墓と遺跡と守護者
紅「あれ信兄は?」
三つ子「不貞腐れてる~!」
そこは大きな湖畔の真ん中にある墓所だった。
「うわ~きれ~。ねぇ、お母さん。」
「そ、そうね。」
「ここどこだよ。」
「あ、う~んと。」
「六花?知っているのよね。」
「へっ?な、何で?」
「あなたは”マーリン”だったわよね?」
「うっ!そ、そうです。」
「武器を最後に持って行ったのはあなた。そうよね?」
「そ、そうです。」
「封印先ももちろん管理していたはず。」
「そ、そうです。」
「じゃあ。ここは?」
紅葉に詰め寄られ、六花はたじたじになりながら答える。
「ここは、かつて私達一族のいた王国の隠れ墓地です。人除けの結界と守護者が3人いたはず。」
「はず?」
「あれから、何年経っていると思うの!1000年は経っているから!」
「逆ギレかよ。」
「ともかく、どこに向かえばいいの?」
「多分だけど、小屋がどこかにあるはず。」
「小屋ね~。」
「ねぇ。お母さん。」
「なぁに?」
「後ろ。」
「へ?」
後ろを向くと入ってきたドアが小屋のドアだったようだ。
「はぁ~。とにかく入ってみましょう。」
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鍵が指しっぱなしで家に戻るという落ちは発生せず、ちゃんと小屋に入ることができた。
そこはきれいに調度品が置かれたカントリー風の内装の部屋であった。
六花は2階に上がり、しばらくして一枚の紙を持って降りてきた。
「それは?」
「一応1000年前にどこに何を配置したかの地図。でも役に立つとは思えないの。」
「そりゃそうだ。10世紀も経てば、歴史に埋もれて遺物だ。」
「まぁね~。」
「先から聞いていると、あなた達は記憶があるみたいね。」
「一応。」
「じゃあ。この世界が10世紀でどの程度発達すると思うの。」
「そうか。そこだよね。」
「そうよ。もしかしたら、博物館や美術館にあるかもしれないじゃない。」
「あ~。お母さん。そこまでは進歩しないと思う。」
「えっ?」
「おそらくだけど、いいとこ、幕末から明治程度。下手すると江戸初期かな。」
「そんななの?」
「こっちは確か電気や力学、物理学に相当するものがないの。
感覚的に理解しても、学問としてはね~。」
「それに、学問というのがあるかも怪しい。」
「まあ、とりあえず。ここから始めましょう。ここの3人なら何かを知っているかもしれないし。」
「どこ?」
「ここ。」
そういって、六花がさしていたのは湖だった。
「どこ?」
「ふふふっ。この島の真下よ。」
「なるほどね。」
「「「じゃあさっそく行こうよ。ねっ。みんな!」」」
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「でっ。どこから行くんだ。」
「え~と。確か。この墓石の前で『我は王の一族に連なるもの、汝を向かい入れ、
汝と共に世を救う旅に出ん』だったかな。」
「開かんぞ~。」
「そんな~。」
「どいて。『我は汝らが主たる王、汝を向かい入れ、
汝と共に世を救う旅に出ん』」
ーゴゴゴー
「えー。何でー。」
「魔力の波長が違ったのよ。きっと。」
「さて。おしゃべりはそこまでにしていくわよ」
「「「行く~!」」」
「あっ!こら~!」
(流治。)
(どうした。)
(力を感じる。これは、神獣かもしれん。)
(なら。行ってみるか。)
「悪い。先に行っててくれ。そこらへんに何か無いか見てからいくわ。」
「早く来てね~。」
「あいよ。」
そう言って流治は階段を下りずに離れていった。
「さて。行きますか。」
しばらく六花と紅葉が一緒に階段を下りていくと、石畳のきれいな庭園が現れる。
「ずいぶんとすごい場所ね。」
「そりゃあ。快適な空間を目指しましたから。」
「きゃー!」
唐突に叫び声が聞こえ、慌てて、声の方に走る。
すると、5人?の軽装の鎧を着た天使が、幸代と3つ子を追いかけていた。
「ちっ。アン!へっ?!」
アンを呼び出すが出てこない。それどころか。どの武器も反応がない。
「えぇぇい!『剣よ』!」
自信に宿る剣を慌てて呼びだし、天使に向ける。
すると、天使たちは慌てて止まり、傅いた。
「どういうこと?」
「ふふふ。多分ついていけばわかると思うよ。」
そう言って、六花はいたずらっ子のような笑みを浮かべて、
傅いている天使に
「主のところまで案内してくれるかな。」
と言った。
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そのころ流治は
「ここだな。」
(さすがだな。この空間と時間が歪んだ気配を感じ取れるか。)
「ああ。違和感がある。」
その空間に手を伸ばす。すると。そこには、金の瞳の黒い巨大なドラゴンがいた。
「ふーん。」
『我を見てその反応か。小僧が、なめおって!!』
そう言って、ドラゴンは大口を開けて勢いよく流治に迫る。
しかし、流治は動ずることないく。
「ザコだな。見た目で判断するなんて。」
そう言って、いつの間にか数千のナイフをドラゴン目掛けて投擲していた。
『そんなもの!!な、に。』
「ナイフなわけないだろう。闇をナイフ状にして打つ魔法だよ。」
ドラゴンの巨体のそこかしこにその魔法は突き刺さり、生命エネルギーを抜き取っていく。
『くそう。何が望みだ。』
「忘れたのか。『ゼロ』」
『ま、まさか。主!こ、これは申し訳ございません。力を見誤りました。』
ドラゴンが平伏したのを見届けて、術を解く。
「さて、負けた上に、俺を忘れるという失態を犯したからには、力を貸してもらおうか。」
『当然です。今生は精神誠意お付き合いをさせていただきます。』
そういって、流治が抱ける程度の大きさのドラゴンになり、流治にすり寄る。
『お会いできてうれしいです主!』
ごつごつして、痛いが、かわいいので良しとした。
紅「まだまだ私のターンだから!」
三つ子「イエーイ!」




