潜入
紅「まだかな~。」
信「何が?」
(ねえ。ナニコレ。)
<あ~。うん。>
<うわ~。>
<ないわ~。>
悪霊をやり過ごしつつ、宿舎らしき場所に辿り着いた流治が見たのは、
肉のような壁の建物だった。
(どういうこと?)
<おそらくだが、結界の影響で異界化が進み、
悪霊たちの肉体を欲しがる信念と結びついてこうなったんだと思うが・・・。
気持ち悪いな。>
(帰っていい?)
<ダメに決まっているだろう。はぁ~。>
(ですよね~。あっそうだ。建物ごと破壊するのは?)
<罪もない人も殺すことになるだろうが!>
(う~。わかってるよ。)
<嫌なのはわかるから。さっさと終わらせよう。元凶どこかにいるはずだ。>
一歩建物に近づいた瞬間
ーヒュンー
流治は触手にたたかれた。
「がっ。」
<流治!>
(大丈夫。威力は逃がしたから。ねぇもしかして。)
<一つの生物みたいになっているな。>
(どうすんの?)
<どうすんか。振動と熱、気配を消しても、接触しているとばれるからな。>
<魂を見ることは?>
<俺の空間把握の能力で見れることは見れるが、
この建物が広くまた3階だてだから、
中央付近がな~。>
(あれ?中央は吹き抜けじゃなかった?)
(<・・・・・>)
<ごほんっ。じゃ、じゃ。周囲を回って、魂の確認をしようか。>
ーじとーー
<わ、悪かったって。>
(はぁ、じゃ行こうか。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(う~ん?)
<は~。これは~。>
流治たちが中の様子を見て回ると、いくつかの微弱な魂が観測できた。
<食われているな。>
<だな。何者かは知らんが、これはうまくやったな。>
<負の感情を利用してるね。>
<諾。結界。>
<別の結界が建物の中心から外側に球状に展開されているにゃ~。>
<ダンジョン?>
<夜の間だけ異界化を徐々に進めておるな。>
<流治。>
(何?)
<やるぞ。>
(それしかない?)
<朝潜入するのは大変だろう。>
(でもどうするの?)
<餌と思わせるか、結界の力をまねるか。>
(結界の波長、か~。うんできそう。)
<そうか。じゃあ行くぞ。>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(き、)
<き?>
(気持ち悪い~。背筋がこう、ゾゾゾってなる。)
<ははは。>
(しかも気を抜くと触手が飛んでくるし。う~。)
<中央まで行けば大丈夫だから。にしても、>
<魂の高さが不自然だな。>
<肉体ごと喰らっているのか。>
(うわ~。それ大丈夫なの?)
<衰弱のスピードが速くなるが、そうそう気づくものではないが。>
<うーん。いるね。>
(あー。模倣した、悪霊やゾンビかー。)
<不用意に近づくなよ。面倒だから。>
(わかってるよ。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(やっとついた~。)
<あれ、か。>
<球体のオブジェ?>
<完全に後付だな。>
<しかも、これはー。>
<榊と嫉妬の悪魔?>
(げー。だれだよ混ぜるな危険をやった奴は。)
<さっさと終わらせよう。>
(うん!それがいい!でも・・・。)
<多いな~。>
(面!倒!こうなったら、忍!アル!)
<諾!影!>
<応!闇!>
<<ソウルシフト!>>
<<呑み込め!>>
夜の闇と月明かりでできた影が異形を飲み込んでいく。
触手が異変に気付き流治を襲うが、
<<遅い!これで終い!>>
守りがなくなったオブジェを難なく切り裂く。
<<解除。>>
(勝利!)
<だな。にしても、だれだよ。こんな厄介なことをするのは。>
(オブジェの破片を持って帰ろうか。)
<そうだ、な!?>
オブジェは砂のように崩れて消えていた。
<ずいぶんと周到だな。>
(は~。帰ろ。)
-クーン、クーン-
(おや?)
鳴き声が聞こえたので、周囲を見回すと2匹の黒い狼の子供が
柱の陰にうずくまっていた。
<さっきの闇と影の攻撃を生き延びるか。>
<あれ?でもこの子たち・・・。あっちの世界の子じゃない?>
<迷い込んだのか。そして戻れなくなったか。>
(じゃあ。ゼロと一緒にこの中に入ってもらおうか。)
<そうだな。眠らせて、入れておけ。>
流治は2匹の意識を刈り取るとPDAの中にしまい込んだ。
そして、来た時同様、夜の闇に溶けて脱出した。
紅「な、なんだと。流治かい?!」
信「俺たちの回はあるのかな?」




