闇
紅「まだ続くかな?」
六「もう終わりでは?むにゃむにゃ。」
流「次ぐらいかな。」
黒い、深淵よりなお深き闇
その闇がどこまで広がっているかわからないが、自らを包んでいる。
でもその闇は冷たさはなくただ、暖かさと安らぎを感じる。
だが、他者にはことなるようで、ときどき悲鳴と苦しむ声が聞こえる。
それが、不安を煽るが、なぜか落ち着いていられる。
「闇に包まれるってこんな感じなんだ・・・。
あの子はこの闇を心に抱えてたんだ。
でも、どうしてこうなった?」
紅葉は一人、闇の中でつぶやいた。
それは一瞬だった。
流治が何かをつぶやいたかと思うと
広間は一瞬で闇で満たされた。
大きな窓や天窓からは陽光が差し込んでいたにも関わらず
今は一切の光を感じない。
それはまさに光を飲み込む暗闇。
「も~み~じ~」
近くにいるであろう信幸の声が遠い。
恐らく、音も減衰しているのであろう。
火をともそうと指先に力を集中させるがうまくいかない。
どうもこの闇は力も奪うらしい。
あきらめて、闇が晴れるのを大人しく待つことにした。
・・・・・・
ひくときも一瞬だった。
当の流治は力を使い切ったからかはたまた別の理由があるのか
肩で息をして跪いていた。
「こ、小僧!貴様はなんなんだ!それは我ら悪魔の王に近い力、
『傲慢』ではないか!」
「強欲!それよりも逃げるわよ!力が一切使えなわ!これではただの獣人と変わらないわ。」
「ここまでされて引けるか。それにあの小僧の力を奪えれば!なっ何!
力が発動しない。魂に刻まれている力も発動しなっ。」
ーパ、パァーンー
銃声が広間に響く強欲と呼ばれた悪魔は信幸に頭部と胸部を撃たれて絶命した。
「馬鹿が。この機を逃すかよ。」
「ちっ!飛び道具を持っているの?これでは・・・。仕方がないけどここは!」
そう言って、女の悪魔は踵を返し、大きな窓へと走り、
ーパリーンー
窓を割って飛び出した。
「ちっ!逃がすか!」
ーパーンー
「ぐっ。しまった扇が!」
「あっ。ちっ!」
「あー。逃げちゃった。まぁ、扇と大楯は回収できたし。
当初の目的は達成したから良しとしましょう。それより流治大丈夫?」
「あぁ。問題ない。ちょっとだけ力を使いすぎただけ。」
「そう。じゃあ回収して帰りましょう。でも、問題はこの国をどうするかよね。」
「そうだな。御后と王が悪魔でその他が傀儡だったなんてな。」
「あれ?そうすると町の人も?」
「ああ。あり得るな。」
「もう。放置しよう。流れに任せればどうにかなる。かも?」
「それがいいわね。さぁ。みんなと合流しましょう。」
そんな会話をして悪魔が割った窓から外へでようとする信幸の背中に
強欲と呼ばれた男から何かが入り込んだ。
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「はぁ。はぁ。ここなら大丈夫でしょう。それにしてもどうしてこんなことに。」
「あ~。見つけた~。」
「あの人だよね。」
「うん間違いないよ。」
路地の奥から女の子の声が聞こえ悪魔は声の方へ顔を向けた。
そこには幼い人間の女の子が3人いた。
その幼い姿に安堵して
「お嬢ちゃんたち。私を探してたの?」
「うん!」
「けがをしているあなたを倒せば。」
「力を得られるんですもの。」
「えっ?」
その言葉に悪魔は戦慄した。よくその女の子たちの顔を見れば先ほどの
男女の顔にそっくりだった。
「まっまさか!」
「「「一体化!」」」
そういった女の子を水が包み込み、
水が消えたところにはっきりと先ほどの女性と同じ顔をした
薄い水色のワンピースを着た人魚族の顔の女性が現れた。
「我が糧になりなさい。」
「いっ、いあ。がぼがぼ。」
握られた三又の槍が向けられると、水が悪魔を包み込み収縮していく。
そして、水滴ほどの大きさになるとそれを女性は飲み込んだ。
「これで色欲は我らのものに。」
そう言った女性を再び、水が包み込み、またもとの女の子たちにもどる。
「お姉ちゃんたちばっかりずるいもんね~。」
「私たちも力が欲しいもん!」
「これでみんなとおそろい。」
無邪気に笑いあう女の子たち。そこに。
「あ~。こんなところにいた。」
「へっ?あ!本当だ。ほらあなたたち急いで帰るわよ。」
「「「は~い。」」」
女の子たちは探していた母親と姉と一緒に去っていった。
床には水の跡と少しの血の跡が残っていた。
紅「へ?三つ子?」
流「だな。」




