そして、君たちの役目は混沌をばらまくだけ、ばらまいて消えるだけの役。
だけど、運命だからといって、やりすぎはいけない。
本来であれば、その器とその奥さんの器はお前らの影響を受けずに、
術が使えなくなり、一般人になるはずだった。
だが、器として利用した。命を奪い、運命が若干ずれる可能性があった。
生物の運命は、変えてはいけないのだよ。
それを知らなかったとはいえ、変えてしまうのは許されることではない。
そして、なぜ、無駄話をしたり、なぐったりしたと思う。」
「<まさか?!>」
「今しがた、解析が完了したよ。
この空間内の魔素は君たち器の魔素とずれがある。
だが、君たちの魂の魔素とは同一だ。と、いうことは、だ。」
『ヒッ!』
「<や、やめろ!>」
「そうだよな。強制的にこの空間と正常空間をつないでいる術式を0にすれば、
お前らは器から引きはがされて、この空間に強制的に残される。
まあ、死ぬわけではないし、運が良ければ、また、誰かに憑りつけるだろうよ。
あと、榊の力は0にさせてもらう、言霊の力だから、どこまで有効かはしらんが、
数十年は有効だろうよ。じゃーな。」
ーぱちーんー
そういって、流治は左手で指を鳴らす。その瞬間に空間からは魔素が消え、
心地よい風が頬をなでる。魔素がなくなったため、
六花たちが張っていた結界も消える。
「運命は変えられない、変えようとして抗い、
そして、その情報を得たからわかる。
抗うのは本当に大変なんだよ。」
そう独り言ちをして、流治は目をつぶった。その頬には、涙が流れていた。
紅「いつまで続けられるかな?」
六「次回はこの章のエピローグ。そしたら・・・。」




