魔弾の投手
紅「さ~て今回は?」
信「俺だと言っていただろう。」
「う~ん!!」
信幸は伸びをして、眼下に広がる街を見下ろした。
「本部もいい場所を押さえたな~。横浜の港が一望できる。」
「よかったですね。主。」
「そうだな。お前らも外に出せて、俺としては文句なしで快適だよ。」
「ところで、今回の任務は対処できそうなのか?」
「最近、横浜は開発が進んで人も増えたから、探すのが大変かもな。
だが、そこは俺の腕の見せ所。術式も考えたし、大丈夫だと思いたい。
だめでも、最終手段はあるしな。」
「ふふふ。さすがは我らが主、2手3手の手段はご用意してますか。」
「まーな。一度大きな失敗をした人間は、完璧なことなどないと知るからな。
さて、町中に術式を張りにいきますか。」
「ところで、どんな術式なの?」
「一つ目は、今回のターゲットである榊と悪魔の混合の力を要するもがを術式の上を通過した場合、
その浸食部分だけを引きはがし、削除する術式。
二つ目は、ターゲットにマーカーをつけるもの。こちらは、射ってよし、集めてよし、の2段構え用。」
「なるほど、解かれない限り、運用が可能と。」
「その通り、さて、張りに行きますか。」
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電車を乗り継ぎ、新横浜駅、横浜駅、中華街と結界を張っていく。
日もだいぶ傾き、横浜ベイブリッジが徐々にライトアップされていく。
信幸は術式を張り終わり、中華街からホテルに向かって、食べ歩きをしていた。
「張った後は暇だな~。うん?」
<どうした?主。>
「やられた。」
<はっ?>
「思いっ切り振りほどいたやつがいる。二つめの術式が動いて、一つ目も自動修復されたけど・・・。」
<けど?>
「でかすぎるな。しょうがない。先につぶしておこう。六合!槍!」
<壊さないでくださいよ。>
<情けない声をだすではない。>
<しかしですね天空。私は2、3度ほど壊されているのですよ。>
<壊れたならわしも作るのを手伝ってやる。>
<お願いしますよ。>
二人の会話をよそに、信幸は術式を施していく。
「よし。この術式で手元に戻るようにして、っと。さて・・・。」
信幸は眼をつぶり相手を探す。
「こいつ。か。」
陰鬱な顔の男子生徒が見えた。
「せーの!!」
信幸は真上に槍を放り投げた。周囲にはエア投擲をしたように見えただろう。
「さて。少し遠いから。ゆっくり歩いて、待ちますか。」
ジュースののみながら、開発が進む人工島を歩き、今後の戦略を考えていく。
しばらくして、信幸はおもむろに右手を挙げる。
するとその右手に不可視の槍が握られる。
信幸は槍の穂先に残る残照を確認し、六合に返す。
「これで、とりあえずはいいか。あとは残りはどの程度かによるかな。」
<あ~。よかった。戻ってきた。いつもこうならいいのに。>
ーパッキンー
<あ、あれ?>
槍の穂先の一部が欠ける。結界がない状態で振るったことにより、
槍に負荷がかかり、先の薄い部分がかけたのである。
<そ、そんな。>
<り、六合。直してやるから、機嫌を直せ。な。>
「あ~。六合、すまん。俺も修復を手伝ってやるから。なっ。」
<はっ。はい。>
六合の機嫌をとりつつ、ホテルの部屋へ戻っていく。
(夜は大掃除か。それまでには六合の機嫌が直るといいな。)
信「あれ短い?」
紅「ドンマイ!」




