04:作戦<side:紅葉>
紅「あれ、これ先週投稿したはずでは?」
信「予約投稿に失敗したらしい。」
紅「私になにか怨みでもあるのですか!!」
武器の皆と知り合ってから、時間がたち、小学1年生の夏休み。
自分の力が上がったように感じたころ、父が私たち兄妹を呼んだ。
「お前ら、"手伝い"をしろ。」
偉そうな口調で、父は任務の話を始めた。
「この手伝いは一人で行ってもよいし、二人でやってもよい。
ただ、場所は2か所で、時間も同じ。まあ、一人でやるしかないわな。」
にやにや笑いながら、前置きを話す。
本当にいやな人だ、なぜ母はこんな男と結婚をしたのだろう。
たしか、一度聞いた気がするが忘れてしまった。
「一つは、野犬が悪霊化して、あふれている空き地の除霊。
もう一つは、川辺の桜並木の除霊。
桜並木のほうは、どうも複数の女性が悪霊化したらしい。
どっちが、どっちに行く?」
兄はしばらく考えて、
「空き地のほうは、俺が、桜並木は紅葉に任せます。」
「そうか。では、よろしくな。」
そういって、父は出ていけと手で促した。
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部屋に戻り、いつもの結界を張ってもらう。
家では壁に耳あり障子に目ありだ。
武器たちのことはあまり知られないほうが良いと思う。
「さて、どうやって討伐しようか。」
座って双子をなでながら、そう切り出した。
双子は気持ちよさそうに目を細める。
<姫さまは、まだ力をお隠しになるつもりですか?>
アンが聞く
「そうだね。当分は武器の使い方が上手っていう子供でいたいかな。」
<では、お兄様のところの騰蛇どののような戦いかたはいかがでしょうか?>
レイが提案してきた。兄が式神を使えることは武器たちは知っている。
私と兄には隠しごとはないのだ。
「どういう戦い方?」
<騰蛇どのは炎を棒状にして、戦うのです。姫さまも、炎や土を棒や剣状にして、
戦ってはいかがでしょうか。>
何それ。かっこいい。
「いいね!それで行こう。」
<では、アン、私、ユン・ユエ、サラ、勇殿、ヤンが武器になりますので、
よく観察して、形を作る元にしてください。>
片手剣、レイピア、双剣、大剣、刀、棒になった7人をよく観察する。
「武器になっても、シンプルな意匠がすてきだよね~。」
1時間ぐらいかけて、よく観察をして、形を覚えた。
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任務前日の夜23時に現場の桜並木で、
準備運動と火と土を武器状にする訓練をする。
実は、夜に悪霊が出やすいといわれているが、
出やすい時間は、夜中の0時から4時44分までである。
また、出やすい曜日もあるが、今回は事前調査で明日が出やすい日として、
指定されている。
20分前にレイが
<お父上が、監督に来たようですね。もう一つ気配がありますが、>
(お母さんでしょ。父の監督。監督の監督ってどうかと思うけど。)
<なるほど。>
そんな会話をしていると、気配が変わる。
目が移ろな女性の霊や女の子の霊が現れる。
まずは得意な火を剣状にして、斬っていく。
(人数が多いな。それに、なんか変だ。)
<主。この者たちからは意志を感じられません。
まるで、別の何かにそう動くように言われているがごとく、
動きが単純です。>
(ということは、この霊たちは悪霊じゃないの?)
<そのようです。このまま、主の火の剣で成仏させつつ、大本を探しましょう。>
どうやら、私の火の剣は成仏させる効果があるらしい。
(それにしてもきりがないな。)
30分くらい、斬っているが、いっこうに減る気配がない。
それどころか、囲もうとしてくる。
ーずずー
ーボッー
後ろから、木の根に刺されるイメージがして、火の剣を後ろに一閃する。
そのとたん、根っこが燃える。
「そこっ!」
一本の葉桜に向かって、剣を横なぎにふるう。
すると本来動くはずのない木が後ろに避ける。
『ふふふ。ばれてしまいましたか。』
女の人の声で、桜の木が話はじめる。
会話できるのかと思い、少し話をしてみることにした。
「あなたは何者なの。」
『数年前ににこの桜の木の下に埋めれた女よ。』
「どうして、女性ばかり、集めたの。」
『寂しいから。』
「どうして、操っているの?」
『私が一番になりたいからよ。』
その答えに少し、怒りを感じる。
「どうして、女の子まで?」
『かわいいし、操りやすいし、大人の女と違って、
意識を残しても、私をもてはやしてくれるからよ。
かわいい。かわいい。私の娘。ふふふ。ハハハ。』
その答えにわたしは切れた。
「親と離れ離れにして、自分の欲望を満たすために他人を操って、
満足してんなよ。ババぁ。」
<<あっ。姫さまが怒った。>>
『小娘、ババぁっていたな。生意気なことを言って。
そんな口がきけないようにしてやるよ。』
瞬間何本もの木の根が、私に向かってくるが、私に届く前に燃える。
私の姿はすでに、髪の色は緋色に眼も恐らく緋色だろう。
自分でも、怒りで異界の力をどんどん引き出している感じを受ける。
『小娘。あんた何者だい。』
「あんたみたいな。悪霊をたたっきる一族だよ。」
根を切りながら、近づく。
桜の木の悪霊は、どうすれば逃げられるかを考えながら、
後ずさりながら、根での攻撃をやめない。
すると、一本の木の根が近くの3才ぐらい女の子の霊をとらえようと
伸びる。
<させません。>
とらえる寸前で、女の子の霊が消える。
どうやら、アンが指輪の中へ助けたらしい。
(ありがとう。)
桜の木の悪霊は何が起きたのかはわからないようだ。
「あんたは浄化なんて、生易しい。魂まで焼いてあげるよ。」
桜の木にふれ、ため込んだ力を一気に火に変換する。
『っ』
ことばを発することすらできずに、灰になる。
周囲の霊たちは、解放されたことで、一人また一人と、成仏していく。
(ところで、アン。その子は指輪の中にいて大丈夫なの。)
たしか、指環の中には武器以外の魂は入れないはずである。
それに、指環に入れるには武器の器が必要なはずである。
<私の式、およびバックラーとして、存在を固定します。
すでに、この指輪に入ったことで、
自然成仏は難しいでしょう。>
どうやら、無理やり、指環に引き込んだらしい。
無茶をする。でも、おかげで嫌な思いをせずに済んだ。
<あなたは、今から私の妹です。名前はベル。意匠は蝶、緋色の蝶です。>
すると、女の子は蝶の羽をもった妖精への姿を変える。
<うまくいきました。これで、彼女は年は取りませんが、
この中で私たちと同じように過ごせます。>
しばらくすると、女の子は、アンと同じようなメイド服を着た元の姿になった。
アンがうれしそうな顔をする。
「さて、帰りますか。」
すべての魂が成仏したのを、見送り、私は家へ足を向けた。
「何か忘れている気がするんだよね。」
父と母に見られているのを忘れて、派手にやらかした紅葉は後日、
母にもっと穏便に除霊をするように怒られる。
紅「かわいいはやっぱり正義!」
信「今回は失敗しないといいない。」