弱点
信「だれの?」
紅「私たち大概弱点だらけよね。」
その日、ゴールデンウイークの怪異退治で疲れたのか、流治は体調を壊し、
入院となった。
「はぁ~。」
流治は盛大な溜息をついた。
理由がわからないが何か心的要因で
大きなストレスがかかったのではないかとの
診断があったからである。
その原因に流治は心当たりがあった。
流治が潜入し、鉢合わせした霊を刺したとき、
少しだけ、気分が悪くなり、かつ嫌な気分を味わった。
あれが原因であろうと考えたのである。
一族のこの稼業を続ける限り、霊や怪異を倒すのは必須である。
いちいち倒すたびに倒れていては任務に影響が出てしまう。
流治は思い悩んだ。
そのころ、流治の両親も流治のことで話合いをしていた。
「あの子に稼業は無理じゃない?」
「今回の任務で何らかの心的ダメージを受けたとなるとそうなるな。」
「いえ、絶対にそうでしょう。こうなるともっと勉強をさせて、
デスクワークの職業に就かせるべきよ。」
「まあ。それが一番か。」
「そうと決まれば、びしばし行くわよー!」
「流治よ。たくましく生きてくれ。」
幸代の宣言に幸和は心で合掌した。
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<やはり、心的ダメージを受けたか。
前回の死の記憶の体験でもダメージを受けていたし、
無理なのか?まだ、越えられないのか?だが、・・・・。>
<エンデ?どうした。>
<アル、か。いやな、死を体験すれば、
死に対する耐性がつくと思ったのだが・・・。>
<まだ、幼いしそれは無理だろう。>
<いや、それだけでないと俺は知っているんだ。>
<どういうことだ?>
<トレースの力だ。>
<トレース。流治の目の力か。それが。>
<あれは、目だけではないんだ。
意識がある対象に触れても発動するんだ。
原理は単純だ。あいつの本来の能力に起因するんだ。
「魂を診る力」。それがあいつのトレースの力の元なんだ。
よって、刺したり、死を目撃すると、流治はトレースして、
自分も死の擬似体験をするんだ。
特に肉体があればその痛みと苦しみもトレースしてしまう。
魂だけであればそれも若干は感じにくくなるんだが・・・。>
<な、に?>
<この力は魔素がなくとも使える部分があるから、俺も良くわかる。>
<お前もそうであったと?>
<中2までな。それでも、その後も死を目のあたりにすると
心的ダメージは受けたが、病気になるほどまではならないように
自分で制御できるようになった。変わりに心を半分喪失したがな。>
<難儀だな。こんな世界じゃあ。流治にはそろそろ
耐えられるようになってほしいと?>
<ああ、このままではまた破滅の力が解放されかねない。>
<あー。うん。なるほど、急ぐ理由が分かったが、こればかりはなー。>
<そうなんだよな~。いっそしばらくは
俺らが変わってやるっていうのも手かな。>
<そうだな。時と場合によってはそうするか。>
そんな会話を流治はこっそりと聞いていた。
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(感情を消せば、具合が悪くならないし、
家業も継げる。でも、感情を消すということは・・・?
どういうこと?いけないことだっていうのはわかる。
でも、どうして?)
信「流治がたまに非道になる理由って。」
紅「弱点。弱点ね~。」




